九条璃雨
璃雨の父は千織の父と旧知の仲。千織の両親がよく留守のため、幼い頃から千織の面倒を見ている。千織にとって彼女は実姉のような存在。千織に付き合って麻雀を始めたが、段々と麻雀にハマっていった。普段はファッションに興味を抱いている。
Profile
Skins
九条璃雨の初期衣装
九条璃雨と契約を結んだ時に入手できる着せ替え衣装
「雀魂夏祭り・ビーチパーティ」にて購入できる限定の着せ替え衣装
「冬日祭・雪だるま合戦」にて購入できる新年テーマの限定着せ替え衣装
「魔女の掟」にて購入できる魔法と剣テーマの着せ替え衣装。
「アイランド・サマー!」にて購入できる、レーステーマの着せ替え衣装
「授業中のナイショ話」で購入できる、制服テーマの着せ替え衣装。
Emotes
Bond Requirements
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プレゼント・普通
わたくしにですか?ありがとうございます
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プレゼント・好み
お!これはいい品ですね!ありがとうございます
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絆レベルアップ5
ふ~ん、昔より少しは強くなったようですね、でもまあギリギリ合格という感じでしょうか、ギ・リ・ギ・リ
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絆レベルアップ1
近寄らないでください!こんなか弱い少女に、何をしようというのですか!?
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絆レベルアップ2
...今更かもしれませんが...どうしても確かめたいことがあります。プレゼントを渡す前にちゃんと手を洗いましたか?
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絆レベルアップ3
...知り合ってからしばらく経ったというだけで、わたくしとの関係にどんな変化を期待してるんですか?
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絆レベルアップ4
メイドの道とは奥深いものですね、もっともっと精進しなければ!
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隐藏语音 - 新年
明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いしますね
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隐藏语音 - 情人节
もうバレンタインですね…実は昨日、チョコレートを作ってみたのですが…味見をお願いしてもよろしいでしょうか?メイドたるものデザートのつくり方を研究するのことも、必要ですから…
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メイン1
これはここに...、それはあっちに...次、またこんなミスをしたら、殴りますよ?
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メイン2
いつも暇そうですね。そんなに暇でしたら麻雀の練習でもしたらいかがですか?
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メイン3
ふん...あなたも真剣な顔をする時があるのですね、意外です。
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メイン4
チッ、どうやったら部屋をここまで散らかせるんですか?早く起きなさい、床は私に任せて...あなたは机の上をお片付けください。い・ま・す・ぐ・に!
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メイン5
腹筋?わたくしにそんなの、あるわけな・い・で・は・な・い・で・す・か?
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メイン6
うんうん、お~!今回はなかなか良かったのではありませんか?結構強くなりましたね、次はわたくしと勝負いたしましょう!ちょっとした実力テストです
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メイン7
はぁ...このようなフワフワしたメイド服にはなかなか慣れませんね、まあ動きやすいですが...
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メイン8
お疲れのようですね?少し休憩しましょうか、紅茶とお茶菓子の準備は出来ておりますよ。肩もみ?ふふふ...よろしいですよ、ではぜ・ん・りょ・くで、肩もみいたしますね...あれ、どうして逃げるのですか?
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ログイン・普通
お帰りでしたか、まあ適当におくつろぎください
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ログイン・絆LvMAX
あ、お帰りになりましたか?紅茶のご用意ならもう出来ていますよ
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契約を結ぶ
淹れたてのお紅茶、一杯いかがですか?ご・主・人・様~?ふふ、トキメキました?では、わたくしの新しい衣装についての感想もお聞かせ願えますか?
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SP-友人戦部屋に入場する時
お邪魔します、麻雀の対局に来たのですが、こちらで合っていますか?
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SP-友人戦部屋で準備した時
では参ります
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出会い
わたくしは九条璃雨、ご覧の通りメイドをしております...あまりジロジロ見ないでください
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北抜き
ペー
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チー
チーです
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ダブル立直
ダブルリーチ
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カン
カンします
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ポン
ポン
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立直
リーチです
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ロン
ロンです
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ツモ
ツモ
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白
ハク
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北
ペー
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純全帯幺九
ジュンチャン
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純正九蓮宝燈
チューレン九メン待ち
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大三元
ダイサンゲン
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大四喜
大スーシー
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地和
チーホー
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ダブル立直
ダブリー
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東
トン
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ドラ
ドラ
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ドラ10
ドラ10
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ドラ11
ドラ11
-
ドラ12
ドラ12
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ドラ13以上
ドラいっぱい
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ドラ2
ドラ2
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ドラ3
ドラ3
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ドラ4
ドラ4
-
ドラ5
ドラ5
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ドラ6
ドラ6
-
ドラ7
ドラ7
-
ドラ8
ドラ8
-
ドラ9
ドラ9
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ダブル北
タブペー
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ダブル東
ダブトン
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ダブル南
ダブナン
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ダブル西
タブシャー
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断幺九
タンヤオ
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対々和
トイトイ
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二盃口
リャンペーコー
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発
ハツ
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国士無双十三面待ち
コクシ十三メン待ち
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国士無双
コクシムソウ
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海底摸月
ハイテイ
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河底撈魚
ホウテイ
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混老頭
ホンロートー
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混全帯幺九
チャンタ
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混一色
ホンイツ
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九蓮宝燈
チューレンポートー
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嶺上開花
リンシャン
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立直
リーチ!
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流し満貫
流しマンガン
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緑一色
リューイーソー
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南
ナン
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平和
ピンフ
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槍槓
チャンカン
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七対子
チートイ
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清老頭
チンロートー
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清一色
チンイツ
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三暗刻
サンアンコー
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三槓子
サンカンツ
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三色同刻
三色ドーコー
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三色同順
三色ドウジュン
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四暗刻
スーアンコウ
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四暗刻単騎
スーアンコウ、タンキ
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四槓子
スーカンツ
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天和
テンホー
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西
シャー
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小三元
ショーサンゲン
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小四喜
小スーシー
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一盃口
イーペーコー
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一発
イッパツ
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一気通貫
イッツー
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中
チュン
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ツモ
ツモ
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字一色
ツーイーソー
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清算一位
ふぅ...なかなかいい対局でしたね
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清算一位・高い点数で勝利
麻雀って、なかなか面白いですね
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清算一位・ロンで勝利
まぁまぁですね
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倍満
バイマン
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九種九牌
キュウシュキュウハイです
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数え役満
数えヤクマン
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満貫
マンガン
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ノーテン
ノーテン、残念です
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三倍満
サンバイマン
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四風連打
スーフーレンダです
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四槓散了
スーカン流れです
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四家立直
スーチャリーチです
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跳満
ハネマン
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聴牌
テンパイです
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役満
ヤクマン
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ダブル役満
ダブルヤクマン
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トリプル役満
トリプルヤクマン
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四倍役満
四倍ヤクマン
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五倍役満
五倍ヤクマン
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六倍役満
六倍ヤクマン
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SP - ドラを捨てた時
捨てる時は捨てるべきです
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SP - 倍満/三倍満聴牌
さあ真剣勝負です!
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SP - 同じ牌を連続に捨てた時
たまにはこういう事もあります
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SP - 残り牌が10枚以下の時
チャンスは残り少ないですね
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対局開始
失礼いたします、では始めましょうか
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SP - 役満聴牌
究極の一手です!
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帯幺九
帯幺九(タイヤオチュウ)
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根
根(ルート)
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将対
将対(ジャントイ)
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金勾釣
金勾釣(キンコウテャオ)
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嶺上放銃
嶺上放銃(リンシャンホウジュウ)
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龍七対
龍七対(ロンチートイ)
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清対
清対(チントイ)
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清金勾釣
清金勾釣(チンキンコウテャオ)
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清龍七対
清龍七対(チンロンチートイ)
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清七対
清七対(チンチートイ)
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清十八羅漢
清十八羅漢(チンジュウハチラカン)
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清幺九
清幺九(チンヤオチュウ)
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十八羅漢
十八羅漢(ジュウハチラカン)
Spot Voices
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Spot Voice 1
惊讶
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Spot Voice 2
肯定
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Spot Voice 3
否定
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Spot Voice 4
打招呼-早晨
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Spot Voice 5
打招呼-白天
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Spot Voice 6
打招呼-夜晚
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Spot Voice 7
告别
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Spot Voice 8
承接
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Spot Voice 9
叹气
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Spot Voice 10
高兴
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Spot Voice 11
生气
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Spot Voice 12
递进
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Spot Voice 13
转折
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Spot Voice 14
疑惑
メイドごっこ
絆LV1で開放
「昔々、一飜市に、金の髪のお嬢様と赤い髪のメイドがいました。幼い頃から一緒に育った二人は、いつも一緒で、世界で一番仲の良い主人とメイドでした。ところが、月日が経ち、それぞれ愛する人を見つけた二人は、自分の家庭を築き、離れ離れになりました……」 母の腕の中で昔話を聞きながら、静かに眠りにつく九条璃雨。明日は幼稚園の登園初日だ。母の影響で、たった五歳でありながら、自分のお着替えはもちろん、他人の身なりまで整えられるような子に育っていた。母のように、気品があって何でもそつなくこなす完璧なプロのメイドになりたい。準備はバッチリ、後は「理想のお嬢様」を探すだけだ。 「わたくしとメイドごっこをしてくださるのですか? では、おじょうさまになっていただけるのですね?」 幼稚園で、璃雨は期待のこもった眼差しで目の前の女の子を見た。この大きな幼稚園で、メイドごっこの相手を探し始めてずいぶん経った頃、ついに一人の女の子が名乗りを上げたのだ。 「ほんとにメイドをやりたいんだ、へんなの。まあいーわ、いまからあたしのめしつかいとして、なんでもいうことをきーてもらうわよ。わあった!?」 「え……」 璃雨は少し戸惑いながら、鼻息荒くまくしたてる女の子を観察した。 乱れた身なり、少し粗野な立ち振る舞い、抜けた前歯のせいで、喋り方もちょっと変。でも、ここから本物の「お嬢様」に育てあげられるか、試してみてもいいかも……? 「かしこまりました。ではやってみましょう!」璃雨はどんと構えて承諾した。 しかし、この「メイドごっこ」は苦難の連続だった。 「りう、おみずちょーだい。37どぴったり、それよりあつくてもぬるくてもダメ!」「はい!」 「りう、おべんとーのイチゴ、ぜんぶよこしなさい」「は……はい」 「りう、あのこがもってるぬいぐるみがほしいの。とってきて、いますぐ!」 拳を握りしめ、こき使われるのに耐えてきた璃雨だったが、ついに我慢の限界が来た。そして、スカートの裾を持ち、他の子からおもちゃを奪った女の子につかつかと歩み寄り、一日かけてクレヨンで描いた絵を投げつけた。 「こちらをどうぞ」 「きゃっ! あにすんのよ、びっくりしたじゃない!」 「『かいこつうちしょ』です、あなたをクビにいたします」 「ク、クビ……?」 女の子は顔を歪ませ、声を張り上げ叫んだ。 「あんたはメイドでしょ。メイドがシュジンをクビにするなんておかしーでしょ!」 「あなたは、おじょうさましっかくですので」 そう言って、璃雨は先ほどの絵を指差し、よく通る声で解説を始めた。 「これはおひるごはんで、すききらいしてニンジンをめしあがらなかったときのえです、げんてんです」 「これはおえかきのじかんで、いねむりしてよだれをたらしていたときのえ、げんてんです」 「それから、これはクマのぬいぐるみをひとりじめしたうえに、てもあらわず……」 璃雨の声に、他の子たちも続々と集まってきた。次々湧き上がる笑い声に、女の子の顔は真っ赤になった。 女の子は、璃雨の話を遮るべく、絵を奪い取り地面に打ち捨てた。そして、それを足で踏みつけながら「あ、あんたこそメイドしっかくよ! こんなあそび、もうやってらんないわ! ドジでおせわもぜんぜんできないあんたを、ほんきでメイドにしたいひとなんてどこにもいないんだから!」と叫んだ。 「まあ! そんないじわるいって! いまいったこと、とりけさないと、こうです!」 璃雨はそう言うと、グーパンでクマのぬいぐるみを吹っ飛ばした。勢いに圧倒された女の子は、泣きながら奪ったオモチャを全て持ち主に返し、もう二度としないと誓うのだった。 凄まじいパワーを持つ拳にふっと息を吹きかけた璃雨は、周囲の尊敬の眼差しを浴び、誇らしげに腰に手を当てた。いつも身に着けているメイドエプロンが、今日はより一層美しく見える気がした。 「こんかいはしっぱいしましたが、もんだいありません! いつかぜったい、せかいでいちばんのおじょうさまをみつけだしてみせますから!」 心の中でそう誓う璃雨であった。
三上千織
絆LV2で開放
「千織様、お会いできて光栄です!」 「うーん……『シンプルなごあいさつが、一番気持ちが伝わる』ってお母様は言ってましたけど、さすがにシンプルすぎるような……。本当に本当の初対面ですし、もう少し何かすてきな言葉をつけ加えるべきでしょうか?」 車の窓ガラスに映る、ややあどけなさの残る顔。十歳の九条璃雨は、流れゆく街路樹を眺めながら、遠い昔の夏の日に思いを馳せていた。 あれは蒸し暑い八月、璃雨がメイド必須スキルである「家の郵便物の整理」の修行に明け暮れていた頃のことだった。まだ読めない字は多かったが、両親の名前はぱっと見分けられるようになったので、それほど難しくはなかった。 ある日、母宛ての郵便物の中に、赤ちゃんの写真が添えられた手紙があるのを見つけた。手紙の内容まではわからなかったが、おくるみに包まれた赤ちゃんの真っ白な肌、ふっくらとした赤い唇、つややかで柔らかそうな金の髪、そして安らかな寝顔……おとぎ話のお姫様を思わせるその姿に、璃雨は思わず息をとめた。そうでもしないと、その子が目覚めてしまうのではないかと思ったのだ。 チリン……玄関に掛けられた風鈴の音で我に返った璃雨は、靴を履くことも忘れて玄関へと走っていき、用事を済ませて帰ってきた母を出迎えた。そして、小さな体でぴょんぴょん跳ね、手紙と写真を出来るだけ高く掲げた。 「おかあさま、おかあさま! おてがみが! それからこのようなものが!」 「これは……お嬢様、無事にお子様が産まれたのですね。ああ、今は三上夫人でした」 矢継ぎ早に質問を受け、璃雨の母は手仕事を中断し、汗で乱れた璃雨の髪を梳かしてやりながら、手紙の内容を教えた。写真に映っているのは、母がかつて仕えていた「お嬢様」の赤ちゃんで、無事出産した喜びを一番の友人――璃雨の母に伝えようと、わざわざ手紙を送ってくれたのだ、と。 「わあ、おじょうさまのおじょうさまってことですね!」 璃雨は非常に喜んだ。 幼稚園での「メイドごっこ」の一件で、腕っぷしがヤバいヤツというレッテルを貼られてしまった璃雨の元に、主人になろうと言い出す人が再び現れるはずもなく、理想のお嬢様は見つからないままだった。 これは願ってもないチャンスだ。 「おじょうさまのおじょうさまは、どこにすんでいるの? あいにいってもいい? この……おじょうさまのメイドになってもいい?」 璃雨の質問に、母は少し戸惑ったが、思わず吹き出してしまった。娘のメイド業にかける情熱は、単なるおままごとではなかったのだ。切望する目には、母親のかつての仕事に対する盲目な憧れ以外のものも混じっているように見える。しかし、結論を出すにはまだ早い。 「一飜市にいらっしゃるわ。でも、会うのは、この方がもう少し大人になるのを待ってはどうかしら?」母は手紙をじっくり読み返してからこう続けた。「この方……三上千織様が、もう少し自分で色々なことを出来る年頃になったら、どんな形で関わっていきたいか、二人で決めるのがいいと思うの」と。 璃雨は母に抱きついたまま、こっくり頷いた。 「うん!」 その後、璃雨は母との約束を守り、メイドになりたいという夢を人前で言いふらすことも、メイドごっこの相手を探すこともやめた。季節は流れ、小学校に上がった璃雨は、読める文字も増えて、母と三上夫人がやり取りしている手紙の内容も読めるようになってきた。手紙を一通一通読んでいくうちに、三上千織という人がどんな人なのか、少しずつ理解を深めていった。 千織様は、聡明でしっかり者で、クマのぬいぐるみが一番のお気に入り。 千織様は、両親がお仕事で忙しく、小さい頃からお手伝いさんが面倒を見ているので、実は少し寂しがり屋。 千織様は、家に遊びに来るお友達に対して、口ではツンツンしているけれど、いつも気前よくおもちゃをプレゼントしている……。 璃雨が文字を通して千織を知り、理解し、想像し、分析を重ねるうちに、二人の母は、今や璃雨は自分達以上に千織の本心を察することが出来るようになっているのではと察した。いよいよ、二人が対面する日も近いらしい……。 そして、今に至る。 車が千織の家の前に止まると、五歳の千織がひょこっと頭を覗かせた。三上夫人と一緒に車を降りた璃雨は、千織本人の姿を見た瞬間、ついさっきまで準備していた挨拶は吹き飛び、思わず本音が漏れてしまった。 「まあ、なんてあいらしい方なのでしょう!」――写真よりも一万倍可愛らしいではないですか! なかなか大げさな評価に、千織は困惑し、呆れた表情を見せた。 のっけからやらかした感のある主従関係ではあるが、問題ない。これから一緒に過ごしていけば、必ずお嬢様に認めてもらえるはず! だって、千織様のことが誰よりも何よりも大好きなのですから。
十八歳の願いごと
絆LV3で開放
「おやすみなさいませ、千織様」「おやすみ、璃雨」 三上家に来てはや八年、いつものように三上千織を寝かしつけた九条璃雨だったが、自室に戻ると、人知れず疲れた表情を見せた。 「はあ、そろそろ新しい計画を立てないと。このままでは……」璃雨は、溜息混じりに机の引き出しを開けた。そこには、彼女の最大の秘密――赤ペンで60点と書かれたテスト用紙が隠されている。 「このままでは本当に落第してしまう……くぅ~~~、にっくき高三め……!」 そう、不可能なんてないスーパーメイドにも対処出来ない重荷が降って湧いたのだ。それは、高校三年生の学業だ。 璃雨自身、学業において優秀な成績を収めることは、素晴らしいメイドには必須のことだと考えていた。世界一のお嬢様である千織のメイドならなおさらだ。実際に、常にそう心がけていた璃雨は、優秀な成績で聖ティナ女子高校に入学し、成績優秀者の常連にもなっていた。 しかし三年生になると、状況は一変した。授業の内容が急速に難しくなり、小テストも芳しくない点を立て続けに取ってしまったことで、璃雨は今まで以上に勉学に精を出さねばならないと悟った。しかし、千織も中学一年生に上がり、繊細なお年頃だ。万全なサポートを要する、人生の大切な時期に差し掛かっているのである! ヘビーになった学業と千織のお世話を両立させるため、璃雨は自ら定めていた睡眠時間を削ることにした。 その結果…… 「璃雨、あんたの番よ。ちょっと、またドラを捨てるの?」 「璃雨、サボテンの水やりは昨日やったばかりじゃない」 「璃雨、何でソファで寝てるのよ。キッチンから焦げ臭いにおいがするんだけど」 「璃雨……この小テスト、あんたの?」 「ああっ! 千織様、もう二度と、このような重大なミスは起こさないと誓います!」 千織は、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしている璃雨と、59点とつけられたテスト用紙を交互に見て、溜息をついた。 「まあいいわ。それより璃雨、明日は早めに帰ってきて。大事な話があるの」 「か、かしこまりました」 千織は冷蔵庫から牛乳に大量のパン、それからお菓子をバッグに詰め、そそくさと家を出ていってしまった。璃雨のほうはというと、目の下に真っ黒なクマを浮かべ、口ごもったままうなだれた。 きっと、この所自分が至らなかったせいだろう。千織が行先を告げずに出かけたのは、今日で三度目になる。 「恐らく、過去の二度もわたくしが何かやってしまったのでしょう」 「明日の夜のお話とは、一体どんなものでしょうか。まさか、『解雇通知書』を渡されるんじゃ……千織様が別のメイドを連れて来るなんてことがあったら、絶対受け入れられません!」 璃雨は眠れずに苦しい一晩を過ごした。次の日の放課後、三上家のドアを開けた璃雨は、重苦しい雰囲気の漂う真っ暗な室内に、今日は責められるのだろうと覚悟して足を踏み入れた。ところが、彼女の前に現れたのは、なんとパーティー会場だった。 「誕生日おめでとう、璃雨」 「璃雨、お誕生日おめでとうにゃ!」 「誕生日おめでとうワン!」 灯りがつくと同時に、クラッカーの紙吹雪が吹き出した。周囲には、見知った面々が笑顔で出迎えてくれている。 「お父様、お母様、それに一姫さん、ワン次郎さん、北見さんまで……どうしてここに……」 「千織がいっぱいお菓子をくれたのにゃ、お誕生日のパーティの準備くらい、一姫にお任せにゃ!」 「ごめんね。父さんと母さんも、千織様から内緒にするよう頼まれていたの」 各々の説明を聞いて、ようやく事態を呑み込めた璃雨が振り返ると、そこには大きなケーキを慎重に運ぶ千織の姿があった。 「十八歳のお誕生日、おめでとう! 千織のメイドともあろう者が、忙しいからって自分の誕生日を忘れちゃダメじゃない! 千織の抜群の記憶力が無かったら……あ、け、ケーキが……!」 千織は記憶力こそ素晴らしいが、非力である。巨大なケーキを用意したはいいものの、運んでいる途中で持ちきれなくなってしまった。幸い、主人の非力さを熟知していたメイドこと璃雨が真っ先に駆けつけ、皆がどよめく中、華麗かつ優雅にケーキを受け止めた。そのおかげで、入念に準備された誕生日パーティーは最後までつつがなく行われた。 十八歳を迎えた璃雨は、メイドをクビになるどころか、新たな使命をお嬢様から与えられた。「高三の『地獄』を抜け出すまで、何があっても勉強と休憩を最優先しなさい!」と。 「かしこまりました! 千織様!」 璃雨は涙ぐみながら答え、ロウソクを吹き、真心を込めて、十八歳最初の願いごとをした。 「どうか、これからもずっと、ずーっと千織様と一緒にいられますように」
全能のメイドさん
絆LV4で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 254, Choices 2, Endings 3
千織と麻雀する約束をしていた日、私は早めに魂天神社に到着した。
耐えられません!!!
?
今ホウキを手に走っていったのって……九条さん?
璃雨は、朝から来てるのにゃ。千織は今宿題がたくさん出てるらしくて、「プロのメイドたるもの、お嬢様の代理としてご友人とのお約束に馳せ参じる際に絶対に遅れる訳には参りません」て言ってたにゃ。
おお、解説のー姫さん、ありがとうございます。ですが新たな疑問が生まれましたねぇ。
……二人とも目が死んでるけど、何があったの?
一姫とワン次郎は、隅っこの暗がりに縮こまり、膝を抱えていた。一姫が声を発しなければ、そこにいると気付かないままだっただろう。
璃雨に、「この『ゴミ屋敷状態』、耐えられません」って言われたにゃ……
で、彼女は神社を開ける前に、自ら対局室を掃除することにしたんだワン……
「ゴミ屋敷状態」……ッ! もはや悪口ですらあるこのワードが、一姫とワン次郎の頭上に重くのしかかっているようだ……。
うーん、そこまで言われるほどじゃないと思うけど。魂天神社は一飜市で一番大きな神社だし、毎日たくさんの人が来てることを考えると、十分綺麗に維持出来てるんじゃないかな。特に対局室なんかは、いつも綺麗にしてあると思うよ!
ほんとかにゃ? ご主人は、本当にそう思うのにゃ?
一姫に嘘をついたことがあった? きっと九条さんが大げさに言い過ぎなんだよ。
犬と猫の頭をよしよしと撫で、私は何の気なしに、九条さんが掃除を終えた対局室にまっすぐ向かった。
……
確かに、片付き具合が今までとは雲泥の差だ!!!
あー、なんと言うか、言わぬが花って感じだね。
ううう~~~……
はぁ、プロのメイドである九条さんの掃除スキルを前にしては仕方ない、やっぱり一姫とワン次郎はしばらく隅で小さくなっててもらおう。
はぁ……
あれ、なんで九条さんまでため息を……?
もうすぐここを開ける時間なのに、まだ掃除が終わらないのです!
もう十分綺麗に見えますけど?
ここだけ、です。
へ?
最初は、雀卓一台分を掃除しようとだけ思っていたのですが、片付けが終わると、他の雀卓の散らかりようが目に付いてしまい……他の雀卓も掃除して、それが済むと、床、窓、天井……対局室の前の廊下までもが汚れ、散らかっているように見えてきてしまったのです。
それで、それで、対局室だけでなく、他の場所まで掃除したくなってきてしまったのです! 今、すぐに!
そ、そっか……
大掃除を中断しないといけないのって辛いですよね、よくわかります。私も掃除を続けるのに賛成だな。
ですが、間もなく神社を開ける時間です。お客様が来てからはお掃除もやりにくいでしょうし、それに本日は、千織様に代わってあなた方と麻雀を打つことこそが私の仕事ですから……。
麻雀はいつでも出来ますよ。そういうことなら……一姫、ワン次郎、今日はお休みにして、神社の大掃除をしない? そうすれば、問題もきれいさっぱり解決出来て、二人もモヤモヤしなくて済むでしょ?
ご主人と一緒に大掃除? やるにゃ!
俺もそれでいいワン。
でしたら、私にお任せください! 絶対に死力を尽くしますから!
一姫も死力を尽くすにゃ! たとえこの身砕けようとも……!
語弊のある言い方はやめてー!
こうして、魂天神社の大掃除は唐突に幕を開けた。
九条さんの指導のもと、大掃除は思っていたより良いペースで進み、数時間で大きな成果を挙げた。
璃雨、すごすぎるにゃ……一姫が十人いても終われなかったであろうことを、たった一人でやってのけたのにゃ……
九条璃雨がすごいのは前からわかってたが、知り合ったばかりの頃と比べると今の方がすごい気がするワン。プロの掃除屋みたいだワン。
当然です。私は世界一のメイドになるのですから、あらゆるスキルを絶えず磨き続けるのです!
燃えてきたにゃ! 一姫、決めたにゃ!
九条さんみたいに、修行を始めるの?
一姫も、ご主人を世界一のご主人に育て上げることにしたにゃ!
……育てる方を間違えてるよ。
璃雨はもう十分頑張ったのにゃ。だから、台所や、物置や、客間や、対局室や、あんなところやこんなところから出てきたゴミは、ぜーんぶご主人に任せるにゃ!
「ご主人」て肩書きを捨て去りたくなる時って、あるよね……ってワン次郎! 逃げるなー!
ぎっくり腰がまだ治ってないみたいだワン。アイボー、お前はきっと世界一のアイボーになれるワン。
まだ治ってないのにそんなに速く走れることある? 少しは痛そうにしなよ!
……ふぅ! よし、これで最後の一袋だ!
片付けで出た大小様々なゴミをそれぞれ処分し、私は労働で凝り固まった体をほぐした。
まさか後始末を全部自分が引き受ける羽目になるとは。それにしても、さすが九条さん、本当に仕事が速いなぁ。いつも使う場所が、午前中だけですっかり綺麗になっちゃった。私も片付けテクニックの勉強をさせてもらっちゃったな。
そういえば、確か九条さんって、去年高校を卒業したばかりなんだよね。それなのに、真面目に指揮する姿にはすごくオーラがあって、高校の担任を思い出したよ……
窓の外に突然現れて、生徒が真面目に授業を受けてるかチェックして、集中してない生徒を見つけると背後に音もなく現れて、落ち着きはらって生徒の肩を叩いて……
こんにちは。
うわぁ!!!
ひとり言を呟いていると、突然肩を軽く叩かれた。振り向くと、上品で礼儀正しそうだけど、眼光の鋭いおじさまがいた。それこそ「担任」って感じの人だ。
すみません、驚かせてしまいましたね。
あなたは……?
私は聖ティナ女子高校の教師、牧木です。九条璃雨さんは私の教え子なのですが、彼女は今日こちらに来ていますか?
えっ?
ただいま。
あら? ゴミの片付けは終わったんですか? 思ったより体力があるんですね。
お茶とお菓子をご用意しましたので、小腹を満たしてください。わたくしはもう少しこちらの麻雀牌を磨いてから、お食事を作ります。……今日のあなたの働きに免じて、リクエストを聞いて差し上げましょう。
私が戻ってきた時、九条さんはわき目もふらずに麻雀牌を磨いていて、顔も上げずに私に話しかけてきた。だから、私の隣に客人がいることにも当然気付かなかった。
えっと、九条さん、あなたの先生が来てるよ。
え?
九条さんはようやく顔を上げた。
……牧木先生?
あぁ、九条……おい、どこに行くんだ? 待て!
九条さんが麻雀牌を放り出し、脱兎のごとく逃げ出すと、牧木先生もその後を追った。
走り去る二人を眺めながら一姫がこちらに向かってきて、私に尋ねた。
ご主人、何があったのにゃ?
えーと……簡単に言うと、あの人は九条さんの高校時代の恩師で、去年九条さんは進学しなかったから、先生は大学に行くよう勧めに来たんだよ。
牧木先生との会話を思い出しながら、かいつまんで説明した。そうしてる間に、九条さんと先生の追いかけっこは既に一周して、再び私達のもとへと戻ってきていた。二人は、私と一姫を挟んで、じりじりと周りながら口論を始めた。
何故ここまで来たのです? わたくしがここにいるとどうやってお知りに?
ふん、私は君の先生だからな。電話に出なければ見つからないとでも思ったのか?
大学には行かないと言ったはずです! 説得なんてやめてください!
九条、君は去年、共通テストで学年トップ10に入ったんだぞ! にもかかわらず進学しないなんて、そんなこと通用すると思ってるのか?
成績がいいからといって、必ずしも大学に行かなければいけないわけでもないでしょう。わたくしには、大学より大切なことがあるのです!
その「大切なこと」というのは掃除か? 料理か? そんな簡単なことに費やすなんて、才能の無駄遣いだと思わないのか?
牧木先生は沈痛な面持ちで、九条さんの能力がしかるべき所で発揮されないのをひどく残念に思っているような口ぶりだった。
そのようなことも、立派なメイドの仕事のうちです! 簡単ではありません! 先生がどう思おうと、わたくしは絶対に大学に行きませんから。
はぁ、まったく……もう逃げないでくれ、今日は議論をしに来たわけじゃないんだ。お互い譲れない思いがあるなら、勝負しないか?
九条さんは、「勝負」という言葉を聞いて、足を止めた。
……何を競うんです?
君の仕事のスキルを競うんだ。簡単ではないんだろ? どこが簡単ではないのか見せてもらおう。もし君が負けたら、入試を受けるんだ。
わかりました、受けて立ちましょう。もし先生が負けたら、今後二度とわたくしに進学を勧めたりしないでください。
約束しよう。
勝負? いいにゃ~! じゃあ一姫とご主人、あとワン次郎は審判をやるにゃ。安心するにゃ、ちゃんと血も涙もない判定を下すにゃ!
変な言い方するなって言ったよね!?
そんな訳で、魂天神社の大掃除はメイドスキル対決へと変わった。
これより、第一回魂天神社プロのメイドスキル対決を始めるにゃ! では、選手入場にゃ。
一姫がビートの強いBGMを流すと、堂々たる足取りで九条さんと牧木先生が魂天神社の庭へと入場した。
選手を紹介するワン。19歳にして誰もが目を奪われていく天才的なメイド様! 新進気鋭のお掃除スター、九条璃雨!
そして、お待たせしましたすごい奴! 半生を教師として過ごし、今もなお変わらずお掃除バリバリ最強ナンバーワン! 聖ティナ女子高校の牧木先生だワン。
先生、よろしくお願いします。
ああ、よろしく、九条。
第一試合は、「スーパー掃き掃除」にゃ!
時間内に同じ広さの庭を掃き掃除して、より綺麗にした方が勝ちにゃ! では、試合スタートにゃ!
アイボー、選手入場の時の前口上、一姫が用意したんだが、なんか聞き覚えがねーか?
そうだね、また何か見て変に影響されたんだろうな。
世間話をしていると、九条さんと牧木先生は早くも掃除に取り掛かっていた。
熾烈な戦いが繰り広げられてるにゃ! メイド選手、寒気すら覚えるスピードで落ち葉を片付けていくにゃ!
先生選手も負けてないワン。優雅で丁寧な動き、まるでリズムに合わせてステップでも踏んでいるかのようだワン。
……ご主人の番にゃ!
二人が言った通りだと思うよ。
とはいえ、実際やってみると、差は歴然だった。牧木先生は真剣にやっているが、九条さんの掃除の方が熟練していて段取りがよく、スピードも速かった。この勝負は間違いなく九条さんが勝つだろうな。
そこまでにゃ!
結果は明らかだ。牧木先生が担当した範囲も綺麗に掃除されていたが、九条さんが掃除した所は、落ち葉一枚見当たらないだけでなく、盆栽の剪定まで済ませてあった。
ガーデニング講習の初級を受けた程度のものですが、もっともっと精進しなければ。
ガーデニング? そんなものまで勉強していたとは、知らなかったな。
ガーデニングはメイドの必須スキルです。高校に通っている間は勉強する時間が取れませんでしたが、卒業してからのこの一年は、一日たりとも無駄に過ごしたことなどありませんよ。
牧木先生は、何か思うところがあった様子だ。
……まあいい、この試合は君の勝ちだ。しかし、私だってそう簡単には負けん。次の試合には自信があるんだ。
次は第二試合にゃ!
メイドの仕事といえば、主人に茶を淹れること……メイドへの理解が浅い私でも知っていることだ。勝負内容に不足なし、だろう?
もちろんです、よろしくお願いします。
シンプルで和やかな挨拶を交わし、二人は行動を始めた。第二試合では、私と一姫、ワン次郎が審査員となって、美味しいと思った方のお茶に票を入れることになっていた。
いい匂いだにゃ~! にゃ? 璃雨は牛乳にお茶っ葉を加えて煮てるのにゃ!
ミルクティーか? まあ、確かにルール説明の時も「必ず伝統的で純粋なお茶を淹れること」とは言ってなかったしな。一姫の一票は、恐らく九条璃雨で決まりだワンね。
九条さんが披露したのは、普段から最も得意としている、「大紅袍」という一流の烏龍茶の茶葉を使ったミルクティーで、自信たっぷりな様子だ。私は牧木先生の方を見た。
香を焚いて雑念を払い……湯で茶碗を洗い、塵を落とし……少し湯を冷まして……
牧木先生はゆったりとした口調に合わせてお香を焚き、茶葉を選別し、正確にお湯の温度を管理した。どの工程でもきちんとした手順を守り、完璧な茶芸を披露してくれた。
先生のお茶は香り高く、長く後を引く余韻に浸った私は、思わず背筋を伸ばした。
実に優雅だワン。俺の票は、牧木先生に入れる以外ないワン。
しばらくして、九条さんの大紅袍ミルクティーと先生の龍井茶が出来上がった。一姫は一番好きなミルクティーに投票し、ワン次郎は票を牧木先生に投じた。
一票ずつ獲得した牧木先生と九条さんの視線が、揃って私に突き刺さった。投票が遅れることは、勝負の明暗を分ける責任を負うということだ。私は……
私はワン次郎と同じ考えだな。九条さんごめん、私は牧木先生に投票します。
ありがとうございます。
わかりました、ではこの試合はわたくしの負けです。
これで一勝一敗にゃ! いよいよ最終試合にゃ! 一姫は先に台所で準備してくるにゃ!!
やけに積極的だワン。
最後の試合は料理対決、言うまでもなく一姫が最も楽しみにしている試合だ。実は私も楽しみにしている。前に千織の家で夕食をいただいた時、運よく九条さんの手料理にありつけたのだ。まさに「千織の胃袋を掴んだ女」といった感じの味だった。
けど、さっき牧木先生に投票したのは、決して試合を最後まで引き延ばそうと思ったからではないぞ!
九条さん?
私は頭をかき、先ほどの投票について九条さんに弁明しようとした。すると、牧木先生の向かいに座り、彼が使った茶道具を見ながら何か考え込んでいる様子の九条さんを見つけた。
お茶の淹れ方や飲み方には、まだこんなに多くの知らないことがあったのですね。やはりわたくしには、学ぶべきことがまだまだたくさんあるようです。
興味があるなら、共に伝統的な茶芸を学ばないか?
あら、いつもの先生なら、「一緒に学びたいのなら、まずは大学へ行け!」と仰るはずでは?
はは、元々はそのつもりだったが……
大変にゃ~~!{var:Shake}
一姫が大慌てで戻ってきた。
今、台所には、ご主人に捨ててもらうつもりだった食材しかなくて、新鮮な食材がどこにもないのにゃ!
……おい、まさか私がひいひい言いながら一生懸命運んだあれは、ゴミじゃなかったってことか?
一姫が間違えたのにゃ……
仕方ない。一姫の目を見る限り、きっと本気で反省しているのだろう。だったら許してあげなきゃね。
にゃー……せっかく璃雨のご飯を食べられるチャンスだったのに、くそっ! にゃ!
……だと思った!!!
アイボー、落ち着け。重要なのは、元々予定してた第三試合が出来なくなったってことだワン。このままだと、第一回魂天神社メイドスキル大会が中止になっちまうワン。
問題ありません。料理対決が出来ないのなら、別のメイドスキル対決にすれば良いでしょう?
九条さんは事もなげに指を折って数え出した。
服飾デザイン、栄養学、家計管理、生け花、家庭の医学……先生、わたくしは全ての部門で勝負しても構いません。
ははは、もう勝負する必要もなさそうだな。
九条さんの自信に満ちた表情を見て、牧木先生はむしろ晴れやかに笑った。
私の負けだ。
え?
私がここまで焦っていたのは、君が自分の人生をきちんと考えず、ただ無為に日々を過ごしているんじゃないかと心配してたからだ。しかし、今日君とこうして交流するうちに、私の視野が狭かったのだと気付いたよ。
進学せずとも、九条は同い年の子達よりしっかりとした人生の指針を持っている。独学で多くの能力を身につけた九条は、向上心の強い、自律した人間だ。
すまなかった、君の仕事を誤解していた。もう君の進路に口出ししたりしない。やりたいことをやりなさい。
先生……
九条さんは感動した様子だ。
先生のご期待に応えてみせます。今、先生の分のお茶もお淹れしますね……
九条さんはミルクティーではなくスタンダードなお茶を淹れる準備に入ったが、先生はおもむろに立ち上がった。
いや、結構だ。
え?
牧木先生は、九条さんが淹れたミルクティーのもとへ歩いていった。
そういえば、私はこういう煮立てたミルクティーを飲んだことがなくてね。若い子はみんな好きらしいが、私にも試させてくれないか?
もちろんです、今ご用意します!
二人は笑い合い、野暮な和解の言葉は全て、お茶の中へと溶け込んでいった。
ミルクティーを味わった牧木先生は、「この後用事があるから」と別れを告げた。その後、急に雨が降り出して、夏の蒸し暑い空気ごと屋外の汚れを洗い流してくれた。大掃除はこれで終了だ。
助かった……実は俺もう眠くなってきてたんだワン。くぁ~……お前ら、好きなだけゆっくりしてってくれワン。
ワン次郎はあくびを連発しながら、自室に戻っていった。一姫に至っては、疲れ果てて眠りこけている。
私と九条さんは、特にすることもないので、客間で麻雀牌を磨き、雨が止んだら帰ることにした。
……本日はありがとうございました。
ん?
不意に、九条さんからこんな言葉が飛び出した。
とぼけないでください、今日の勝負って、あなたのアイデアですよね。
……えっと、なんでわかったんですか?
わからないなんてことあります? あんなアイデアを思いつく人なんて、この中ではあなたくらいしかいません。
はは、そっか、バレちゃったか。
九条さんが推測した通りだった。外で牧木先生に会った時、詳しい事情を聞いて、私が提案したのだ。
……つまり、九条さんがここにいることは、千織から聞いたんですか?
はい、九条が高校にいた間は、私も「お嬢様」とは関わりがあったもので。二人が一緒に育ったことも、九条は千織さんのそばから離れたくないと思っていることもわかっています。しかしですね……千織さんの方は、九条には大学に行って、更に飛躍して欲しいと望んでいるんです。
……九条さんの性格上、千織が繰り返し勧めたところで、千織のもとから離れることはなかったでしょうね。
ええ。それでも、彼女の担任として、もう一度説得しようかと。
それは……お疲れ様です。
もしよければ、私と一緒に説得してくれませんか?
……牧木先生、先生が良かれと思って行動していることはわかります。ですが、九条さんのやりたいことやなりたい人物像は、他人が決めることは出来ないと思います。あなたや私はもちろん、たとえ千織であってもです。
そうですか……はあ、もしかして私が間違っているのでしょうか?
それなら、私が二人の仲立ちを引き受けますよ。二人が納得出来る方法で、お互いの考えをより深く理解出来れば、これまでとは違う収穫が得られるかもしれません。いかがですか?
仲立ちですか……何か妙案がおありで?
……って感じで。ね、私は何もしてませんよ。九条さんと牧木先生の間に誤解があっただけなんです。先生は、九条さんがより素晴らしい人になって欲しいと思ってたし、九条さんも自分自身がそうなれるようにと思ってた。ただ、そのためのやり方が違っただけですよ。
大学に進学するのは、専門的な学問を修めるためってだけじゃありません。大学は良質な環境やコミュニケーションの場を提供し、大人への第一歩を踏み出したばかりの若者がしっかり自分を磨いて見識を広げて、たくさんの良い交友関係を築けるよう後押ししてくれるんです……
わかりました、もうやめてください。先生が乗り移ったんですか? そういうことは全部わかってますから。
進学が嫌という訳ではないのです。ただ、千織様は今、傍にいる人を必要とする中学生です。しかし旦那様も奥様も、お仕事が忙しくて近くにはいられません。私までいなくなってしまっては、どれだけ孤独を感じてしまうことでしょう……
そう言いながら、九条さんは珍しく表情を曇らせた。ふと、私は、これはやはり九条さん本人の力で解決すべきなのかもしれないと思い至った。
九条さん、将来千織が高校を卒業したら、千織も大学に進学するだろう……って考えたことはない?
それは……
ん……?
……!!!{var:Shake}
九条さんは突然目が覚めたかのようにハッとした。
そうですよね! プロのメイドたるもの、その前に大学への理解を深めておかないなんて、職務怠慢になりますよね!!!
だ、だから、先に自分自身で体験しておくっていう方法もアリかもしれませんよ? 国立楓知大学なら、私も仲がいい友達がいるし、近いうちにその人たちと麻雀でもしながら、大学の様子を聞いてみたらどうで……って、なんですその目は?
{var:player_nickname}さん、千織様があなたを特別扱いする理由が少しわかりました。
ですが、千織様はどうするのでしょう? もし本当に私が進学したら……
そこはほら、私がいるでしょ? 私が一緒に遊んで……うわっ!
言い終わらないうちに、九条さんの鉄拳が飛んできた。
頭を抱え震えていると、九条さんがボキボキと指を鳴らし、闘志を燃やしていた。
ふふっ、危うくあなたに丸め込まれるところでした。散々それらしいことを言っておいて、やはり千織様を狙っていたのですね!
違う違う、九条さん、話を聞いて!
言い訳無用、これでも食らえっ!!
何はともあれ、その日から、九条さんは大学への進学を真剣に考えるようになった。いいスタートを切れたと言える……だろう。
十分よくやったと思うよ。それに、神社全体を掃除するとなると私達だけじゃちょっと大変だし、また改めて掃除の予定を組むことにして、今日の所は思い切り麻雀を楽しまない?
うーん……そうですね。それに、わたくしの目標は、あくまでお嬢様に命じられた任務を遂行することですし!
槍槓!
一気通貫!
清一色!
ダブル役満!
……九条さん、今日はいつも一緒に麻雀する時より凶暴ですね……?
上家と下家の雀士は既に顔が青ざめていて、別の場所を求めて足早に立ち去った。私は不思議に思って九条さんを見た。
ああ、千織様がいらっしゃる時は、相手の気持ちを気にかけなければいけませんからね。
ありがとうございました。今日はここまでにしましょう。
えっ、午前中ずっと勝ってたのに、もうやめちゃうんですか?
千織様から言いつけられた任務は、午前中だけですから。何か意見でも?
その日以来、私は九条さんの雀力への認識を改めた。
私は一姫と同じだな。牧木先生すみません、私は九条さんに投票します。
二試合とも璃雨の勝ちにゃ。
三試合中二試合勝利ってことで、九条璃雨の勝ちだワン。
はあ、わかった。どうやら私は、君達若者の好みをわかってなかったようだ。九条、君の勝ちだ。
……
勝ったにもかかわらず、九条さんはあまり嬉しそうには見えなかった。
投票数では勝ちましたけど、わたくしも、本日の試合を通して、お茶の道にはまだこんなにたくさんの学ぶべきことがあるのだと初めて知りました。先生、わたくしには学ぶべきことがまだまだたくさんあるのですね。
そういう意識が芽生えたのなら、ここに来たのも無駄ではなかったようだな。負けた以上、約束通りもう進学のことは言わないよ。
しかしな、君がどんな道を進むかに関わらず、長い目で物事を見て欲しい。成長を続けて、よりよい自分を目指し続けて欲しいんだ。
先生の言葉に何か響く所があったようで、九条さんは真剣な顔で頷いた。
わかりました。先生、ありがとうございます。
この後は用があるということで、私と九条さんは、先生を神社の鳥居付近まで見送った。
軽く挨拶し、神社に帰ろうとした時、九条さんは気遣わしげな表情を浮かべた。そして振り返り、牧木先生の少し肩を落としたように見える後ろ姿を見た。
{var:player_nickname}さん、わたくしは牧木先生を傷つけてしまったのでしょうか……。
その時、牧木先生の声が聞こえてきた。誰かに電話をかけているらしい。
もしもし、私だ、牧木だ……もしもし? ……ふん、赤点を取った上に授業をサボり、挙句の果てには電話まで切るとは! 絶対に懲らしめてやるからな!
最初は少ししょげていた牧木先生は、電話を切った途端に元気を取り戻し、怒り心頭といった様子でシェアサイクルに乗り、風のように去っていった。
私は九条さんの肩を叩いた。
なんと言うか、九条さんだけが問題児って訳じゃなかったみたいですね。
こんなこと言ったら、九条さんの鉄拳が飛んでくるかと思ったが、意外にも手を払いのけただけで、神社へと戻って行った。
もちろんです。今はまだ、わたくしのことをわかっていただけてはいないようですが、必ず先生にとって自慢の教え子になってみせます! 行きましょう、まずは魂天神社の大掃除からです! 午後は外を綺麗にします!
え? まだやるの? 疲れてないんですか?
ふん、わたくしも見くびられたものですね。早く来てください!
ちょ、待ってよ……
私は九条さんの素晴らしい指導のもと、これ以上ないほど整然とした魂天神社を作り上げた。しかしそのかわりに、私の腕は丸々一週間麻雀も出来ないほどの筋肉痛に襲われた……しくしく。
メイドさんとインタビュー
絆LV5で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 206, Choices 2, Endings 3
わたくしは九条璃雨、見ての通り、メイドをしております。
歳は、今年で十九になります。
……趣味? そんなことまで話さなければいけないのですか? うう……本当に厄介ですね、これ……
あの、{var:player_nickname}さん……この部分、飛ばしたりは出来ないのでしょうか?
九条さんは引きつりつつある頬を揉みながら、アクションカメラのレンズ越しに少し煩わしそうな視線を向けてきた。
よし、10回目の録画も無事にポシャったな。
あわてない、あわてない。動画撮影は、麻雀と違って点数を気にしなくてもいいし、何回やり直してもいいんだ……私は自分を慰めながらアクションカメラを置き、何度も手に取ったせいでもはやボロボロになっている取材依頼書を指さした。
多分それは無理だよ、九条さん。この自己紹介パートは、今回の取材に欠かせない、重要な素材なんだと思う。「このセクションが無い場合は、絶対にOK扱いには出来ない」って、寺崎編集長がわざわざ書き込むくらいなんだから。
はぁ……まったくもう……わたくしは、きっと冷静さを欠いていたに違いありませんね……なぜこんなことを引き受けてしまったのでしょうか……
事の発端は、三日前に遡る……
……取材、ですか?
ええ。
何かの間違いでは? わたくしは特に有名でもない、ただのメイドですよ。
今回組もうと思ってる特集は、現代におけるメイド業に関するものなの。{var:player_nickname}から、あなたの話はよく聞いていたわ。すごいメイドだって。
寺崎さんが隣に座る私をちらと見る。つられて私も頷いた。
九条さんは、間違いなく私が出会った中で一番素晴らしいメイドです。
……という訳で、あなたに取材を受けてもらいたくて来たの。誌面とうちの社の公式チャンネルに投稿する動画の両方で特集を展開するつもりよ。
お声がけいただき、ありがとうございます。ですが、お受けするとなると、わたくしと千織様の生活にも支障が出かねませんし……申し訳ありませんが、他をあたっていただけますでしょうか。
もちろん、ただで受けてもらおうとは思っていないわ。これが報酬よ。
こうなることを予想していたのだろうか、寺崎さんは動じることなく、ぬいぐるみの写真を九条さんの前に押しやった。
これは……!!!
あなた、昔からクマのぬいぐるみを買い集めているんですってね。もう売られていないものだけど、ちょうど友人が私に譲ってくれたの。もし取材を受けてくれるのなら、これをあなたにお譲りするわ。
……
この九条さんの表情……この上なく心を揺さぶられている時の顔だな。
……取材を受けるとして、一体何をすれば?
ふふっ、そう難しいことじゃないわ。メイドの生活の実態を知るのが主な目的だから、私の部下の記者に、一日密着取材させてほしいの。
でも安心して。記事と動画に使う素材については、特定されかねないものは全て避けて、あなた達の住所はバレないようにする。どの素材も、あなたの同意を得てから使うから。
おお……これは安心出来そう。
しかし、よく知らない方に一日密着取材をされるということ自体が、あの、ちょっと……
うーん……やっぱり慣れないかぁ……
なるほど。
なら、その記者が九条さんと三上さんの知り合いなら、その心配がなくなるってことね?
知り合い……?
確かに! よく知ってる誰かに撮影してもらうのなら、知らない人に撮影される気まずさはなくなる……ん? なんで二人してこっちを見てるんだ?
いやいや、そんなまさか。私が思ってるようなことじゃない、よね?
……ええ~~!?
こうして、九条さんに一日密着取材を行うという大役が、私に任されることになったのだ。
寺崎さんは、私に取材を任せる条件として、「部下を同行させられない以上、九条さんがクマのぬいぐるみを手に入れられるかどうかは、君が収集した素材のクオリティーで判断する」と私に言い渡した。
はぁ……気楽な依頼かと思っていましたが、このような本格的な取材パートも組まれていたのですね。
そうだね……
前回までのあらすじ。一度目の撮影は、璃雨さんの声があまりに小さくて失敗、二度目はインタビューの内容が頭に入っておらず、手元のカンペをガン見していて失敗、三度目は緊張のあまり「わたくしは緊張していません!!」と口走って失敗……気付いた頃には、この冒頭の自己紹介だけでなんと一時間経過していた。
何事も、最初は大変だよね。九条さん、クマのぬいぐるみのために頑張って!
確かにそうですね……ここまで難航するなんて、わたくしらしくありません。よし、準備出来ました。さぁ、もう一度です!
よし!
私はカメラを調整し、改めて撮影を始めた。
わたくしは九条璃雨、見ての通り……、……ううう、ダメですっ!
……全然ダメです。カメラを見ると、誰かに操られているかのように、頭に入っていたはずのセリフが全て飛んでしまって、頭が真っ白になってしまいます……
今回も、九条さんは顔を赤く染めてしまい、撮影が完全に止まってしまった。私は取材依頼書に書かれている台本を眺めながら、少々痛むこめかみを押さえた。これからどうしよう……?
煮詰まった時は、アプローチを変えてみよう。こうして時間を無駄にするのも、得策とは言えないし。
いったん、このパートは後回しにしようか。
ふぅ……助かります。
九条さんはわかりやすく安堵のため息をつき、ちらりと時計を見た。
このままでは、午前中が丸々潰れて、お仕事も終わらなくなってしまうのではと……。
それは本末転倒だよね。この後は、私のことはいないものだと思って、いつものようにやるべき仕事をこなしてくれればいいよ。私は、責任を持っていいものを撮るから。
かしこまりました。では……ご面倒をおかけします。
九条さんは気遣うように私の肩を叩いた。
えっ、ただ撮影するだけなんだし、面倒なんてないよ。じゃあ、仕事を始めて。
まずは、主人の服の洗濯だよね? 優れた掃除スキルはメイドの力量を示すものだし、これは撮らないと。
その後は……届いた荷物の開封と、手紙の整理? おお、てきぱきしてるなぁ。これもいろんなアングルで撮らないと……
よし、バッチリ……! ん? 休む間もなく掃除機を手に、部屋中の掃除か……ふぅ、名場面になること間違いなしだから、やっぱり撮り逃せないぞ。
リビング掃除の撮影完了……寝室も完了……ふぅ……お庭の方も……完了……よかった、全部撮れた……さすがに座って一休み出来るよね……って、出かけるの?
えぇ、スーパーに日用品を買いに……大丈夫ですか?
九条さんは少し心配そうに、アクションカメラを置いて腰を下ろそうとした私を見た。
……もちろん大丈夫だよ! 私の体力、侮ってもらっちゃ困るな!
ふぅ……
三十分後、私はスーパーの棚にもたれかかり、満載になった買い物カートの番をしていた。九条さんが商品を選びに行った隙に、アクションカメラを降ろし、筋肉痛になった腕をマッサージする。
メイドの仕事って本当に忙しいんだな、朝からこんなに色々やらないといけないなんて。疲れて倒れたりしないのかな……
私も、初めて璃雨ちゃんと出会った時は、そう思いましたよ。あの子、ここ数年ずっとよく頑張ってますよね。
……あれ? 北見さん?
振り向くと、カートを押した北見さんが微笑んでいた。いつの間にこんな近くまで来ていたのだろう。
奇遇ですね。璃雨ちゃんを見かけたから挨拶しようと思ったんだけど、まさかあなたもいたなんて。
そうなんです……そういえば、北見さんもこの辺に住んでるんですか? 九条さんとも、前から知り合い……?
えぇ、よくスーパーで会うので、一緒に食材を選んだり、レシピを共有したりすることがあって、それでお友達になったの。
なるほど。
一飜市って、広いはずだけど本当に狭いよな。今ばかりはそう言わざるを得ない。
それで、何を撮ってるんですか? Vlogのようなものかしら?
ああ、これは……
私は、今やっていることを説明した。
うふふっ……そうだったのね。璃雨ちゃんは可愛らしいもの、確かに記事にする価値があるでしょうね。あっ、良いことを思いついちゃった。「友達から見た印象」というテーマを、取材内容に加えてみるのはどうでしょう?
むむ? 詳しく聞かせてください。
ふふ、璃雨ちゃんと知り合って間もない頃、動物の形のお寿司を写真に撮って、「CatChat」に投稿したら、璃雨ちゃんが見てくれたみたいで。私の家に来て、作り方を教わりたいと言ってくれたことがあったんです。
璃雨ちゃん、出来上がったお寿司をうちの子に食べさせてくれたんですけど、うちの子ったら、璃雨ちゃんが丹精込めて作ったクマのお寿司を指さして、「お姉ちゃんが作ったブタさん、可愛いね」って言ったんですよ。璃雨ちゃん、それでしばらく落ち込んじゃって。
あははっ、九条さんにもそういう時期があったんですね。
はい。その後、真剣にお寿司作りを練習する璃雨ちゃんの顔……どれほど可愛かったか、あなたにも見せてあげたかったわ。あ……もう一つあったわ! つい最近のことなんだけど……
……? き、北見さん!
あら、璃雨ちゃん。ちょうど、{var:player_nickname}さんにあなたの可愛いエピソードを話してたところなんです。取材とかそういうのに、彩りを加えられるんじゃないかと思って。
あ、アハハ……ありがとうございます。そうだ、さっき鮮魚コーナーに新しくサーモンが並べられたんですけど、結構良さそうでした。見に行きませんか?
そうなの? いいわね、行きましょう。
あの、まだ話の途中で……
はい?
あ、いや……はは……行ってらっしゃい……
振り向きざまに放たれた九条さんの鋭い眼光を受け、私は黙って危険な好奇心を引っ込めた。
ほ、本当にもう食べられないよ……
ダメです、全部食べてください。
いやでも、これはさすがに多過ぎない……?
私はほとんど手のつけられていないサーモンの大皿二枚を前に、弱々しく九条さんに訴えた。
勝手に妙なネタを集めようとしてたのが悪いんです。北見さんの注意を逸らすために、仕方なくたくさん買ったんですから、新鮮なうちに全部消費してください。
……はぁ……わかったよ……
はち切れそうなお腹をさすりながら、一姫のことをとても恋しく思った。はぁ、今日ばかりはあいつを連れて来るべきだった。
とにかく、こちらはあなたが何とかしてください。……今日の取材は、ひとまずここまでにしましょう。
あれ、午後は密着しなくていいの?
そうですね……実のところ、特に急ぎの仕事がない日の午後は、たいていはメイド業とは全く関係のない、ごく個人的なことをしているのです。ですので、撮影や記録の必要はないように思います。
午後はどこか麻雀でもしに行っていただいて、後で自己紹介の場面を撮ってくだされば問題ないかと。
そっか……
私はさりげなく取材依頼書に目を通したが、確かにプライベートまで取材しろとは書かれていなかった。寺崎さんも、「読者が見たいと思うかどうか、という視点で取材するといいわ」というアドバイスくらいしか言ってなかったな。
それなら、この後は……
取材依頼書では、撮る内容についてはっきり指示されていなかった。しかし、寺崎さんは「読者が見たいと思うようなものを」と言っていた。よし、決めた。
九条さん、午後のプライベートの時間も密着させてほしいんだけど、良い?
え? メイドの仕事をしていない時間も取材するということですか? 取材依頼書には必要とは書かれていないのですよね……既にあなたは結構な面倒事をこなしていますし、そこまでしなくても良いのでは?
いや……厳密に言うと、これは私の考えなんだ。
他の人のことはわからないけど、少なくとも私だったら、メイドの仕事をしていない時の九条さんを知りたいと思うはず。
仕事をしていない時の、わたくしを……?
うん、だって、メイドの仕事の内容自体はすぐ想像がつくけど、メイド業に勤しむ九条さんの人となりや、この仕事を選んだ理由、それに普段どうやってこの仕事と生活を両立させてるのか……そういう、より「人」を感じられるネタなら、よりみんなの興味を引けそうじゃない?
少なくとも、私はそういうのが見たいなって。
……わかりました。大変な思いをしても構わないと言うのなら、わたくしは構いません。……では、行きましょう。仕事以外の時間、わたくしが何をしているのか、見せて差し上げます。
うん!
仕事が終わると、まず私はここで日々のトレーニングをします。
……「日々のトレーニング」って、テコンドー黒帯同士の手合わせのこと?
意外にも、九条さんが最初に向かったのはテコンドー道場だった。うわっすごい、道場の壁に、相手を倒す道着姿の九条さんの写真が貼られてるぞ。
たかが黒帯三段です。元々、千織様をいじめる者が現れた時用に身につけたスキルでしたので、それからはもう試験を受けていなくて。
てことは、実際の実力は段位以上にあるってことか……
普段は手加減してくれているっていう九条さんの話、本当だったんだ。ありがたや……。
トレーニングを終えたら、ついでにお店を回って、欲しいものを買います。
うんうん、これは想像がつくなぁ。女の子はみんな、ショッピングが好きだもんね。
例えば、手芸店に行って、千織様に美しいワンピースを作って差し上げるための生地を買ったり、日用品店で新しい家事道具をチェックしたり、本屋に行って、より便利なスケジュール帳や新刊のレシピ本、収納本のベストセラーといった本を探したりしています。
女の子のショッピングって、そういうものじゃないよね!?
お店を見て回り、気に入ったものを買ったら……
生地や日用品、本でいっぱいの袋を持ってほくほくの九条さんは、不意に歩みを止めた。
ん? 帰るの?
ええ、これまではそうだったのですが、最近はもう1つ好きなことが増えました。それは、こちらで一息つくことです。
九条さんの視線を追うと、そこは道端にある茶屋だった。
えっ……お茶屋さん?
はい。これまでは、メイドの基本スキルだからという理由だけで、お茶を勉強していました。本当の意味でお茶の世界に注目し始めたのは、先日魂天神社で先生とお茶の心得について語り合ってからです。
お茶について学んでからというもの、お茶を淹れる度に自分の心身が落ち着き、気持ちが晴れるのを感じるようになりました。……あら? そんな風にわたくしを見て、どうしたのですか?
いや……ただ、今日はこの取材を機にいろんな九条さんが見られて、いろんな話が聞けて、嬉しくて。
そ、そうですか? あなたが喜ぶポイントって、本当に変わってますね……。さあ、お茶を飲みに行きましょう。ここまでの撮影お疲れ様でしたということで。
あはは、じゃあお言葉に甘えて。
キャーッ! 私のバッグが……! ひったくりよ、捕まえてー!
突然聞こえた叫び声に、私達は足を止めた。人影がすぐそばをビュンと走り抜けていく。気付けば、私の手元には九条さんの買い物袋があった。九条さんはというと、既にその人影を追いかけていた。
慌てて、アクションカメラを引っ掴んで九条さんの後を追った。交差点を抜けて追いつくと、ちょうど九条さんが泥棒にドロップキックをくらわせ、地面に組み伏せた所だった。
周囲からは感嘆の声が上がった。
わ~……かっこいい! アクション映画のワンシーンみたい!
すごすぎる。あの人、警官? でも、メイド服を着てるよな?
コスプレ? どこかのメイド喫茶の店員とか? お近づきになりたいなぁ……
野次馬が興奮して議論を交わす中、九条さんはひったくり犯からハンドバッグを取り返し、バタバタと追いかけてきた持ち主に手渡した。
どうぞ。ここは通報して、後は警察に任せましょう。
ありがとうございます! 本当に、ありがとうございます……
あの、お姉さん、お名前は? どうやってご連絡すれば……?
ああ、バッグを取り返すほんの少しのお手伝いをしたまでですし、名乗るほどの者ではありませんよ。わたくしはただのメイドですから。
メ、メイド……あっお姉さん、待って!
九条さんがすごいスピードで歩いてきて、私の肩をポンと叩いた。
行きますよ!
え?
言うが早いか、九条さんは飛ぶように走り出した。それから一秒と経たずに、私は人に囲まれてしまった。
あなた、あのお姉さんの仲間!?
ねえねえ、あの人誰? 教えてくれない?
撮影してたの? あの子、スターか何か? それともインフルエンサー? 名前を教えて!
あの、すみません……すみません……彼女は本当にただのメイドで……失礼します……あの、通してください……うわ~、くじょ……メイドさーん! 待ってよー!
その日、私と九条さんは、寺崎さんから課された撮影ミッションを全て無事に終えた。九条さんは念願のクマのぬいぐるみを手に入れ、私はより大切なものを手に入れた。そう、より生き生きとしていて人を惹きつける九条さんの新しい一面をね。
午前中のものだけでも十分撮れ高はあるし、それにプライベートにまで密着するのも良くないだろう。
それもそうだね。じゃあ、九条さんは好きなことをして過ごしてて。私は魂天神社に麻雀をしに行くから、また後で……あれ? いつの間に包み終わったの?
考えている間のわずかな時間で、九条さんはテーブルの上のご馳走をテキパキと仕分けし、お弁当にしてくれた。
持って行ってください。では、また夜に。
……うん。
はぁ、このお弁当作りの特技を撮れなかったのは、ちょっと残念だったかも。
魂天神社に向かい、一姫に弁当をあげると、満足した一姫はお返しとして大きなお菓子の袋を私に持たせた。三上邸に戻る頃には、既に夕方になっていた。
九条さんがどんなことをして過ごしたかはわからないが、どうやらかなり気分転換になったらしく、自己紹介動画も無事に撮影出来た。
しかし……
うーん……ダメね。
えっ? 不合格ってことですか?
そうね。内容は「いたって平凡」。全編にわたって、視聴者がテーマを見たら即座に想像出来る場面ばかりだったわ。確かにどのスキルもすごいけど、今時のネットではパッとしないわね。
こういう素材ばかりのコンテンツは、発表する意義が無いわ。ストレートに言ってしまって申し訳ないのだけど。
次に魂天神社で寺崎さんに会った時、素材を見た彼女は、このように厳しい評価を下した。
そうですか……
九条さんはうなだれていて、この結果にとても落ち込んでいた。見かねた私は、寺崎さんに問いかけた。
じゃあ、もう一度……
もう間に合わないわ、もうゆっくりテーマを選んでられる段階じゃないの。私の方で、もう別の案を準備してあるから。
あ……
前に{var:player_nickname}から九条さんの話を聞いた時、面白い人だと思ったの。でも残念ながら、今回君は、彼女の輝く瞬間を映し出せなかったわね。
とはいえ、お疲れ様。こちらから九条さんに取材を申し込んだのだから、クマのぬいぐるみは差し上げるわ。
えっ……!?
……ほ、本当ですか? やった! ありがとうございます! ですがお金は払います、カードでも現金でもいけます!
クマのぬいぐるみを手に入れられるとわかって、九条さんは瞬く間に元気を取り戻し、私の心配もようやく少し落ち着いた。
それにしても、寺崎さんの少し残念そうな言い方からして、やっぱり記者って誰にでも出来る仕事ではないのだなと思う。九条さんの輝きは、これから個人的に、時間をかけて捉えていくしかないだろう。
もう少し暗記してから再開する?
そうですね……
九条さんは台詞を暗記し直し、改めて撮影を開始した。
ふぅ、やっと完璧にセリフを最後まで言えたね……
出来栄えはいかがですか?
それは……
あら? もしかして、良くないんですか? 見せてください。
リプレイを見ながら言いよどんでいると、九条さんはアクションカメラを奪い取り、最初から再生した。
……
……
……この全身硬直して、ひきつった笑みを浮かべているのが、わたくしですか?
いや、言うほどひどくはないけどね……
うううう、ダメです! 最も優秀なメイドとして、こんなカチコチな様子が世に出てしまっては大恥をかいてしまいます! いけません、それは絶対にいけません!
え? え? ちょ、削除ボタンから手を放して、やっと撮れた一本なんだから!!!
九条さんは、自分の映りの悪さを前に、最後まで撮影をやり遂げる自信を失ってしまった。
そう……いいのよ、想定内のことだから。
記事を落としたら大変じゃないかって? ふふ、それは心配いらないわ。常に二つ以上のテーマを進めるようにしてるから。でも取材を完了出来なかったのだから、クマのぬいぐるみはあげられない。彼女にはそう伝えてちょうだい。
はい、わかりました。
寺崎さんを見送り、私はため息をついた。
臨時記者なんて、一介の雀士である私には難しすぎたのだ。九条さんにクマのぬいぐるみをあげられなかった以上、これからは率先して麻雀に付き合って、慰めるしかないな……
メイドさん、倒れる
契約を結ぶことで開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 278, Choices 3, Endings 3
……璃雨さんが、病気?
あんたの耳は正常よ、何度も言わせないで。ふん、千織は今日、用があって学校に行かなきゃいけないの。じゃなきゃ、あんたなんかに電話してないわよ!
とにかく、今日あんたは璃雨についてること。わかったら、今、すぐ、速攻で来なさい!
夢うつつの早朝に、千織から急な電話がかかってきて、璃雨さんが病気になったらしいと聞いた。まだ詳しい状況もよく飲み込めていないけど、璃雨さんが助けを必要としているかもと考えたら、足が勝手に三上邸へと向かっていた。
今、璃雨さんはどんな様子なのだろう……璃雨さんはいつも元気いっぱいで、好きなメイドの仕事をしてる時や、友人達と一緒に麻雀をする時、そして何より千織と一緒にいる時なんかは、いつも積極的に場を盛り上げてくれるような人だけど……
……頑張ってください! 落ち着いてやれば大丈夫です! 今日も千織様はきっと、場にいる全ての者を圧倒します!!!
そうそう、まさにそういう感じで……ん? あれは……?
家の前でそんな大声出さないで、たかが終業式の在校生代表挨拶くらいで、大げさなんだから。
ええ、そうですね。さすが千織様、やはり上に立つ者の風格を備えておいでです!
だから、そんな大げさなものじゃないわよ!
三上邸の玄関先に向かうと、ドアの前で鞄を背負った千織に笑顔で話す璃雨さんの姿が見えた。その元気な様子は、千織から聞いていた印象とは真逆のものだった。先ほどの大きな声も、璃雨さんのもののはずだ。
ん? {var:player_nickname}じゃない。今日は時間通りに来たのね、悪くないわ。
……
おはよう、璃雨さん、千織。
じゃ、璃雨の世話はあんたに任せるわ。璃雨、今日はゆっくり休むのよ。
はい……
うん、任せて。
千織様、頑張ってください……!
千織を乗せた車が完全に見えなくなる頃になってようやく、璃雨さんはぶんぶんと振っていた両手を下ろした。
……はぁ。
それと同時に、彼女はしぼんだ風船のように、みるみるうちに萎れてしまった。
……(じー)
はっ……!
私の視線に気付いたらしく、璃雨さんは一瞬で疲労の色をかき消した。
何見て……まぁいいです、無駄足ご苦労様。千織様も学校へ向かわれたことですし、あなたも二度寝に戻られて構いませんので。
そうも行かないよ。千織から、璃雨さんが病気で看病が必要だって言われて来たんだから。
それは、完全に千織様の心配し過ぎです。わたくしが、看病を必要とする病人のように見え……ヘクシュンッ!
……
説得力の欠片もない説明どうも。結局、さっきの空元気は千織に心配をかけないためなんでしょ?
……空元気? 何のことです? 軽い風邪をひいただけで、看病が必要なほどではありませんってば。
すぐにお帰りください、わたくしなら大丈夫ですので。
璃雨さんの笑顔はとても美しく、口ぶりはすこぶる軽やかだ。立ち振る舞いも……
……鼻をズビズビ鳴らしていて、見るからに具合が悪そうだ。
わかったから。もう来ちゃったことだし、中に入れてくれない? 朝ご飯も食べずに駆けつけてきたんだから。
それなりに元気そうに見えるけど、千織は理由も無しに人に手伝いを頼んだりする子じゃないはず。やっぱり何とかしてここに残って、璃雨さんの体調を確認させてもらわないと。
……わかりました、お客様としてなら歓迎いたします。
お邪魔します。
とりあえず、そこのお菓子でも食べてってください、わたくしはお茶を淹れてきます。
いやいいよ、わざわざお茶淹れなくても。
大切な客人ほど、丁重に接する。これこそ、優秀なメイドのおもてなしです。
少し話した限りでは、いつもより鼻声ではあるけれど、それ以外の症状は認められない。
もしかして、本当に千織の心配しすぎ……?
ロイヤルミルクティーと、わたくしが新たに考案したソルティ紅茶、どちらになさいますか?
早朝のミルクティーほど、心癒されるものはない。
じゃあミルクティーがいいな、ありがとう。
かしこまりました。
キッチンから漂ってくるお茶の香りが、うとうととしていた私の鼻腔をくすぐった。お菓子をくわえたままキッチンに向かうと、ちょうど璃雨さんが鍋に牛乳を注いでいる所で、洗練された手つきは見ていて実に楽しい。
ミルクティーの香りがどんどん濃くなって来てるけど、煮出す時間がちょっと長くないか? 居眠りしてた私を見かねて、特別にそういう淹れ方をしてくれてるのかな……?
鍋を見つめる険しい表情からして、こんなに長く煮出しているのには璃雨さんなりの理由があるはず。
……さすがに長すぎる気が……ん? なんか焦げ臭いような……
……ん? 今日のお茶、何だか変ね。これだけ長く煮出してるのに、全然香りがしてこないなんて。
……え?
……え????
ちょ、は、早く火を消して!!
慌てて火を消し、もはやコーヒー色になった「キャラメル」ミルクティーと言うべき代物を見て、璃雨さんは軽く胸を叩き、ホッとため息をついた。
ふぅ……風邪のせいで鼻が利かなくなっているだけだったのですね。わたくしのお茶を淹れる腕に問題が生じたわけではなくて、本当によかったです。
ソルティ紅茶で。璃雨さんの新作ってことなら、もちろん試さないとね。
かしこまりました。
さ、どうぞ。お塩を入れていただくと、独特な風味できっと忘れられない味になりますよ。
ありがとう。
期待に胸を膨らませて一口飲むと、強烈な塩味が口いっぱいに広がった。
……ゲホ、ゲホゲホ……確かに忘れられない味だ……なんでこんなに塩辛くしたの?
……? ちょっと失礼します。
……どうしてそんな涼しい顔でいられるんだ……?
やっぱり。
え?
出来上がったものを味見したら味が薄かったので、お塩が足らなかったのかと思い、もう一度足したのです。
少し頭痛がありますが、頭は働いているようですね。味覚を失うだけで済んで幸いでした。
えぇ……?
「だけ」とか「よかった」で済む状況か?
失礼しました、淹れ直してきます。
待って、お茶が問題なんじゃなくてさ。風邪がひどいみたいだけど、薬を飲んだりとかは……?
必要ありません、ごく軽い症状しかありませんから。それに今日はまだ仕事がたくさん残ってますし、風邪薬を飲んだら眠くなってしまいます。
でも、千織からゆっくり休めって言われてるんじゃ……
ええ、休むつもりです。今日は家中の床を二回磨く予定だったのですが……
今の予定は?
一回だけにするつもりです。
それのどこが休んでることになるんだ!!!
それは良くない気がするよ。
どこが良くないんです? まさか、何もさせないつもり? 私の能力を疑うというのですか?
言いがかりはやめて、そうじゃなくてさ……
わかりました、でしたら見せて差し上げます。ただの風邪程度で、わたくしの力は揺らがないことを!
本当にそういう意味じゃないんだって!!
弁解はもはや届かず、璃雨さんはメラメラと闘志を燃やしていた。
私は、ゆっくりと床掃除をする璃雨さんを黙って見ていることしか出来なかった。
ふぅ……今日のお部屋はいつもより広く感じますね。
体力が普段より落ちてるからじゃない?
……
はぁ、私に任せて。
私は璃雨さんからモップを受け取った。
私は璃雨さんが花に水やりするのを黙って見ていることしか出来なかった。
変ですね。この鉢の土、どうしてもう濡れているのでしょう。
それは、さっき璃雨さんが水をあげたからじゃないかな。
なんですって!?
水やりし忘れてた方には、さっき私があげておいたから、もうその辺で……
「ピンポーン」とインターホンが鳴った。璃雨さんが注文した食材を持ってきたネットスーパーの配達員は、怪訝そうにこちらを見ると、汗を拭って立ち去った。私と璃雨さんは、床に置かれた満漢全席が作れそうなほどの食材が入った大小様々な袋を、唖然として見つめた。
お昼を作ってくれるのは有難いけど、この量はちょっと多過ぎない?
その……数の入力を間違えたみたいで……
璃雨さんは赤面した。
はぁ、ゆっくり休んだほうがいいって言ったでしょ?
いえ、わたくしは大丈夫です。
私は、下唇を噛みながらキッチンへ食材を運んでいく璃雨さんを止めに入った。
璃雨さん、このままじゃ本当にまずいよ……
ダメだよ、今は薬を飲んで休まないと。お昼は私が作るから。
いけません、お客様に対してそれはあまりに失礼です。
でも私は、お客様である前に、あなたの友達だよね? 友達としての私の方をより尊重すべきなんじゃないの?
友達が病気なのに自分のために忙しく働かせるなんて、私には出来ないよ。
……
璃雨さんの顔がより赤くなったように見えて、私は一歩踏み込んで、彼女の額にそっと触れた。
っ……!{var:Shake}
やっぱり、熱が出てる。
……ゴホッ……こんなに近付いて、うつっても知りませんよ……?
そういうのを気にしてる人だったら、ここに来てないよ。
璃雨さん、病気になったら無理せず、ちゃんと休んで。
私の前でくらいは、スーパーメイドをやめてもいいよ。今ここには私達しかいないんだし、少し緊張を緩めてもいいんじゃないかな。
はぁ……わかりました。
璃雨さんはようやく私の意見を聞き入れて、風邪薬を飲んで自室で休んだ。私はキッチンに入り、昼食の準備を始めた。
部屋の鍵が開いていたので中を覗くと、ベッドで眠っている璃雨さんが見えた。
一姫はよく私に、「ご飯はしっかり食べておくに限るにゃ。美味しいご飯で治らない病気はないにゃ!」と言っていた。病気にかかったのなら、やっぱりきちんと栄養を摂っておいた方がいいだろう。私は璃雨さんを起こして、ご飯を食べてもらうことにした。
璃雨さん、お昼だよ。
ゴホッゴホッ……どうぞ。
日当たりのいい部屋に入ると、璃雨さんは既に着心地が楽そうな部屋着に着替えていた。毛布をかけてベッドにもたれかかり、ぐったりと頬を紅潮させていた。
よく知っている普段の璃雨さんとは似ても似つかない弱々しい姿を見て、私は少しの間ぼうっとしてしまった。
さっき薬を飲んだら、汗をかいたので、着替えさせていただきました。
そっか、じゃあ少し具合良くなったのかな?
ええ、熱もそこまで高くないように思います……
よかった、じゃあこれ食べて。お粥を作ったんだ。
お粥……ですか?
私は持ってきたお盆をテーブルの上に置き、お粥と簡単な付け合わせを並べた。
他の物はないのですか?
これだけだよ。病人はこってりしたものを食べちゃいけないしね。これは自分の体を粗末にした結果、議論の余地は無しだよ。
そんな……わかりました。
璃雨さんは渋々といった感じで首を振り、お粥をレンゲで掬うと、ふーふーと息を吹きかけて冷まし、一口食べた。
……
その反応……もしかして、美味しくなかった?
いえ……ただ、幼い頃、まだ実家で暮らしていた時、風邪を引いたら、母がこういうお粥を作ってくれたことをふと思い出してしまって……
璃雨さんは俯いた。長く繊細なまつ毛に隠されて、心中が読み取れない。レンゲでお椀を軽くかき混ぜる姿は、どこか感傷的に見えた。この人はもう何年も一人で千織の面倒を見ているけれど、まだ十九歳の女の子なんだよな。
もちろん、お母様のお粥はあなたのこれより美味しかったのですが。
……
続いた言葉によって、それまでの少し感傷的な雰囲気が霧散した。
はいはい、それが現実的な評価だよね、わかってます。
ふふっ、冗談ですよ。あなたは十分優秀です。ですが、今のレベルに甘んじるのも困りますので、あまり調子に乗らせないようにと思いまして。
うん、璃雨さんの評価、有難く受け止めるよ。
璃雨さんは私のお粥を褒めてくれたものの、少し食べただけでレンゲを置いてしまった。
食欲がないの?
璃雨さんは頷いたが、何か思い出したかのように、すぐに首を横に振った。
……体調によるものではなくて。その、今日は千織様の終業式だということを思い出したのです。
本来なら、わたくしも学校に行き、お嬢様の今日この日の姿を記録に収めるはずでした。そのためにずっと準備をしてきたのですが、よりによってこんな時に風邪を引くなんて……。大事な瞬間に立ち会えなかったと思うと、食事も喉を通らなくて。
そっか……。
どうやら、今朝千織を見送る時に残念そうな様子を見せなかったのは、千織の気を散らさないようにという気遣いだったみたいだ。内心では悔しいと思っているに違いない。
だから朝からあんなに張り切って忙しくしてたんだね。そのことを考えないようにするために。
はぁ……今思えば本当に馬鹿馬鹿しいやり方です。案の定、何一つうまくいきませんでした。
まあ、病気の時って頭も回らなくなるしね、わかるよ。
……病人状態なら、私の拳の威力も落ちるとでも?
私は時間を確認した。
あはは、冗談だよ。ところで、千織の代表挨拶って、何時くらいにあるの?
予行練習の通りなら、およそ一時間後に始まるはずです。
そうか……なら、まだ間に合うかもしれないな。
えっ……?
青露中学に友達がいるんだ。会場には行けなくても、ビデオ通話で式の模様を見られるかもしれないよ。
ええっ!
本当ですか!?
もちろん本当だよ。でも、一つ条件がある。
構いません!
まだどんな条件か言ってないんだけど……割に合わない条件吹っ掛けて来たら、とか思わないの?
いいえ? あなたがそういう人でしたら、わたくしや千織様の友人になれるはずありませんし。
くっ、良識を盾に論破されるとは。わかった、条件は……今すぐお昼を食べ終えること。
……ふふっ、わかりました、従いましょう。
旧校舎のお友達が、今日は絶対に終業式を見に行って、そうすれば嬉しいことが起こるからって言ってたの。そういうことだったの……ふふ……{var:player_nickname}の力になれて本当に嬉しいの……私、頑張るの。
よかった、森川さん、ありがとうね。
森川綾子がスマホのカメラの向きを変えると、青露中学の終業式の様子が画面に映し出された。拍手に迎えられ、金髪の少女が堂々たる足取りで登壇した。カメラがズームすると、それはまさしく千織だった。
千織は小さく頷いて挨拶し、原稿も見ずにしっかりとした口ぶりで代表挨拶を始めた。
先生方、保護者の皆さん、そして生徒の皆さん、こんにちは。二年の三上千織です。今日は生徒代表として、ここでご挨拶出来ることを光栄に思います……
璃雨さんは食い入るようにスマホを見つめていた。すると驚いたことに、スピーチが終わる頃になって千織は急に会場を見回し、森川さんのスマホ……つまりこちら側を鋭く捉えた。
最後に……
千織様がこちらを見た……?
あ、ごめんなさい……充電が……
その時、森川綾子の慌てた声を最後にビデオ通話が切れた。
あら……?
私は慌てて電話をかけ直したが、無情にも「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません」との音声が返ってくるだけだった。
どうやら、スマホの充電が切れてしまったようですね……
そうみたいだね……
でも構いません、千織様の代表挨拶をほとんど全て見ることが出来て、わたくしは十分満足です。ありがとうございました。
あ、アハハ……どういたしまして……
……これが何を意味するのかわかってないから、そう言えるんだ……!
森川さんに連絡を取った後、私は千織にも連絡を入れていた。千織はちょうど控え室で、この後の代表挨拶の準備をしている所だった。私は、璃雨さんの状況とこの後の計画について伝えた。
……ビデオ通話で璃雨に見せる?
ふん、あんたも少しは気遣いが出来るのね! 帰ったら、璃雨を看病してくれたお礼も兼ねてご褒美をあげるわ。ご馳走も用意してあげる。
ま、そうと決まれば千織も何もしない訳にはいかないわ! 璃雨の喜ぶことを考えることに関しては、あんたみたいなバカに負けるわけにはいかないもの。
……この千織がわざわざやるって教えてあげたのよ、とにかく絶対に最後まで璃雨に見せなさい!
はは、了解。千織のサプライズがあれば、きっと璃雨さんはもっと早く元気になるよ。じゃあ、私たちで璃雨さんに心に残るライブ中継を見せてあげよう。
まずいことになった……
どうしたのですか?
思ったより早く千織から電話がかかってきたため、言い訳を考える時間も取れないままだ。
千織様からですか?
璃雨さんに促され、私はスピーカーをオンにせざるを得なかった。
璃雨、嬉しかった?
もちろんです! 千織様の感動的な代表挨拶は、間違いなくその場を圧倒されました!
挨拶じゃなくて、最後の璃雨へのメッセージの方よ!
最後? 最後に何かあったのですか?
……ん? 璃雨、あんた最後まで見なかったの? どういうこと、{var:player_nickname}?
千織の声の圧が急速に増していく。
その~……アクシデントが起きまして。
はぁ? あんた、絶対大丈夫って言ったわよね? だから千織は大勢の前であんな突拍子もないことを言ったのに……あ~も~~!{var:player_nickname}! あんたってホント 終 わ っ て る わ!
画面越しにビシビシ伝わってくる千織の怒りに、私はひええ~と思いながらボリュームを下げた。どうやってこのお嬢様をなだめようかと考えていた時、不意に暖かい手が伸びてきて、そっと私のスマホを取り上げた。
この手の持ち主は、もちろん璃雨さんだ。
まあまあ、そう怒らないでください。
千織様のお言葉を聞けなかったのは残念でしたが、千織様のお考えは大体わかります。正直な所、サプライズなんて無くても、ただ千織様のお姿が見られただけで、わたくしはとても励まされました。
バカ璃雨、それとこれとは違うでしょ……
璃雨さんの飾らない言葉により、怒りに燃えていた千織は瞬時に大人しくなった。
本当は、千織様だって本気で怒ってはいないのでしょう? 今朝、信用出来るご友人にわたくしの看病を、と迷わず{var:player_nickname}さんに連絡されたこと、忘れていませんよ。
その時、わたくしは人に看病などされるまいと拒んでいましたが……
璃雨さんは、ちらりと私を見てから、真摯に話を続けた。
千織様は正しかった。
千織様の仰った通り、{var:player_nickname}はとても信頼に値する、頼れる人だと思います。今日も、わたくしの看病をしっかりとこなしてくれました。
……あ~~!! 璃雨ってば、きっと熱で頭がやられちゃったのね! 千織はそんなこと一言も言ってないんだから!
「ツーッ、ツーッ、ツーッ……」
……もしもし? 千織様?
えーと、切れちゃったみたいだね。
そうですか、でもご安心ください。わたくしの知る千織様なら、少し取り乱してしまっただけで、何か行動を起こすことはありませんから。
あのさ……私は、さっきの璃雨さんの話の方が気になってるんだけど。
え……?
今日私がここに来たのは、千織に頼まれたからじゃない。
璃雨さんが病気だって聞いて、心配だったからだ。
私のこと、信頼に値する人だって言ってくれて嬉しかったよ。もしどうしてもご褒美をくれるってことなら……璃雨さんに、これからも私を信じて、頼ってもらいたい。
病気の時だけじゃなくて、どんな時も璃雨さんの支えでいたいから。
えぇっ!?
……
きゅ、急にそんなこと言うなんて……
璃雨さんはしばらく呆然として私を見ていたが、ハッと気が付くと、わたわたと布団に潜り込み、私に背を向けた。表情は見えないが、真っ赤になった耳が覗いている。
少し眠くなったので、休みます。お、お、お帰りください。
てことは、同意してくれたの?
黙ってるなら同意してくれたと見なすよ。
よかった。そうだ、璃雨さん、また熱があるんじゃない? 耳が赤いよ。
……もうっ!
恥ずかしさが怒りに変わったのか、璃雨さんはがばっと体を起こし、私の肩に一撃を食らわせた。しかしその拳の威力は可愛いもので、少しも恐ろしさを感じなかった。
早く帰ってください。風邪が治ったら、こんなものでは済みませんよ!
あはは、わかったよ。
幸いなことに、数日すると璃雨さんの風邪はすっかり治り、元気な彼女が戻ってきた。
璃雨さんにとって「信頼出来て頼れる人」となった私は、麻雀に付き合うだけでなく、色々な面白いことをして一緒に過ごすようになり、璃雨さんがあらゆる感情を分かち合ってくれるような特別な存在になった。
せっかく休む気になったのだから、ゆっくり寝かせておこう。私はドアを閉めて、静かに階段を下りた。
ふわぁ……
早起きが響いたのか、今になって眠気が増して来て、いつの間にかソファーで眠ってしまっていた。昼寝から目覚めて璃雨さんの様子を見に行ったら、喜ばしいことに熱は既に下がっていた。
失礼します!
数日すると璃雨さんの風邪はすっかり治り、元気な彼女が戻ってきた。
変わったのは、璃雨さんがもう千織の代理として麻雀をするだけでなく、プライベートの時間も、進んで私と過ごしてくれるようになった。
チッ、あなたの部屋はどうしてこうも散らかってるんですか? 早く立って、床は私に任せて、あなたはテーブルの上を片づけてください。
……さっさと動いてくださいね?
私たちの関係性は、これまでとあまり変わっていないのかもしれない。けど最近は、時々璃雨さんが何か打ち明け話をしてくれようとする雰囲気を感じるのだ。
……まぁいいです。実は、今日はあなたにこれを渡そうと思って来たのです……新しく作ったお茶菓子、食べてみてください。
わざわざ私のために持って来てくれたの?
え? ……ふふふ、知りたいですか? 本当に知りたいですか?
拳を握った璃雨さんを見て、私は黙って首を横に振った。
そうですよね、美味しければ何でもいいですよね? そういえば、このあと行く麻雀会館はどちらですか?
璃雨さんはキョロキョロと目を泳がせて、話題を逸らそうとした。仕方ない、言いたくないならそれでいい。雀士として、人としての魅力に溢れた対局仲間が増えただけで、私は嬉しいのだ。
璃雨さんを説得出来る一番の方法は、恐らく千織の名前を出すことだろう。
璃雨さん、私は今日、千織に言われて君の看病をしに来たんだ。千織、璃雨さんのことをすごく心配してたよ。このまま頑張って病気がひどくなったりしたら、帰ってきた時きっと悲しむよ。
ですが……
千織が戻ってきて、君の病気がひどくなったら、誰が千織のお世話をするの?
……確かにそうですね。
私の説得により、璃雨さんは黙って食材の入った袋を置いた。
私はささっとお粥を作り、璃雨さんはそれを平らげると、部屋に戻って休んだ。
一日が経ち、璃雨さんの熱が下がったのを見て、私は安心した。千織が帰って来たので、私も自分の家に帰ることにした。
よくやったじゃない。安心して、報酬はそれなりに出すわ。
ちょっと、私達は友達なんだから、そういうの気にしなくていいよ。
今日は色々してくださって、ありがとうございました。元気になったら、料理でも振る舞いましょう。
そんな大げさな……リクエストはあり?
まったくもう……
冗談を交えた談笑のあと、私はご馳走を楽しみに帰宅した。
喜ばしいことに、数日すると璃雨さんの風邪はすっかり治った。
もしもし……璃雨さん……え? ご馳走を作ってくれる日って、今日……?
別の日にしてくれない……? 私……ゲホゲホ……なんか……風邪ひいたみたいで……ゲホゲホッ……
まあ……旬の食材は人を待ってくれませんし、今回は一姫さんに食べてもらいましょうか。今すぐお粥を持って行きます、待っててください!
……何を……待つって……? もしもし……
はぁ……楽しみがかなり減ってしまった。