二之宮花
偶然に麻雀の存在を知った彼女はこの四角い雀卓上で相応の実力を発揮できさえすれば、みんながちゃんと自分を見てくれることに気づいた。 本人は気づいていないだろうが、普段の園芸部で草花の世話をしている時ははにかむような様子でも、麻雀に夢中になっている時は目に自信の輝きをきらめかせているため、まるで別人かのような様子に変貌する。
Profile
Skins
二之宮花の初期衣装
二之宮花と契約を結んだ時に入手できる着せ替え衣装
「春容万象」にて購入できる限定の着せ替え衣装
「雀魂夏祭り・一姫当千」にて購入できる水着テーマの着せ替え衣装
「メイドとお茶会」にて購入できるメイド服テーマの着せ替え衣装
「ウィンターワンダーランド」にて購入できる、クリスマステーマの着せ替え衣装
「謎ガチャ Ver.ファンタジー」にて購入できる、パジャマテーマの着せ替え衣装。
Emotes
Bond Requirements
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プレゼント・普通
ありがとうございます......これ、心ばかりですが、お花の種です。綺麗なお花が咲くんですよ。
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プレゼント・好み
......いいえ、嫌いではないです......これが好きだと知っているとは思いませんでした。ちょっと...いいえ、とても嬉しいです。
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絆レベルアップ5
私のことをずっと見ててくれますか?あなたが傍にいてくれるなら、私は麻雀で勝つことに拘らなくてもいいかなって思えるかもしれません。そうすれば、あなたみたいに、純粋に麻雀を楽しめるようになれるかも......
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絆レベルアップ1
あなたは本当に負けず嫌いですね...私に一度負けだからって、何も毎日つきまとう必要はないでしょう。
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絆レベルアップ2
......よく分かりません。私なんて本と麻雀ばかりの毎日で......こんな私と一緒にいて......楽しいですか?
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絆レベルアップ3
たまには図書館以外のところに行ってみたいな......あ、いえ、図書館が嫌いになったわけではありません。ただ......あなたと他のところに行ってみたいなって...
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絆レベルアップ4
こんなことを言うのはなんですけど...最近はあなたが見ていてくれればいいかな...って思うようになりました...ふふ、こんなこと言うと運が悪くなるかも、しれないですね...
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隐藏语音 - 新年
明けましておめでとうございます…あの…一緒にお参りに行きませんか…?本で読みましたけど、二人で一緒に願い事をすれば叶うそうですよ。せっかくですし、行きましょう?
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隐藏语音 - 情人节
あの…これ、チョコレートです…。レシピ通りにできたと思いますが、実際にやってみると難しくて…大変でしたけど、なんとか完成しました…。だから…受け取ってくださいね。
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メイン1
私にずっと話しかけてくれても、私には何もお返しできるようなものはない...ですよ?
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メイン2
うん...いいえ、困っているわけではないんです......ただ、今までこんなふうに接してくれた人は奈々ちゃんだけでしたから......その、ちょっと慣れないんです......でも...うれしいですよ。
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メイン3
麻雀は奥が深いんです...多くの技術書を読んで、たくさんのテクニックを学びましたが、全然勝率が変わらなくて...どうしてでしょうね...
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メイン4
はぁ...外見って大事ですよね...ルックスがいい人は努力しなくても注目してもらえますし...。......え?私も十分美人...ですか......そんなに褒めてもらえるなんて...ありがとうございます。お世辞でもうれしいです...
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メイン5
...あの...あなたは女の子だったら誰でもいいっていうような無節操な人じゃないです...よね...?
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メイン6
最近、負けちゃうことも増えましたが、でもいいんです。だって今は、麻雀の楽しさを知りましたから。
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メイン7
これ、私が育てた花です。何故か以前とは違う、新しい花が咲きました。良ければ、名前をつけてもらえませんか?
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メイン8
最近、視線を多く感じるようになったんです...。しかも男の人から......私...何か変わりました...?それとも...あなたが何かしました?
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ログイン・普通
こんにちは...来てくれたんですね
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ログイン・絆LvMAX
こんにちは...いつも...一緒にいてくれてありがとうございます...本当に、ありがとうございます...
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契約を結ぶ
あ、あの、今更ですけど......あなたに言わなくちゃならないことがあるんです......人の着替えを盗み見るのは、良くないんですよ。
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SP-友人戦部屋に入場する時
よろしくお願いします…
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SP-友人戦部屋で準備した時
あ、あの、一応……お手柔らかにお願いします。
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出会い
二之宮花です......一応、よろしく...です......
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北抜き
ペー、抜きます
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チー
チー、です
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ダブル立直
ダブルリーチ、です
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カン
カン、です
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ポン
ポン、です
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立直
リーチ、です
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ロン
ロン、です
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ツモ
ツモ、です
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白
ハク
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北
ペー
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純全帯幺九
ジュンチャン
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純正九蓮宝燈
チューレン九(きゅう)メン待ち
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大三元
ダイサンゲン
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大四喜
大スーシー
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地和
チーホー
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ダブル立直
ダブリー
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東
トン
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ドラ
ドラ
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ドラ10
ドラ10(じゅう)
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ドラ11
ドラ11(じゅういち)
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ドラ12
ドラ12(じゅうに)
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ドラ13以上
ドラたくさん
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ドラ2
ドラ2(に)
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ドラ3
ドラ3(さん)
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ドラ4
ドラ4(よん)
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ドラ5
ドラ5(ご)
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ドラ6
ドラ6(ろく)
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ドラ7
ドラ7(なな)
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ドラ8
ドラ8(はち)
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ドラ9
ドラ9(きゅう)
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ダブル北
ダブペー
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ダブル東
ダブトン
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ダブル南
ダブナン
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ダブル西
ダブシャー
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断幺九
タンヤオ
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対々和
トイトイ
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二盃口
リャンペーコー
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発
ハツ
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国士無双十三面待ち
コクシ十三メン待ち
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国士無双
コクシムソウ
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海底摸月
ハイテイ
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河底撈魚
ホウテイ
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混老頭
ホンロートー
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混全帯幺九
チャンタ
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混一色
ホンイツ
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九蓮宝燈
チューレンポートー
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嶺上開花
リンシャン
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立直
リーチ
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流し満貫
流しマンガン
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緑一色
リューイーソー
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南
ナン
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平和
ピンフ
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槍槓
チャンカン
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七対子
チートイ
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清老頭
チンロートー
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清一色
チンイツ
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三暗刻
サンアンコー
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三槓子
サンカンツ
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三色同刻
三色(さんしょく)ドーコー
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三色同順
三色(さんしょく)ドウジュン
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四暗刻
スーアンコウ
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四暗刻単騎
スーアンコウ、タンキ
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四槓子
スーカンツ
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天和
テンホー
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西
シャー
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小三元
ショーサンゲン
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小四喜
小スーシー
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一盃口
イーペーコー
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一発
イッパツ
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一気通貫
イッツー
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中
チュン
-
ツモ
ツモ
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字一色
ツーイーソー
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清算一位
あ...やっと私を見てくれましたね
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清算一位・高い点数で勝利
見ましたか?これが私の全力…です!
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清算一位・ロンで勝利
何も驚くことなんてないですよ…まだまだこれからです
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倍満
倍満(バイマン)
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九種九牌
九種九牌(キュウシュキュウハイ)
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数え役満
数え役満(カゾエヤクマン)
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満貫
満貫(マンガン)
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ノーテン
ノーテン
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三倍満
三倍満(サンバイマン)
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四風連打
四風連打(スーフーレンダ)
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四槓散了
四槓流れ(スーカンナガレ)
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四家立直
四家立直
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跳満
跳満(ハネマン)
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聴牌
テンパイ
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役満
ヤクマン
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ダブル役満
ダブルヤクマン
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トリプル役満
トリプルヤクマン
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四倍役満
四倍(よんばい)ヤクマン
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五倍役満
五倍(ごばい)ヤクマン
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六倍役満
六倍(ろくばい)ヤクマン
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SP - ドラを捨てた時
あぁ…残念です…!
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SP - 倍満/三倍満聴牌
皆さん…驚くでしょうね…
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SP - 同じ牌を連続に捨てた時
私が牌をちゃんと見てあげられていなかったんでしょうか…
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SP - 残り牌が10枚以下の時
最後まで気は抜けません…集中集中…
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対局開始
よろしくお願いします…
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SP - 役満聴牌
ふふ…皆さんどんな顔をするんでしょうね…
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帯幺九
帯幺九(タイヤオチュウ)
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根
根(ルート)
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将対
将対(ジャントイ)
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金勾釣
金勾釣(キンコウテャオ)
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嶺上放銃
嶺上放銃(リンシャンホウジュウ)
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龍七対
龍七対(ロンチートイ)
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清対
清対(チントイ)
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清金勾釣
清金勾釣(チンキンコウテャオ)
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清龍七対
清龍七対(チンロンチートイ)
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清七対
清七対(チンチートイ)
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清十八羅漢
清十八羅漢(チンジュウハチラカン)
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清幺九
清幺九(チンヤオチュウ)
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十八羅漢
十八羅漢(ジュウハチラカン)
Spot Voices
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Spot Voice 15
叹气
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Spot Voice 16
感叹
-
Spot Voice 17
惊讶
-
Spot Voice 18
不甘
物静か
絆LV1で開放
「物静か」という評価は、子どもにとって誉め言葉となるだろうか? もしそうだとしたら、幼い頃の二之宮花は年長者にとって良い子だったと言える。 ある時、幼稚園で行われた春の遠足で、花はクラスの友人とかくれんぼをしていた。しかし、彼女はあまりにもかくれんぼが得意だったのだ。遊び終えた他の子どもたちに、その存在さえ忘れ去られてしまうほどに。 花がいないことに気がついた先生が慌てて辺りを探すと、あまりにも目立たない片隅でぐっすりとと眠っている彼女を見つけた。 「もう……こんなところに一人で隠れて、怖くないの?」 当時の自分が怖いと思っていたかなんて、二之宮花は覚えていない。ただ、少し残念だと思ったのは確かだ。 花は自分をおとぎ話のお姫様だと思っていた。邪悪な追跡者から身を隠し、木の陰で王子が助けに来るのを待っていたのだ。しかし、目を覚ました時に見たのは自分をいましめる先生の姿。彼女はただ目をこすり、下を向いて小さな声で「ごめんなさい」と言った。 「こんなところで寝て、危ないことが起きなかったから良かったものの。あなたが静かすぎるからかもしれないわね。あまりにも静かで、誰にも気付いてもらえなかったのかしら?」 何年も経ち、あの時のことを思い返すと、先生の何気ないひと言がまるで呪いのように自分を包み込んでいることに気がついた。花は日に日に「物静か」になり、周囲にも気付いてもらえないような存在になっていったのだ。 小学校3年生の時にクラスで演劇をすることになり、演目が自分の大好きな物語だということを知った二之宮花は懐中電灯を手に持ち、何日も夜な夜な布団に隠れてセリフを覚えた。そして配役を決める日、花は高々と手を上げ、心の中と口と両方一斉に叫んだ。 「ヒロインをやりたいです!」、と。 これほど積極的に自分の意志を口にしたにも関わらず、彼女に目を向けた者はいない。後に花は口をとがらせて仲の良いクラスメイトたちに、みんなから無視をされたと愚痴をこぼしたが、返ってきた言葉はこうだった――「あの時、本当に手をあげてた?」 あの時、花はみんなが冗談を言っているのだと思い、しばらくふさぎこんでいた。しかし、演劇が行われた当日、ヒロインに選ばれたクラスメイト――藤田佳奈が舞台上で生き生きと演技をする姿を見た花は、悔しいと思いつつ認めざるを得なかったのだ。佳奈の方が、自分よりもスポットライトの輝きに相応しかったのだと。 彼女自身、物語の中から現れたかのような愛らしい佳奈から目を離せなかったのだから。 そして、二之宮花自身も疑い始めた。あの日、自分は本当にヒロインを演じたいと声をあげたのだろうか?もしかしたら、みんなが藤田佳奈を選んだとき、自分もその流れに乗って彼女がヒロインを演じることに賛成したのかもしれない。自分はただ、不甲斐なく負けを認めたくなかったゆえに、自分自身に「自分は努力をした。しかし、みんなはより良い者を選んだだけ」だと言い聞かせ、自分自身を騙していたのではないか…… 「私は本当に、自分が思っているほど勇気がある人なのでしょうか……?」 真実は分からない。ただ、自分の努力は現実なのだと願わずにはいられない。 もちろん、あの日の思い出がすべて悪いものだったというわけではない。花は「木」の役を務め切り、「一番がんばった賞」に輝いたのだ。演劇中、微動だにもせず完璧に背景に溶け込んだが、あの歳の子どもにとっては容易なことではない。 「おめでとう!花ちゃん、すごい!ずっと立ちっぱなしで疲れないの?」――「ヒロイン」から贈られた本心の賛辞に、二之宮花は複雑な気持ちで握っていた賞状を見つめた。 「はぁ……賞状をもらうより、ヒロインを演じたかったです……」――花は心の中で小さな声でつぶやいた。
待たれる開花
絆LV2で開放
「二之宮さん、ようこそ園芸部へ。今年は新入部員なんて入ってくれないかと思ったわ」 部長が入部届を受け取ってくれたのを見て、二之宮花はそっと緊張を解いた。照れながらも真摯な笑顔を向けてくれる部長に、罪悪感がぬぐえない。花は、入部に至った自分の「不純」な理由に対し、心の中で謝罪した。 入学当日、新入生は必ず部活動に参加するようにと言う校長の言葉に、ホールに集まった生徒は誰もが喜んだ。先生の授業時間が延びるのに比べたら、部活動の方が楽しいのは間違いない。しかし、花にとっては目の前が暗くなるような知らせだった。 できることならこの3年間、放課後はすぐに家に帰りたかったのだ。 部活動に消極的なのは、部活が面倒だとか、他人に関わりたくないからではない。むしろ、校長の言う「輝く青春」については、憧れさえある。しかし…… 「輝く青春なんて……きっと、私みたいな透明人間には無関係のものでしょう」 部活に入ったとしても、みんなが楽し気にするその中で無視をされる自分の姿を容易に想像できる。万一……もしも、いつの日か誰かが孤立する自分に気がつき、無理やり笑顔を浮かべながら気まずそうに話しかけてきたら、何とも滑稽な光景に鳥肌が立ってしまう。 よく考えた末、大部分の人が部活を決めた後、二之宮花は比較的人数が少ない部活から選ぶことにした。そして、花は一番社交性を必要としなさそうな園芸部を選んだ。 部員の勧誘を行っていた部長も、とても内向的に見えたからだ。他の部が一生懸命勧誘を行っていた時、園芸部の部長である彼女は、新入生が質問をしたときにのみ口を開いていたほどなのだから。 入部に至った動機は不純であれ、花が部活動に力を抜くことはなかった。模範的な新入部員だと言えるだろう。 時折、草花について他の部員に尋ねる以外、花は好きなことをして過ごした。もちろん、他の者も各々活動をしているようだった。彼女が周囲に馴染んでいるかどうかなど、誰も気にしていない。互いに干渉し合わない雰囲気こそ、彼女が望むものなのだ。 漫画のような展開に夢を見ていたこともある。人数が少ない部活ほど団結力が強く、透明人間のような彼女でさえ友情にみちて充実した生活を送れるのではないか、と……しかし、漫画はしょせん漫画に過ぎない。 「先輩、先に帰っていてください。後は、私がやります」 この日、二之宮花はいつも通り他の部員に別れを告げ、雑務をこなすために一人で残った。自分から進んで仕事をするのは、みんなが帰った後に手に入る一人の時間のためだ。 ……道具をすべてしまうと、彼女は自分が面倒を見ている鉢植えのそばに腰掛け、本を開いた。窓から射しこんだ夕日は植物の葉を越え、まだ読んではいないページに落ちる。 本を読む理由は人それぞれだ。しかし、花の理由は若干照れくさい。彼女は小説の中の主人公の人生を、本を媒介に楽しむことが好きなのだ。 花はページをめくりながら、主人公のセリフをつぶやいた。そうしてこそ、登場人物により感情移入できる。 そこが図書館であれば、いくら存在感が無い彼女でも、ここまで「奔放」なことをする勇気はないだろう。ここまで人目を気にせず、一人で妄想に浸れるなんて、こう考えるだけで園芸部に入って良かったと思える。 「火花……ほんの小さな火花でも、人生の闇を照らすには十分なのだ」 このひと言を読み、今日の読書を終えた二之宮花は本を閉じた。起き上がった彼女は、帰る前にもう一度鉢植えに水をやろうとジョーロを手に取った。 彼女が育てている植物は世話が面倒なため、他の部員は担当になることを避けている。 誰にも目を向けてもらえない可哀想な植物を自分と重ねてしまった花も、最初は同情という気持ちで世話をするようになった。しかし今では、期待も膨らんでいる。 部長から聞いた話だが、この鉢植えからは誰もが目を奪われるような花が咲くらしい。もちろん、相当な時間は必要だ。 自分の人生がいつ日の目を見ることになるのか、花自身にもわからない。もしかしたら……そんな日など、来ないかもしれない。だがしかし、今だけは火花になれる。この鉢植えに育つ植物の闇を照らす火花に…… 二之宮花は期待していたのだ。自分が大好きな小説の中で不遇の人生を生きる主人公たちが、いつかこれまでの無念を晴らすかのように、この鉢植えの植物が返り咲くその日を。 「あれ?もしかして……花が開いてる……?」 花はメガネを拭った。確かに花が開いている。たったひとつの蕾が少しだけではあるが、彼女はとても喜んだ。 今の花には知る由もないが、彼女を咲かせる「火花」が現れるのは、そこから2年ちょっと経つ未来の日なのだ……
三人麻雀
絆LV3で開放
「ねぇ、『三人麻雀』って知ってる?」 「あぁ、いや……普通の三人麻雀じゃなくて、4人でプレイする『三人麻雀』よ」 「……ちょっと、やめてよ。熱はないってば。あんた、知らないの?この頃、色んな雀荘で流れてる噂よ。4人で麻雀をしているはずなのに、なぜかゲームが進むにつれて……3人で麻雀をしているんじゃないかって、錯覚を覚えるんだって」 「えっ?4人目は、門前清主義のプレイヤーなのかって?違うわよ。ただ、チーもポンもカンも、どれほど目立つことをしても、誰もすぐには気付かないんだって。当事者が言うにはね……」 「まるで自分の牌が、忽然と消えてしまうみたいなんだって。捨て牌から何かなくなっていることに気がついたときには、喰われた後みたい」 「で、自分の牌が喰われたことに気がついた時には、すでに相手はテンパイになってるんだって。手出しやツモ切りなんて、まったく気がつかないの。だから一番の安全策は、現物を切って相手がツモるか、流れになるのを待つしかないってこと」 「普通、一回やられれば警戒するはずなんだけど、奇妙なことに自分の手牌をひと目見た一瞬で、その4人目の人はまた気配が消えちゃうんだって。その人が座っている席も、まるで誰もいないかのように静まり返るの……」 「私ね、その人の河を見てみたんだけど、瞬きした瞬間に捨て牌が増えてて……どんなに牌を出すスピードが速いとしても、まったく手が見えないってことはないでしょ?ホント、妙な話よね……」 「そういう奇妙な雰囲気の中で対局は終盤に向かう。残り3人の点数が下がるにつれて、その人物の『影』は少しずつ濃くなるの。そして最後には、こうつぶやくのよ……」 「ようやく、私を見てくれたんですね?」って。 「この『呪いの言葉』を聞いた人は、それから一か月も悪運が続くらしいよ」 …… 「ねぇねぇ、二之宮花がどこにいるか知らない?」――奇妙な話をしていた2人の女子は、そう尋ねられて瞬時に現実に引き戻された。その内の1人は、頭をあげた瞬間、藤田佳奈お得意の可愛らしい笑顔が目に飛び込んできた。 「に、二之宮さんは……えっと、席は確か……」 「さっき、どこかに行ったみたいですけど……さ、探してきましょうか?」 今人気のアイドルから話しかけられた2人は、少し緊張しているように見える。そんな状況になどとっくに慣れてしまった佳奈は、手を振りながら答えた。「大丈夫、大丈夫。ここにいないなら、他を探してみるから。ありがと……あっ、花ちゃんお帰り」 最後まで言い切る前に、二之宮花は教室の後ろから入ってきた。他の人とは違い、藤田佳奈に気付いた瞬間、花は本能的に一歩下がった。しかしそれと同時に、佳奈は親し気に花の手を握った。 「副会長が来てほしいって。待たせ過ぎて血圧が上がるのも可哀想だから、早く行ってあげよう」 遠のいていく佳奈と花の後ろ姿を見ながら、さっきまで話しをしていた女子二人組は、同時に疑問に思った。一人は誰もが憧れるアイドル、もう一人はクラスの透明人間――なぜこの二人の仲が良いのか、なんとも不思議だ…… 「がんばろうね!今日も麻雀で副会長を完膚なきまで叩きのめしちゃおう!」 「毎回校則違反を大目に見てもらうために副会長と対局をするなんて、無理でしょう……」――二之宮花は心の中で、そうつぶやいた。それにしても、藤田佳奈の楽観主義には感服してしまう。しかし、よく考えるとデタラメな話だ。自分はただ、後輩であるジェーンのために調べものをしていたせいで副会長に目を付けられただけだ。百歩譲っても、ただの共犯者だ。しかし、どうしていつもお説教をされるときに主犯がいないのだろうか? ただ、麻雀の対局だけなら、花は喜んで付き合う。このような団体で行うゲームなど、自分には無縁だと思っていたが、麻雀を始めてみて思ったのだ。あの四角い麻雀テーブルこそ、自分にとっては何よりも公平な舞台なのだと。 透明人間のような彼女でさえ、誰かに印象的な一撃を与えたり、対局に勝てれば他人の目を引くことができるのだから。 「佳奈ちゃん、この前の対局の時、副会長はいつから私の河を注意深く見るようになったか覚えていますか?」 「この前は確か……東三局で花ちゃんに直撃されたときじゃなかったっけ?」 「それじゃあ今日は……東一局の時から、私の力をお見せしましょう」 存在感が無いことも、麻雀の対局では便利な特技となる。言い換えるなら、少しズルい体質だ。しかし、花の目的は麻雀テーブルを自分だけの舞台にすること。 今日も存在感のために努力あるのみ! そう……誰だって、噂話の奇妙な主人公になんてなりたくはないのだから。そうでしょ? 「そう言えば……花ちゃんって、対局に勝つといっつも怖い笑顔を浮かべるよね……」 「へっ?そ、そうですか……?」
ストーカー危機!?
絆LV4で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 16, Scenes 299, Choices 6, Endings 0
{character:ワン次郎}悪いな、{var:player_nickname}。こんな朝早くから手伝ってもらっちまって。
{character:player}構わないよ、それより休んでて。少しでもおかしい所があったらすぐに病院行くんだよ。
朝、ワン次郎から「腰をやっちまった」と電話があったので、様子を見に行くついでに、神社宛の荷物を運ぶのを手伝った。
神社を出ると、まだお昼前だ。今日は天気もいいし、せっかくだから街を散策して、どこかでランチでもしてから家に帰ろうっと。
{character:player}……あれ?二之宮さん?
道すがら、知っている人物――二之宮花を見かけたので、声をかけようとしたのだが……
{character:player}……
二之宮さんは緊張した面持ちで周囲を見回している。何かあったのだろうか。
いつもと違う二之宮さんの様子に、つい声をかけるのを躊躇ってしまった。
でも、あれこれ考えても仕方ない。やっぱり気になるし、直接聞いてみよう。
{character:player}こんにちは、二之宮さん。
{character:二之宮花}ひゃっ……!?{var:player_nickname}さん?どうしてここに?
二之宮さんの反応につられ、自分まで周囲を見回してしまった。
{character:???}お師匠、こんにちはでござる。
{character:player}ん?嵐星?
振り返ると、いつの間にか嵐星が立っていた。目が合うと、ピシッと一礼された。
{character:player}偶然だね、どこか出かけるとこ?
{character:嵐星}拙者は修行中の身、忍者たるもの休日も修行を怠ってはいけないのでござる。
{character:player}そ、そうなんだ……
{character:嵐星}して、お師匠は?会館にて麻雀修行でござるか?
{character:player}う、うん……ランチしてから、どこかで麻雀しようかなって。
勤勉な弟子を前に、ブラブラ散歩してただけだなんて言えない。
{character:嵐星}では、これ以上の長居は無用でござるな。これにて失敬。
{character:player}うん、頑張って。
忍者って本当に大変なんだなあ、週末もびっちり修行か。
{character:???}{var:player_nickname}さん。
{character:player}こんにちは、二之宮さん。
次に私の背後を取ったのは、二之宮さんだった。最近はこういう挨拶が流行りなのか……?
{character:二之宮花}何をしてるんですか?
{character:player}ちょっと散歩。さっき周囲を見回してただけど、落とし物でもしたの?
{character:二之宮花}散歩……本当に?
二之宮花は顎に手を添えながら、探るように睨んできた。おまけに小声で何かブツブツ言っている。
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さん、ご同行を願います。
{character:player}どこに?というかそのセリフ、刑事ドラマで聞いたような……
{character:二之宮花}どこか、レストランにでも入りましょう。
逃がすまいとばかりに、すごい速さで手を引かれ、斜向かいのレストランに連行された。
{character:二之宮花}さあ、吐いてください。どうして私の後をつけたんですか?
座るや否や、二之宮さんはいたって真剣に聞いてきた。
{character:player}本当に尋問みたいだなあ……すみませんが、黙秘します。
{character:player}逆に聞くけど、二之宮刑事は何を根拠に私が後を付けたって判断したんです?
{character:二之宮花}私の影の薄さです。知っての通り、私の後を付けるどころか、そもそも私の存在に気付ける人は滅多にいません。
{character:二之宮花}合理的に考えて、私の存在に気付ける時点で、十分怪しいです。
いかにも「合理的」な推理だ……
{character:player}確かに合理的だ。でも、大事なことを見落としているよ、二之宮刑事。
{character:二之宮花}何です、見落としてることって。
{character:player}後をつけておいて、自ら話しかける間抜けがいるかなあ。
{character:二之宮花}う……た、確かに。普通は話しかけませんね……
二之宮さんは腕を組み眉間に皴を寄せていたが、やがて大きな溜息をついた。
{character:二之宮花}おかしなことを言ったり、変に疑ったりして、すみませんでした。
{character:player}気にしないで。
{character:player}……
{character:player}……
{character:player}……
{character:player}……まさかそこまで勘がいいとは。逃げもせず私に話しかけるとはね。
{character:player}そう!きみの後を付けてたのは、この{var:player_nickname}さ!
{character:二之宮花}もしもし、はい、通報です。ストーカーされてるんです――
{character:player}冗談だよ!ごめんって!本当に通報しないで!
{character:二之宮花}私も冗談です。わかってます。通報してません。
{character:player}はあ……びっくりした。
{character:二之宮花}先にからかってきたのはあなたの方ですからね。でも、あなたじゃないってわかって良かったです。
誤解も解けた所で、気になったことを聞いてみることにした。
{character:player}その言い方だと、本当に誰かに後をつけられてるみたいに聞こえるけど……。
{character:二之宮花}はい、最近いつも誰かに見られてるような気がするんです。学校やそれ以外の場所、果ては家の中でまで、不意に窓の外から視線を感じるんです。
{character:二之宮花}ただの気のせいだと思ってるでしょう。でも本当なんです。
{character:player}疑ってないよ、一度や二度くらいならまだ偶然だと言えるけど、色んな場所で何度もそう感じたのなら間違いないと思う。
{character:二之宮花}信じてくれて嬉しいです。一般的な……普通に存在感のある人でも、あんな風に視線を感じたら後を付けられているのではないかと疑うレベルだと思います。
{character:二之宮花}ましてや私は存在感の薄い透明人間です、普通の人にはまず気付かれないので人一倍視線に敏感で、誰かが見ているとすぐにわかってしまうんです。
{character:player}なるほどね……
二之宮さんをつけてるのは、一体どんな奴なんだ?
{character:player}うーん……ポジティブに考えるなら、二之宮さんのことを好きな人かもしれないよね。
{character:player}ただ、危ない人じゃないといいけど。
{character:二之宮花}ストーカーなんて、ほぼ全員危険人物でしょう。
{character:player}絶対悪意があるとは言い切れないし……そうだ!二之宮さんのことを好きな人かも?
{character:player}すごくシャイで、告白出来ないでいるのかも。
二之宮さんが今まで以上に不安そうにしているので、慌てて何とか慰めようとしたが、ますます困った表情になってしまった。
{character:二之宮花}私のような透明人間を好きだなんて、物好きにもほどがあります。普通の人は、私の存在には気づけません。
{character:二之宮花}そう思うと、やっぱり素直に喜べませんよ。
{character:player}そんなことないよ。二之宮さんは確実に可愛い部類に入るし、誰かが好きになることは充分あり得ると思う。
{character:二之宮花}ありがとうございます。そこまで慰めなくてもいいですよ。
{character:player}慰めじゃないよ。私の趣味が変とか、友達相手に調子のいいことばかり言う嘘つきだとか思ってる?
{character:二之宮花}違います。ただ……可愛いという形容詞は私みたいなのではなく、もっとこう、佳奈さんのような人に使うものだと思うので。
{character:player}アイドルは確かに可愛いよ。でもそれはあくまで「可愛い」の範囲の一部でしかない。
{character:player}ほかの友達にも可愛いって言われたことあるでしょ。私だけ見る目がないとは言わせないよ。
{character:二之宮花}……わかりました、私の負けです。
二之宮さんは両手を挙げて降参の意を示した。心配で強張っていた顔も、今は少し悪戯っぽい表情になっている。
{character:二之宮花}さすがいつも女子に囲まれているだけありますね、あなたの口の上手さには敵いません。
{character:player}やっぱりまだ信じられないってことか……
{character:二之宮花}信じます、心から褒めてくれましたし。
{character:二之宮花}ありがとうございます、{var:player_nickname}さん。
{character:player}どういたしまして。
二之宮さんは静かで寡黙な印象が強く、こういうお茶目な所を見るのは始めてだったので、ちょっと新鮮だった。
{character:player}見方によっては、ストーカーがいるってことは、あなたの存在感が増したってことにならない?
{character:二之宮花}ストーカーされるくらいなら、ずっと透明人間のままの方がいいです……
{character:二之宮花}それに、本当に私のことが好きなら、何故そう言わずに、そんな不気味なやり方で近付いてくるのでしょうか。
{character:player}同感だよ、どんな理由であれ、ストーカーは良くない。
{character:二之宮花}……いつもジェーンさんに頼まれて尾行調査してる私も、人のこと言えないですけど。
{character:player}あー……
話題を変えよう。すぐに解決できない以上、これ以上ストーカーの話を続けても不安を煽るだけだ。
{character:player}それにしても、どうして存在感を強くしたいと思ったの?
{character:二之宮花}人に好かれたいと思うのに、理由が要りますか?
{character:player}要らないけどさ、存在感を強くすることと、人気になることは、微妙に違うと思うよ。
二之宮さんは手にしていたコップを置き、こちらを凝視している。今のが気に障ったのだろうか。
{character:player}い、今のは適当に言っただけだから。別の話しよう。
{character:二之宮花}ああ、いえ、怒ってません。ただあまりに図星だったので驚いただけです。
{character:二之宮花}私が存在感を強くしたいのは、確かに人目を引きたいという理由からではありません。これは私の生死に関わることなんです。
そ、そんなに深刻な理由だったの?
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さんは「孤独死」って知ってますか?
{character:player}知ってるよ。一人暮らしのお年寄りが、急に具合が悪くなっても誰にも助けてもらえず、一人で亡くなってしまう……最近多いんだってね。
{character:二之宮花}そうです、ただ……それは老人だけじゃなくて、周囲との関わりが薄い人なら、どの年齢層の人であっても起こり得ることなんです。
{character:二之宮花}前までは透明人間として一人静かに生きるのもいいなと思ってましたけど、「孤独死」という言葉を知って、すごい危機感に襲われたんです。
{character:二之宮花}このまま何もせずにいると、私みたいな透明人間はああいう悲惨な末路を辿るのではないかと……
{character:player}あはは、そこは安心していいよ。
{character:二之宮花}これのどこが安心なんですか?
{character:player}私がいるじゃないか。二之宮さんの存在感がまったく強くならず、むしろ下がってしまったとしても、ちゃんと気付いてあげる。だから、心配することないよ。
{character:player}……
{character:player}……か、かなり真面目に言ったつもりなんだけど、何も反応がないと恥ずかしいな。
{character:二之宮花}……ふふっ!
一応反応はあったが、この噴き出したような笑いとさっきの沈黙と、気まずさで言えばいい勝負だ。
{character:二之宮花}ご、ごめんなさい。悪気はないんです。まさかそんなに真剣に考えてくれてると思わなくて、気恥ずかしくて……何て返事したらいいか、わからなかったんです。
{character:二之宮花}というより、慰めるならもう少し前向きなことを言ってくださいよ。絶対存在感強くなるよ、とか。
{character:player}最悪のケースを想定して保険をかけておいた方が安心かなって。
{character:player}それに、そんな風に言うってことは、本当はそこまで心配してないんじゃない?
{character:二之宮花}必要以上に心配しないだけです。私がこう思うようになったのは、麻雀をやっている時、まだこの先一生透明人間だって決まった訳じゃない、人生を変えるチャンスはまだあるんだ……って気付いたからなんです。
二之宮さんは、初めて藤田佳奈と共に生徒会室に呼ばれ、石原碓海達と対局した日のことを振り返った。
{character:二之宮花}……あの対局の夜、本当のことを言うと、一人でお風呂で泣けてきてしまったんです。
{character:二之宮花}それから、「私がやったんだ」と幼稚園の頃の自分に言ったんです。私、あの緑色の四角い舞台に立って、スポットライトを浴びたよ……って。
{character:二之宮花}それに、麻雀をやっている時の私は注目を集めてるって、人気アイドルの佳奈さんが太鼓判を押してくれたんですよ。だから、これ以上現状に甘んじていられません。私は勝ちたい、です。全力であらゆる対局に勝って、誰もが無視できない存在になりたい……です。
{character:player}二之宮さんならできるよ。もう全然油断ならないくらい強いから。
勝利への渇望を胸に腕を磨き続けているのだから、卓上で注目を集める存在となったのも必然と言える。
{character:二之宮花}あの……「孤独死が怖いから」が存在感を強めたい一番の理由じゃなかったとしても、さっき{var:player_nickname}さんが言ってたことは覚えておきます。
{character:二之宮花}あんなに真剣に言ったんですから、ちゃんと責任を取ってください。保険をかけておいたほうが安心できるとも言ってましたしね。
{character:player}雀士に二言は無いよ。だから強くなることに専念して、もっと存在感を持てるよう頑張ってね。
なかなか責任の伴う約束をしてしまったが、努力している二之宮さんを見ていると、応援せずにはいられないんだよな。
気づけばお昼だ。今から場所を変えるのも手間なので、そのままレストランで食事をした。
{character:player}この後は何か予定あるの?
{character:二之宮花}今日は午後から会館に行く予定なんです。{var:player_nickname}さんも一緒に行きますか?
{character:player}うん!
元々は家に帰るつもりでいたが、ストーカーの件もあるし、二之宮さんと麻雀会館に行くことにした。
{character:二之宮花}他には誰も誘っていないので、どこかの会館の空いてる席にでも入れてもらいましょう。候補はありますか?
{character:player}週末は混んでると思うから、先にお店に電話してみようか。
{character:二之宮花}そうですね。
二人してスマホを取り出した時、花壇の中で何か光っているのを見つけた。
花壇を少し探ると、なんとそこには一本のクナイが刺さっていた……!
{character:二之宮花}あれ?入らないのですか?
会館入口まで来ると、予定を変更し、二之宮さんに先に一人で入ってもらうことにした。
{character:player}さっきレストランを出た時、ストーカーの手がかりを見つけたんだ。ここで待ち伏せしようと思う。
{character:二之宮花}でももし本当にストーカーがここまでつけてきたとして、そんな風に堂々と見張ってたら、逃げられちゃいませんか?
{character:player}いや、捕まえるなら今しかない。向こうもバレたくないなら、下手には動けないはず。
{character:player}とにかく、先に入ってて。ここは任せて!
{character:二之宮花}……わかりました、気を付けてくださいね。
二之宮さんを見送り、一つ深呼吸すると、道路の方を向いてストーカー探しを開始した。
街はとても静かで、黒塗りの高級車が通りかかった他は、人どころか動物すらいない。
一見何も異常はなさそうだけど……
電柱の裏はストーカーの定番の隠れ場所だ。まずはそこを確認しよう!
左右を見比べた結果、やっぱり私たちが来た方角、つまり右側の電柱の方が怪しいと見た。
{character:player}そこだな、大人しく捕まれ!
自信満々で電柱の後ろに猛ダッシュする、が……誰もいない、だと!?
{character:player}ここじゃなかったか……ん!?
その時背後から音がして、慌てて振り返ったが時すでに遅し。人影らしきものはもう遠くへ消えてしまった。
{character:player}ま、待てー!
{character:二之宮花}ストーカーがいたんですか?
{character:player}何で出てきちゃってるの!?
{character:二之宮花}喧嘩になったら大変だと思って、心配で様子を見に来ました。逃げられてしまったようですね。
{character:player}ごめん、取り逃がしたよ。
{character:player}でも大丈夫、知り合いだってわかったし、物証も掴んである。この証拠を手に、明日本人に直談判するよ。
{character:二之宮花}そうですね。さすがに今日はもうつけて来ないでしょうし、{var:player_nickname}さんももうここで待ち伏せしなくてもいいですよね。一緒に麻雀しましょう。
{character:player}うん、そうだね。
花壇に物証が落ちてたということは、今回も似たような所に潜んでいるかもしれない!
見回すと、ちょうど人が隠れられるような花壇を見つけた。
周囲の景色を眺めるふりをして花壇に近付き、そして……猛ダッシュで突っ込んだ!
{character:player}そこだな、大人しく捕まれ!
自信満々に花壇の裏を確認する、が……誰もいない、だと!?
{character:player}ここじゃなかったか……ん!?
その時背後から音がして、慌てて振り返ったが時すでに遅し。人影らしきものはもう遠くへ消えてしまった。
{character:player}ま、待てー!
{character:二之宮花}ストーカーがいたんですか?
{character:player}何で出てきちゃってるの!?
{character:二之宮花}喧嘩になったら大変だと思って、心配で様子を見に来ました。逃げられてしまったようですね。
{character:player}ごめん、取り逃がしたよ。
{character:player}でも大丈夫、知り合いだってわかったし、物証も掴んである。この証拠を手に、明日本人に直談判するよ。
{character:二之宮花}そうですね。さすがに今日はもうつけて来ないでしょうし、{var:player_nickname}さんももうここで待ち伏せしなくてもいいですよね。一緒に麻雀しましょう。
{character:player}うん、そうだね。
翌日、例のストーカーと話をつけるべく、レストラン付近で拾ったクナイを持って、二之宮さんと朝葉学校へ向かった。
{character:嵐星}気が急いていたもので、まさかこのような痕跡を残してしまうとは……一生の不覚でござる。
昨晩、クナイに入っていた家紋を見て、嵐星に電話をかけた。すると、彼女はあっさりと二之宮さんの後をつけていたと認めた。今日はその理由を問い質すつもりだ。
{character:二之宮花}私の後をつけてたのは、嵐星さんだったんですか?
ストーカーの正体が自分の後輩だとわかり、少しホッとした様子の二之宮さん。しかし、まだ聞くべきことは残っている。
{character:player}何で二之宮さんをストーカーしたの?
{character:嵐星}お師匠は、「三人麻雀の怪」を知っておられるか?
{character:二之宮花}さ、三人麻雀の怪……?
{character:player}それって、二之宮さんが関係してる、あの?
{character:嵐星}そうでござる。恥ずかしながら、拙者もその逸話に登場する「被害者」が一人、二之宮先輩に完敗した者なのでござる。
{character:嵐星}あの日の光景、今でも目に浮かぶようでござる……
{character:二之宮花}つい先週ですよね?そんな昔のことみたいに言わないでくださいよ……
{character:嵐星}あの敗北の味を忘れたことは、あの日以来一秒たりとも無いでござる。
嵐星はクナイを握り締めた。相当悔しかったと見える。
{character:player}となると、二之宮さんをストーカーしてたのは、雪辱を果たすためとか?
{character:嵐星}否、二之宮先輩は「隠れ身の術」の名人ゆえ、今仕掛けても到底敵わぬことは心得ているでござる。
{character:嵐星}もしや、拙者にも先輩と同程度の「隠れ身の術」を伝授いただける……ということでござるか?
{character:二之宮花}「隠れ身の術」って何ですか?全然身に覚えがないのですが。
{character:player}訳すると、多分、あなたの「透明人間体質」のことを言ってるんだと思う。
{character:嵐星}体質!?つまり、先輩のソレは血族にのみ扱え得る一子相伝の秘術でござるか!?ならば、拙者が習得するのは永久に無理でござるな……。
{character:二之宮花}……{var:player_nickname}さん、通訳お願いします。
{character:player}……ごめん、私じゃ力不足みたい。
嵐星は嵐星なりに二之宮さんの特殊な体質について理解しているようだ。これ以上説明すると、事態がややこしくなりそうだから放っておこう。
{character:player}とにかく、修行するのはいいけど、他の人に迷惑かけちゃダメだよ。
{character:player}昨日電話で話したけど、二之宮さんはここ数日あなたに付けられていたせいで不安だったんだって。何か言うべきこと、あるよね?
{character:嵐星}本当に申し訳なかったでござる!気配を完全に消していたつもりでござったが、貴殿の慧眼欺く能わず、ご迷惑おかけしたでござる。
嵐星に頭を下げられ、二之宮さんは気まずそうにサイドの髪を耳にかけた。
{character:二之宮花}気にしないでください。それにしても、この真摯な謝り方……さすが{var:player_nickname}さんの弟子、真面目ですね。
{character:player}ふふん、いい先生がついてるからね。
{character:嵐星}二之宮先輩のような達人であればまだしも、お師匠にまで見破られるとは、拙者はまだまだ一人前にはほど遠いでござる。
{character:嵐星}二之宮家秘術の習得は難しくとも、拙者は拙者なりに尾行術を磨き、次はせめてお師匠に見破られぬ程度には成長せねば!では、修行の続きがあるので、これにて失礼でござる!
言い終わるが早いか、嵐星はドロンと姿を消した。
{character:player}本当に話を聞いてたのかな……次のストーカーの標的が私になったらどうしよう。
いや、少なくともしばらくは、嵐星が二之宮さんをストーカーすることはないだろうし、これにて一件落着としよう。
一件落着、なのだが……
{character:二之宮花}結局、私に存在感があった訳じゃなくて、この透明人間体質が珍しかっただけだったんですね……
複雑そうな表情の二之宮さん。これ以外に、かける言葉が見つからない。
{character:player}頑張れ、二之宮さん。
一見何の変哲もない白い壁だ。しかし……何事も多角的に観察してみるべきだ。
真昼の日差しが照りつける中、地面に目を凝らしてみると、思った通り、影が不自然に膨らんでいる。
{character:player}布を使った隠れ身の術か、いかにも忍者がやりそうなことだ。
相手に逃げる隙を与えないように、隅から一気に布を捲り上げると、中に隠れていた嵐星と目が合った。
{character:player}やあ、また会ったね、嵐星。
{character:嵐星}お、お師匠。
{character:player}ここに隠れてるのも、修行?
{character:嵐星}そ、そうでござる、もちろん修行中でござる。
うまいこと話に乗っかってきたけど……今回は物的証拠があるから、それを使って本人に問い詰めてやろう。
{character:player}異議あり!本当はずっと後をつけて来たんだろう!その証拠に……
証拠として「麻雀牌キーホルダー」を突きつけた!
{character:嵐星}むむ?このキーホルダーが何だと言うのでござるか?ご説明くだされ。
{character:player}な、何でもない!間違えた。
このキーホルダーを突き付けても、私が麻雀好きの雀士だということ以外何も証明出来ない。肝心の証拠品はまだポケットの中にある!ゴソゴソ……
証拠として「クナイ」を突きつけた!
{character:嵐星}これは拙者のクナイでござる。どこで拾ったのでござるか?
{character:player}もう素直に認めたらどうなんだ?あなたの家の家紋が彫ってあるということは、あなたの所有物でしょ?
{character:player}これはさっきレストランの外の花壇で拾ったものだ。たまたま通りかかって落としたとは言わないよね?
{character:嵐星}……確かにお師匠の言う通り、お師匠達を尾行していたでござる。
{character:player}最近二之宮さんをストーカーしてたのも、嵐星なの?
{character:二之宮花}私の後をつけてたのは、嵐星さんだったんですか?
{character:player}二之宮さん、どうして出て来ちゃったの?
{character:二之宮花}喧嘩になったら大変だと思って、心配で様子を見に来ました。
{character:嵐星}二之宮先輩、こんにちはでござる。
{character:二之宮花}こんにちは。
ストーカーの正体が後輩だとわかり、少しホッとした様子の二之宮さん。しかし、完全にスッキリしたとは言えない表情をしている。
{character:player}何で二之宮さんをストーカーしてるの?
{character:嵐星}お師匠は、「三人麻雀の怪」を知っておられるか?
{character:player}確か……二之宮さんが関係してる都市伝説だよね。
{character:二之宮花}は、はい……
{character:嵐星}そうでござる。恥ずかしながら、拙者もその逸話に登場する「被害者」が一人、二之宮先輩に完敗した者なのでござる。
{character:嵐星}厳密に言うと、先輩の人並み外れた「隠れ身の術」によって負けてしまったのでござる。
{character:player}二之宮さんにそんな力が!?
{character:二之宮花}嘘です!そんな力、全く身に覚えがありません……
{character:嵐星}またまたご謙遜を!拙者は確かに、先輩の「隠れ身の術」を幾度も目の当たりにしたでござる!
{character:嵐星}拙者たち問題児は、よく副会長に言いつけられて校庭を掃除させられているのでござるが、そのたびにいつの間にか掃除が済んでいる所があり、一体誰が掃除したんだろうと皆首を傾げていたのでござる。当番表を見ない限り、先輩の成果だとは誰一人としてわからぬのでござるよ!
{character:嵐星}身を隠しながらにして、皆の行動と考え方を変えられる力……「隠れ身の術」の最高峰でござる!一飜市は誠にすごい人材が揃っているでござるな。お師匠のような強い雀士、先輩のような達人……やはり世界は広いでござる!
感激して語る嵐星に、私達は何て応えればいいかわからず、とりあえず話が終わるのを待つしかなかった。
{character:嵐星}拙者は麻雀道と忍道を極めたいがため、先輩を尾行し、修行の秘訣を探ろうと決めたのでござる。しかしさすが達人でござるな、いつも途中で見失ってしまうのでござるよ。
{character:嵐星}今日こそは上々の出来栄えと思っていたのでござるが、まさかお師匠に見破られるとは……
{character:player}フフン、嵐星は単純すぎるよ。
{character:player}正式に紹介しよう。あなたの目の前に立っているのは伝説の「三人麻雀の怪」の闇、雀卓に潜む怪物、「隠れ身の達人」の二之宮花さんだよ。そして、彼女の持つ「透明人間」の力はそう簡単にマネ出来る代物じゃないんだ。
{character:二之宮花}私のことなのに、何で{var:player_nickname}さんが誇らしげなんですか?
{character:player}なんか、そういう雰囲気ってあるじゃん?でも嵐星、修行をするのはいいけど、他の人に迷惑かけちゃダメだよ。
{character:player}昨日電話で話したけど、二之宮さんはここ数日あなたに付けられていたせいで不安だったんだって。何か言うべきこと、あるよね?
{character:嵐星}そうでござったか……本当に申し訳なかったでござる!気配を完全に消していたつもりでござったが、貴殿の慧眼欺く能わず、ご迷惑おかけしたでござる。
嵐星に頭を下げられ、二之宮さんは気まずそうにサイドの髪を耳にかけた。
{character:二之宮花}大丈夫、そんなに謝らないでください。
{character:嵐星}二之宮先輩のような達人であればまだしも、お師匠にまで見破られるとは、拙者はまだまだ一人前にはほど遠いでござる。
{character:嵐星}では、引き続き修行に励みたいゆえ、これにて失礼でござる。次はせめてお師匠に見破られぬ程度に成長せねば!
言い終わるが早いか、嵐星はドロンと姿を消した。
{character:player}次は私の番か……まあいいや。
いや、少なくともしばらくは、嵐星が二之宮さんをストーカーすることはないだろうし、これにて一件落着としよう。
{character:player}麻雀しに行こうか、二之宮さん。
{character:二之宮花}はい……ところで、{var:player_nickname}さんも、私のことを「透明人間」だと思ってたんですか?
{character:player}あ。
{character:二之宮花}可愛いとか、私の存在に気付いてくれるとか言ってくれたのも、全部ただの気休めだったんですね。
{character:player}……二、二之宮さん、もしや怒ってますか……
{character:二之宮花}別に怒ってません。ただ、より深く{var:player_nickname}さんの心に残るためには、もっと頑張らないといけないんだって。
{character:二之宮花}やっぱり一緒に麻雀するのが一番簡単ですね。{var:player_nickname}さんには、卓上の私が本当に「透明人間」かどうか、体感してもらいましょう。
{character:player}二之宮さん、笑顔がちょっと怖いよ……
その日の午後は、二之宮さんにボロ負けしてしまった……
{character:player}……あれ?ショートメール?
翌朝は、二之宮さんからのショートメールで目が覚めた。
{character:二之宮花}おはようございます、目が覚めましたか?
{character:player}うん、どうしたの?
{character:二之宮花}いえ、ただ……これからは起きたら「おはよう」って言い合おうかなと。
それはまた唐突な。
{character:二之宮花}だって……私が「孤独死」しないよう、気にかけてくれるんでしょ?
{character:二之宮花}朝の挨拶は絶対あった方がいいですよね。
唐突ではあったが、理には適っている。
じゃあ、そうしようか。
{character:player}おはよう、二之宮さん。
もう迷わない
絆LV5で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 8, Scenes 354, Choices 3, Endings 0
{character:player}ふぅ……少し暑いな。でも、植物が日光浴するにはもってこいの陽気かも。
中間テストが終わり、朝葉高校の部活も活動を再開し始めた。二之宮花が所属する園芸部も例外ではない。
テスト勉強をしている間、二之宮さんは、植物のお世話もごく基本的なもののみに留めていた。溜まった雑務は全てこの週末に片付ける予定らしい。きっと一人じゃ大変だろうと思い、手伝いに来たのだ。
{character:白石奈々}後輩クン、あっちの鉢植えもう全部運んじゃったの?なかなか手際イイじゃん。
どうやら、普段から色んな部活に顔を出している白石奈々も手伝いに来たようだ。実際に手を動かしてみて初めて気付いたのだが、思っていた以上に鉢植えの数は多く、彼女がいてくれるとかなり助かる。
{character:白石奈々}そう言えば、花ちゃんは?姿が見えないけど……
{character:player}壊れてる工具があるから買ってくるって。
{character:白石奈々}ウチも運び終わった~。じゃあ、花ちゃんが戻って来るまで少し休もっか。あ~もう汗だくだよ~。
{character:二之宮花}ただいま戻りました。
おしゃべりをしていると、ビニール袋を提げた二之宮さんが戻ってきて、袋から飲み物を取り出して白石さんに手渡した。
{character:二之宮花}お疲れ様です、奈々ちゃん。飲み物どうぞ。
{character:白石奈々}ありがとう!ちょうど喉渇いてたんだ~。
{character:二之宮花}手伝いに来てるのに、お礼なんて……なんだか少し不思議ですね。
{character:白石奈々}言われて見ればそうかも?ま、そんな細かいことはいいじゃん。それにしても水臭いな~、花ちゃんは。人手が足りないなら言ってくれればいいのに、校外の人に声をかけるなんてさ。
{character:二之宮花}奈々ちゃんはいつも色んな部活の助っ人をしてるから、週末くらいはしっかり休んだほうがいいのではと……。
{character:白石奈々}ふふーん、ウチの体力を見くびってもらっちゃ困るなぁ!ウチは動けば動くほど元気になるタイプなんだから。家にいたらかえって身体が錆びついちゃうよ。ピチピチの女子高生の賞味期限を延ばすためにも、毎日動かなきゃ!
{character:player}言いたいことはわかるけど、その賞味期限、結局高校卒業したらどうせ切れるでしょ。
{character:白石奈々}わかってないなぁ。大事なのは心意気でしょ!男の人が死ぬまで少年なら、ウチは死ぬまで女子高生ってね!
{character:二之宮花}それじゃあ、私はかなり早く老いていくタイプかも知れませんね。極度のインドアなので……
{character:白石奈々}それはないよ、花ちゃんは一人でこーんなにたくさんの植物の面倒を見てるんだから、運動量は絶対足りてるって。
{character:白石奈々}それでも心配なら……明日から一緒に早朝ランニングでもする?
{character:二之宮花}遠慮しておきます。私は毎日しっかり寝ることで「賞味期限」を延ばしますので。
二之宮さんはいつも自分のことを「透明人間」だと言っているが、彼女のことを気にかけていて、話が弾む相手はちゃんといるようだ。学校で孤独に過ごしているわけではないとわかって、少し安心した。
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さんも、お水をどうぞ。
{character:player}お礼は言わないでおくよ。また「不思議」だって言わせるのもなんだし。
{character:二之宮花}言っていただいてもかまいませんよ。
{character:player}あれ……もしかしてこれって差別?お礼は要求されるし、白石さんみたいに「お疲れ様」と言われることもないなんて、傷つくな~。
{character:二之宮花}その飲み物が私の感謝の気持ちです。それに、この前はあんな大変な約束までしてくれたんですから、それに比べたら今日のことなんてちょっとしたお手伝いですよね?
大変な約束?ああ、前に言った「孤独死」はさせないってやつか。
{character:白石奈々}くんくん……これは、何やらにおいますね~。
{character:白石奈々}「大変な約束」かぁ~。最近、花ちゃんと後輩クンの距離がやけに近くなったのはそのせいか~。誰にも言えない秘密の約束でもしてるとか?
{character:二之宮花}そ、そんな大したことじゃありませんよ。二人は休んでください。私、ちょっと作業をしてきますね。
二之宮さんは耳を赤く染めながら、少し離れたプランターの所まで逃げて行った。
{character:白石奈々}あ~あ、逃げられちゃった。それじゃあ、もう一人の当事者に答えてもらおうかな。
{character:player}そんなこと話すと思う?
{character:白石奈々}ええ~!?教えてくれないの!?
{character:player}なんで私なら話すと思ったの……?
{character:白石奈々}それはほら、ウチと後輩クンの仲だし?じゃあさ、仲良しの後輩クンには良い事教えてあげよっかな。もうすぐウチの学校で創立記念祭が開かれるんだよ。
{character:player}ああ、そう言えばもうすぐ創立記念日か。
朝葉高校では、毎年後期の中間テストが終わった後に創立記念祭が開かれる。生徒の気分転換という名目で行われるが、「外の人に学校の雰囲気を知ってもらう」という大人の事情も含まれている。そのため、毎回賑やかな催しとなるのだ。
{character:player}もしかして、今年の創立記念祭では何か特別なことをやるの?
{character:白石奈々}ふっふっふ……後輩クン、ウチのクラスが何をするか気になるでしょ?
{character:player}そうやってわざわざ聞いてきたんじゃ、気になってあげないと白石さんの面子が立たないよね。では白石先輩、先輩のクラスが何をするのか、教えてくれますか?
{character:白石奈々}じゃあ、先に花ちゃんとどんな約束をしたのか教えて。
{character:player}なら、二之宮さんに聞くからいいよ。
{character:白石奈々}わわ!わかったわかった、こっち来て。
立ち上がったそばから元の位置まで引き戻された。白石さんは二之宮さんの方向を見ている。
{character:白石奈々}今年の創立記念祭、ウチのクラスは演劇をやるんだ。『ハウス・オブ・ミュージック』っていう小説を基にしたやつなんだけど、後輩クン知ってる?
{character:player}なんとなく……。けど、なんで?二之宮さんに聞きに行くって言ったら止めてくるし、もしかして二之宮さんも演技をするとか?
{character:白石奈々}配役は再来週のホームルームで決めるの。演劇をするなら場所の申請が必要だから、先に生徒会の許可を貰わないとなんだ。
{character:白石奈々}だからその前に、花ちゃんがどう思ってるのか後輩クンに聞いてきて欲しいの。もし興味があるってことなら、立候補するように背中を押してあげて。
{character:player}いいけど、どうして自分で言わないの?そっちの方が早いと思うけど。
{character:白石奈々}もう聞いてみたんだけど、興味ないって言われちゃってさ。
{character:白石奈々}でも興味ないって言った割に、ウチが演目のタイトルを言った時、花ちゃんの目が輝いたんだ。けど、ウチの視線に気がついたら、外の景色を見るふりしちゃってさ。何かあると思わない?
{character:白石奈々}それに、最近原作の小説をよく読んでるみたいなんだよね。それで、本当は興味があるのにまだ覚悟を決めきれてないのかもって思ったんだ。後輩クンが背中を押してあげれば、花ちゃんが舞台に上がるかも!
{character:player}……わかった。それじゃ、後で聞いてみる。
「原作が好きなのと、演劇をしたいのとは違うと思う」と言いそうになったが、二之宮さんが本当に舞台に上がりたいと思っているのなら、この機会を逃すのは惜しい。多くの人から背中を押されれば、もしかしたら二之宮さんも気が変わるかもしれない。
{character:白石奈々}じゃあよろしくね。なるべく急いで欲しいな。配役を決める日までに決心出来なかったら、好きな役を演じられなくなっちゃうもん。
{character:白石奈々}ウチはこの後、他の部活の手伝いがあるんだ。花ちゃんにはもう言ってあるから。あっちが終わってまだ時間がありそうなら、戻って来て手伝うつもり。
{character:player}わかった、じゃあまた。
{character:白石奈々}花ちゃーん、もう行くねーー!
白石さんが声を張り上げる。二之宮さんの耳に届いたらしく、顔をあげ、手を振って別れを告げた。
中庭で、自分と二之宮さんの二人きりになった。この後、作業をしながら演劇の件について聞いてみよう。
休憩が済んだ所で二之宮さんの傍に行くと、植木鉢を持って部室へと向かう彼女が見えた。
{character:player}もう中に入れちゃうの?
{character:二之宮花}この子だけ、です。今日は日差しが強いので、胡蝶蘭は耐えられないんです。だから、違う場所に移そうと思って。
{character:player}なるほど、他に運ぶものはある?
{character:二之宮花}あなたの足下にある、リーガースベゴニア……赤い花の鉢もお願いします。その子も強い日差しには弱いんです。それにさっき水をあげたばかりで、そのまま置いておくと他の子たちに水をあげる時にも不便なので。
{character:player}夏は毎日水をあげた方がいいって聞いたことがあるんだけど……。
{character:二之宮花}リーガースベゴニアは、水をあげすぎると根腐れ病になってしまうんです。だから、夏でも週に三回程度で十分なんですよ。
{character:player}そうなんだ……
二之宮さんの指示が良かったので、手際よくお花に水や肥料をあげることができた。園芸部の植物の中には、手入れの仕方に気を遣わなければいけないものもあるのだとわかった。まさか、二之宮さんが全ての植物に関する注意点を覚えているとは……
{character:player}二之宮さんは歩く植物図鑑みたいだね。もし自分がこんなにたくさんの植物を全部一人でお世話することになったら、きっとあたふたしちゃうだろうな。
{character:二之宮花}ずっと続けていたから、自然に身についただけです。今でこそこの子達も綺麗に咲いてますけど、ここまで来るまでにどれだけ植物を枯らしてきたか……
{character:二之宮花}記憶力はいい方だと思いますが、実際に手を動かすとなると話は別ですしね。頭ではわかっていても身体がついてこない、なんて言葉をよく聞きますけど、とにかくそういうやつです。
{character:player}それでも、一人でこんなにたくさん育ててるなんてすごいよ。あのさ、どうしてもっと育てやすいのにしないの?そうすればもっと楽になると思うんだけど。
{character:二之宮花}確かにこの子たちのお世話は大変ですけど、地味で小さな種から育てて、綺麗な花を咲かせるのはとても達成感があるんですよ。ただ機械的に肥料や水をあげるんじゃ、つまらない部活になっちゃいます。
{character:player}あはは、それもそうだね。ピチピチの女子高生なんだから、やっぱり少しくらいは障害や手ごたえがあった方がいきいきと過ごせると思うし。
「地味で小さな種から育てて、綺麗な花を咲かせる」か……まるで二之宮さんのようだな。二之宮さんが卓上で見せる華麗な一面は、この美しい花たちにも負けはしない。
そういう彼女が好きな作品の舞台に立てば、卓上に勝るとも劣らない輝きを放つかもしれない。そう思うと、舞台に立つ二之宮さんをますます見たくなってきた。
{character:二之宮花}あと三十分くらいで、鉢を元の位置に戻しましょう。その時はまたお願いします。私は読書でもして休憩するので、他に用事があるようならそちらを先に済ませても構いませんよ。一人でもゆっくりやれば大丈夫ですから。
二之宮さんは鞄から本を取り出し、石造りの椅子に腰掛けた。表紙を見ると、まさに白石さんが言っていた『ハウス・オブ・ミュージック』だった。
{character:player}そう言えば、白石さんから聞いたよ。創立記念祭のクラスの出し物、演劇にするんだって。
{character:二之宮花}はい、もし興味があるなら良い席を取っておきましょうか?
{character:player}うん、ありがとう。二之宮さんが持ってるその本、劇の原作なんだよね。
{character:二之宮花}はい、とっても楽しいお話なんですよ。創立記念祭にぴったりだと思います。
{character:player}へ~。ところでその劇なんだけど……
{character:二之宮花}私は舞台には立ちませんよ。
{character:player}えっ?ま、まだ何も言ってないんだけど……
{character:二之宮花}奈々ちゃんに言われて、役者として劇に出ろって説得しようとしてる……そうですよね?
{character:player}……そんなにわかりやすかった?
{character:二之宮花}さっき、あなたと奈々ちゃんが話をしていた時、奈々ちゃんがずっとこっちをチラチラ見ていましたからね。それに、唐突に演劇の話をするあたり、目的は明らかです。ジェーンさんのセリフを借りると、「手にした証拠から合理的に推理したまでだよ」です。
{character:player}さすが、名探偵御用達の諜報員、何でもお見通しか。好きな作品の舞台に立てるなんてまたとないチャンスなのに、本当にいいの?
{character:二之宮花}原作が好きかどうかと、舞台に立ちたいかどうかは別の話です。
さっきの自分とまったく同じことを思ってるらしい。白石さんには後で「考えすぎだよ」と伝えておこうと思ったが、直後の二之宮さんの小さな呟きがその考えを即座に打ち消した。
{character:二之宮花}私なんて絶対無理です。無意味な努力したって……
そう言えば、二之宮さんは小学生の時もクラスの出し物で演劇をやったのだが、ヒロイン役に立候補したけど結局役を貰えなかったらしい。もしかして、それをまだ気にしているのかな。
{character:player}本当に手を挙げなくていいの?二之宮さんなら出来るって思ってるからこそ、白石さんも私も後押ししてるんだよ。だから試してみなって。
{character:二之宮花}ありがとうございます。でも、私には無理です。この話はこれで終わりにしましょう、立候補した所でどうなるかくらい、私が誰よりもわかってますから。
{character:player}そっか……でも、やる前から諦めちゃうなんて、二之宮さんらしくないなあ。
{character:二之宮花}……やらなきゃいけない事を思い出したので、もう行きますね。あなたは先に帰っていいですよ。鉢はそのままにしておいてください。後で自分で運びますから。
{character:player}どうしたの急に、ま、待って……二之宮さん!
まだ話は終わっていないのに、二之宮さんはむっとして、振り返りもせずにどこかへ行ってしまった。こっちが名前を呼んでも、まるで聞こえていないようにずんずん歩き去ってしまう。
{character:player}はあ……何か気に障るようなこと言っちゃったかなあ。
しばらく待ってみたが、二之宮さんが戻ってくる気配はなく、すごすごと家に帰った。
家に帰った後、二之宮さんを怒らせてしまったとを白石さんに報告した。
{character:白石奈々}そんなことがあったんだ。どうして後輩クンが花ちゃんを置いて帰っちゃったんだろって、不思議だったんだよね。
{character:白石奈々}ごめんね、後輩クン。全部ウチのせいだよ……キミと花ちゃんの仲にヒビを入れさせちゃった。今度ジュースでもおごらせて。
{character:player}大丈夫だよ。二之宮さんには、今度ちゃんと自分から謝っておくから。
{character:白石奈々}そうかなあ……うん、花ちゃんは心が狭い子じゃないもんね。後輩クンからちゃんと説明してくれれば、きっと仲直りできると思う。
{character:白石奈々}でも、やっぱりわかんないんだよな~……花ちゃん、いつももっと存在感が欲しいって言ってるんだよ。今回の演劇は絶好のチャンスなのに、なんで挑戦しないんだろ~?
{character:白石奈々}それに、後輩クンの話だと、花ちゃんは演劇に出たくないっていうより、このこと自体を嫌がってるみたいじゃない?
{character:player}うん……なんだか二之宮さん、この件についてはすごく消極的みたいなんだ。もしかしたら、前に主役になれなかったことだけじゃなくて、誰も知らない、二之宮さんなりの理由があるのかも。で、それを解決できれば、二之宮さんも演劇をしたいと思うようになるかもね。
{character:白石奈々}全部推測ではあるけどね……。
{character:白石奈々}……わかった、すぐ行くからー!ごめん後輩クン、弟が勉強教えてって。じゃあ切るね。
{character:player}うん、おやすみ。
白石さんの元気な声が消え、部屋は再び静まり返った。なのに、なんとなく落ち着かない。
{character:player}どうしても気になるんだよな……二之宮さん、本当にたった一度の失敗だけで二度と挑戦しない気になってるのかな?
{character:player}二之宮さんのことをよく知っている人から、何か聞けたらいいんだけど……
考えた結果、よく二之宮さんに捜査を手伝わせている名探偵ことジェーンさんに電話してみることにした。この名探偵なら、持ち前の推理力を使って何か教えてくれるかもしれない。
{character:ジェーン}……助手さん、そういうことなら私じゃなくて占い師か何かに頼った方がいいと思うわ。
{character:ジェーン}探偵は神様ではないわ。推理は地道な積み重ねが肝心なの。君、まさか探偵はみんなコミックのように、一瞬の閃きで事件の全貌がわかるなんて思ってないわよね?
{character:player}違うの?
{character:ジェーン}謝りなさい!今!すぐ!私のおばあちゃまに!
{character:player}失礼しました……。じゃあ、えっと、普段、二之宮さんと話していることとかで、何か思いつくことはない?
{character:ジェーン}特にないわ。私と二之宮氏は事件や学校のことしか話さないし……彼女はあまり自分のことを話してくれないのよ。
{character:player}はぁ……打つ手なしか。
{character:ジェーン}まだそうと決まった訳でもないわ。
{character:player}えっ!?何でもいいから教えて!
{character:ジェーン}探偵の私が言うのもなんだけど、真相を知ることが最善だとは限らないわよ。
{character:ジェーン}むしろ、君達の「彼女にこのチャンスを掴んでほしい」って気持ちの方がどうかと思うけど。君達は、彼女は演劇の舞台に立ちたいはずだと仮定したから、善意で彼女の後押しをしてあげたと思ってるのよね?でも、もし真実がそれとは異なるものだったとしたら?
{character:player}……確かにジェーンさんの言う通りかも。もしかしたら、二之宮さんは舞台に立ちたいんだろうって思い込んで、彼女の負担になるようなことを言ってしまったのかもしれないな。
ジェーンの言う通り、真実を突き止めることが重要なのではない。もし二之宮さんが本当に舞台に立ちたくないということなら、その原因を突き止めて彼女を説得しても意味は無いだろう。
{character:ジェーン}とにかく助手さんは、しっかり二之宮氏に謝って仲直りすることね。でないと、これからペアでやってもらいたい仕事を頼めなくなるもの。……それにしても、二之宮氏はどうしてそこまで劇に出たくないのかしら。
{character:player}ついさっき自分で真実を追い求めすぎるなって言ったくせに……
{character:ジェーン}謎に心惹かれるのは探偵の性よ。二之宮氏はこのところ劇の原作をしょっちゅう読んでるんでしょう?それなら、舞台に立ちたいっていう気持ちもあるはず。何らかの理由で覚悟が決まってないのかもしれないわ。
{character:ジェーン}私も手が空いた時に少し考えてみる。何かわかったら連絡するから。
{character:player}待ってるよ、名探偵さん。
ジェーンさんと話したことを踏まえ、どうして二之宮さんが演劇に出たくないのか、これ以上の追及はとりあえずやめることにした。とはいえ、終わり際のジェーンさんの言葉を聞いてしまうと、まるきり放っておく訳にもいかないように感じる。
もし、二之宮さんが劇に出たいと思っているのに、このチャンスをみすみす逃してしまったら、また新たな心残りが生まれてしまうかもしれない。
……何かできることはないだろうか?
そう言えば、藤田佳奈ちゃんは二之宮さんの幼馴染で、小学生の時も同じクラスだったと聞いたような。彼女なら何かわかるかもしれない。
{character:藤田佳奈}どうしたの、{var:player_nickname}さん。いきなり電話なんかしてきて……
{character:player}ちょっと聞きたいことがあるんだ。実は……
演劇の件と二之宮さんの様子について話すと、すぐに佳奈ちゃんからある質問が出た。
{character:藤田佳奈}花ちゃんのクラスがやる劇って、まさか『ハウス・オブ・ミュージック』じゃないよね?
{character:player}白石さんから聞いてた?私まだ何の劇かまでは言ってなかったよね?
{character:藤田佳奈}やっぱり……だからそこまで嫌がったんだよ。他の劇だったらまだ良かったかもしれないけど、『ハウス・オブ・ミュージック』はね……
{character:藤田佳奈}{var:player_nickname}さん、小学生の時にも私たちのクラスで劇をしたことがあるのは知ってるよね。
{character:player}うん、それで佳奈ちゃんに電話したんだけど……待って、まさか……
{character:藤田佳奈}そう、あの時も『ハウス・オブ・ミュージック』をやったの。花ちゃんはすごく主役をやりたかったんだけど、みんな全然話を聞いてくれなくて……結局、花ちゃんは背景の木の役になっちゃったんだ。
{character:藤田佳奈}花ちゃん、結果的には「一番がんばった賞」を貰えたけど、いい思い出とは言えないよね。私も空気を読まずににおめでとうなんて言っちゃってさ~……花ちゃんが友達やめずにいてくれて本当に良かったよ。
{character:player}……それなら、劇に出たくないって思うのも当然だね。
{character:藤田佳奈}私も舞台の上で元気いっぱいに演技する花ちゃんを見てみたいけど、本人が嫌だって言うなら無理強いはしない方がいいと思うな。
{character:player}そうだね。色々教えてくれてありがとう。
{character:藤田佳奈}どういたしまして。この後も仕事だからもう切るね~。
{character:player}うん、また今度麻雀でもしよう。
何年も経ってまたクラスで演劇をすることになった上に、演目まで同じだなんて……二之宮さんがどういう気持ちでその偶然と向き合ったのか想像もできない。
苦々しく思っただろうか、それとも……。いや、どんな気持ちであろうと、昼間のあの言動は軽率で失礼だったことに変わりはない。できることなら、今すぐ電話して謝りたいくらいだ。
{character:player}……いや、やっぱり直接会ってちゃんと謝ろう。
佳奈ちゃんの言う通り、嫌な記憶をもう一度思い出させないためにも、これ以上無理強いしない方がいいだろうな。
{character:player}でも……本当にこれで「終わり」でいいのかな……
そこで、如月蓮に電話をしてみることにした。彼が持っている『問題児リスト』には、生徒の名前以外にも様々な情報が書き留められているらしいから、もしかしたら何かわかるかもしれない。
{character:如月蓮}確かに、問題児たちが校則違反ばかりするので、彼らのことは少し調べさせてもらっています。
{character:如月蓮}ですが、これは本校生徒のプライバシーです。私が校外の人間にそれを漏らすと思いますか?
{character:player}思いません……
{character:如月蓮}私は忙しいんです、他に用がないなら切りますよ。
こっちの返事も聞かずに如月くんは電話を切ってしまった。何やらとても忙しそうだ。
この方法もダメとなると、他に誰かいただろうか……?
次の週末に朝葉高校の中庭に来てみると、思った通り、忙しなく動く二之宮さんの姿がいた。
{character:二之宮花}ど、どうしてここに……?
{character:player}手伝いに来たんだ。親切な白石さんは家族と出かけるって聞いたし、一人じゃ大変でしょ。
{character:二之宮花}……私が今日ここにいるかどうかなんて、知らなかったはずです。無駄足になるかもとは思わなかったんですか?
{character:player}日数的に、ちょうどリーガースベゴニアに水をあげる日かなって。それに今日は天気もいいから、二之宮さんなら植物に日光浴させるかもしれないなと思ってさ。
{character:player}じゃあ、水をあげてくるよ……そうだ、今は日差しが強いから、日光が苦手な植物は日陰に持って行くね。
{character:二之宮花}お願いします。それにしても、学習能力が高いんですね、羨ましいです。たった一度言われただけで覚えてしまうなんて。
{character:player}そうじゃないよ。ただここ数日、暇な時にネットで植物のお世話のことを調べてただけ。どうせ手伝うなら、少しでも知っておいた方が効率良いだろうし。
{character:player}まあ、今はまだ覚えてるけど、手を動かしているうちに細かいとこを忘れちゃうかもね。でも、続けていれば自然と身につくって二之宮さんも言ってたし、努力すれば手際ももっと良くなると思うんだ。
{character:二之宮花}そうですね。でも、努力が全て報われるとは限りません……
二之宮さんは依然として少しナーバス気味のようだ。けど、あの日の出来事のせいで彼女との仲がこじれずに済んで本当によかった。
しばらく忙しく働いた後、二人で休憩することにした。二之宮さんは前回のように座って読書を始めた。今日はどうやら『音楽の家』ではないらしい。
{character:player}この前の本はもう読み終わったの?
{character:二之宮花}はい、だから今日は持ってきていません。あの本は何度も読んでいて、あの日も気が向いて読みたくなっただけだったんです。
二之宮さんは本で顔を隠していたが、「もう過ぎたことです」という言葉が微かに聞き取れた。やっぱりこの話題にはあまり触れて欲しくないみたいだな。
{character:player}……二之宮さん、記憶力は良い方だって言ってたよね。何回も読んでるんなら、セリフも暗記してるんじゃない?ここでちょっと演じてみようよ!
{character:二之宮花}えっ?演じるって……な、何をですか?
{character:player}でもその前に、ちゃんと謝らせて欲しい……あの時は本当にごめん。二之宮さんの気持ちも考えないで、劇に出ればいいのになんて言って。「二之宮さんらしくない」っていうのも失言だった。
{character:二之宮花}……謝るのは私の方です。{var:player_nickname}さんがせっかく手伝いに来てくれたのに、途中であなたを置いてここを離れてしまって……
{character:二之宮花}あなたも奈々ちゃんも、優しく背中を押してくれたのに。私はただ……
{character:player}いいんだ。二之宮さんがやりたくないって言うなら、その気持ちを尊重するよ。それに、だからと言って今演じることの妨げにはならないしね。
{character:二之宮花}えっと……さっきからずっと疑問だったんですけど、演じるってどういう……?
{character:player}そのままの意味だけど?今ここで、『ハウス・オブ・ミュージック』の舞台をやろうよ!
{character:二之宮花}……へ?
{character:player}ダメかな……?
{character:二之宮花}ダメとか、そういう問題じゃ……なぜ突然ここで演劇なんかを?理由を教えてくれませんか?
{character:player}二之宮さんの選択を尊重する、この言葉に嘘はない。それでも、このチャンスを逃したら後悔するんじゃないかとも思うんだよ。
{character:player}それならいっそ、ここを舞台だと思って演じてみたらどうかなって。そうすればクラスの劇には出なくてもいいし、二之宮さんも好きな作品の演劇ができるでしょ。
{character:二之宮花}でも、観客もいないのに……こんな一人芝居みたいなこと、馬鹿な行為だとは思いませんか……?
{character:player}観客ならいるよ。二之宮さんが心を込めてお世話してるお花がね。綺麗に整列して、二之宮さんの演技が見られるのを待ってるよ。
{character:二之宮花}そ、そんなの詭弁です!
{character:player}あははっ、確かに一人芝居だけど、観客がいなくても大丈夫。舞台の大きさは問題じゃない。大事なのは、二之宮さんがヒロインだってことだよ。
私は、過去の苦い思い出を消し去ることはできない。今二之宮さんにしてあげられるのは、今の喜びを出来るだけ多く与えることだけだ。
{character:player}絶対に素晴らしい劇になると思うんだ。二之宮さん、この舞台に立ってくれる?
{character:二之宮花}……あなただけでは、役者の数が足りないですよね?
{character:player}えっ、主人公とヒロインの掛け合いだけやればいいかと思ったんだけど……
{character:二之宮花}せっかくあなたが私のために舞台を用意してくれたんです、最初から通しで演じるに決まってるじゃないですか。
二之宮さんは鞄からとある本を取り出し、こちらに差し出した……『ハウス・オブ・ミュージック』の原作小説だ。彼女の頬が少し赤いように見えるのは、今日の気温が高いせいだろうか。
{character:二之宮花}セリフが飛んだ時は本を見てもいいです。さあ、始めましょう。あまりお客様を待たせてはいけませんから。
{character:player}読み終わったのに、ずっと持ち歩いてたの?
{character:二之宮花}……あー、何だか急に演じたくなくなってきちゃいましたー。
{character:player}ダメダメダメ!すぐ始めよう!えっと、確か最初はこっちからだよね……
{character:二之宮花}……ふふっ。
心地良いそよ風が吹き抜ける午後、朝葉高校の小さな中庭は私達二人の秘密の舞台となった……
次の週末に朝葉高校の中庭に来てみると、思った通り、忙しなく動く二之宮さんの姿がいた。
{character:二之宮花}ど、どうしてここに……?
{character:player}手伝いに来たんだ。親切な白石さんは家族と出かけるって聞いたし、一人じゃ大変でしょ。
{character:二之宮花}……私が今日ここにいるかどうかなんて、知らなかったはずです。無駄足になるかもとは思わなかったんですか?
{character:player}日数的に、ちょうどリーガースベゴニアに水をあげる日かなって。それに今日は天気もいいから、二之宮さんなら植物に日光浴させるかもしれないなと思ってさ。
{character:player}じゃあ、水をあげてくるよ……そうだ、今は日差しが強いから、日光が苦手な植物は日陰に持って行くね。
{character:二之宮花}お願いします。それにしても、学習能力が高いんですね、羨ましいです。たった一度言われただけで覚えてしまうなんて。
{character:player}そうじゃないよ。ただここ数日、暇な時にネットで植物のお世話のことを調べてただけ。どうせ手伝うなら、少しでも知っておいた方が効率良いだろうし。
{character:player}まあ、今はまだ覚えてるけど、手を動かしているうちに細かいとこを忘れちゃうかもね。でも、続けていれば自然と身につくって二之宮さんも言ってたし、努力すれば手際ももっと良くなると思うんだ。
{character:二之宮花}そうですね。でも、努力が全て報われるとは限りません……
二之宮さんは依然として少しナーバス気味のようだ。けど、あの日の出来事のせいで彼女との仲がこじれずに済んで本当によかった。
しばらく忙しく働いた後、二人で休憩することにした。二之宮さんは前回のように座って読書を始めた。今日はどうやら『音楽の家』ではないらしい。
{character:player}この前の本はもう読み終わったの?
{character:二之宮花}はい、だから今日は持ってきていません。あの本は何度も読んでいて、あの日も気が向いて読みたくなっただけだったんです。
二之宮さんは本で顔を隠していたが、「もう過ぎたことです」という言葉が微かに聞き取れた。やっぱりこの話題にはあまり触れて欲しくないみたいだな。
{character:player}二之宮さん、記憶力は良い方だって自分でも言ってたよね。何回も読んでるなら、セリフも暗記しているはずだし、ヒロイン役に立候補する上でも有利だと思う。
{character:二之宮花}……何度も言いましたよね、立候補するつもりはありません。
{character:player}佳奈ちゃんから聞いたよ。小学生の時も『ハウス・オブ・ミュージック』をやったって。
{character:二之宮花}知っているのなら、なぜ私が立候補しないかもわかるはずです。人生には、一度経験すればそれで十分なこともあるんですよ。
{character:player}気持ちはわかるよ。でも、最近また『ハウス・オブ・ミュージック』の原作を読んでいるのがどうしても気になって……本当にあの時の悲しい思い出を忘れ去りたいのなら、それに関わる全てを遠ざけるはずだから。
{character:二之宮花}……それは、たまたま気が向いただけです。それ以上の理由はありません。
二之宮さんはややいらだった様子で本をしまい、ここを立ち去ろうとした。
{character:player}二之宮さん、待って!初めて出会った時のこと、まだ覚えてる?
{character:二之宮花}……はい、いきなりどうしたんですか?
{character:player}前に、たった一回負けたくらいでずっと付きまとってくるなんてって言ってたよね。それは……二之宮さんのことが好きだから。
{character:二之宮花}えっ……
{character:二之宮花}なっ……いきなり何を言っているんですか!?
{character:player}初めて二之宮さんと麻雀を打った時、その粘り強さに驚いたこと、今でも覚えてるよ。さすがにもう守りに入るんじゃないかなって思っていると、毎回巧みに打ち回して逆転してたよね。
{character:player}そして、二之宮さんの麻雀を傍で見てきて、ただ粘り強いだけじゃないんだって気がついた。二之宮さんは対局中に起こること全てに毅然と立ち向かっていた。己の判断を後悔した所も、劣勢だからと諦める所も見たことがない。
{character:player}いつだって、細い希望の糸を手繰り寄せて自分を輝かせていたんだ。二之宮さんは私のこと、二之宮さんを見つけられる数少ない人間のうちの一人だと言うけど、私からしたら不思議で仕方ないよ。どうして二之宮さんみたいに輝いている人にみんな気付かないのかって。
{character:二之宮花}も、もうやめてください……自分がどれだけ恥ずかしいことを言っているのかわからないんですか!?
{character:player}ただ真実を言っているだけだよ。そういう揺るがない二之宮さんが本当に好きだから……だから、今回のチャンスを諦めてしまうと、また苦い思い出になってしまうんじゃないかって、本当に心配してるんだ。それが、麻雀で培ってきた自信にも影響しちゃうかもしれないし……
{character:二之宮花}それとこれとは全く関係ないですよ。
{character:player}二之宮さん、立候補しない理由を教えてくれないかな。選ばれる可能性が低いと思ってるから?それとも、土壇場で怖気づいてしまうかもしれないから、立候補をする勇気が出ないとか?
二之宮さんはかつて、もしかしたらあの時の自分は立候補の声をあげた訳じゃなくて、他のクラスメイトと同じように佳奈ちゃんに投票したのではないかと疑ったことさえある。立候補しようとしたこと自体、自分が創り出した幻想なのではないかと思ったのだ。
{character:player}あの日、二之宮さんの気持ちも考えずに言った言葉で、嫌な気持ちにさせちゃって本当にごめん。
{character:player}でも……その言葉を取り消すつもりもない。失敗を恐れて挑戦しないことも賢明な選択だと思う。だけど、私の知ってる二之宮花はそんなことしない、そう思うんだ!
{character:player}だから、ほんの少しでも劇に出たいっていう気持ちがまだあるなら、勇気を出して立候補して欲しいよ。
自分自身さえ疑ったことがあるからこそ、その疑いを根本から晴らしてあげたいと思った。
{character:二之宮花}……
もちろん、二之宮さんにがんばってほしいと思うのは私のエゴだ。それでも、自分のよく知る二之宮さんのままでいてほしいと願ってしまう。
今日、ここに来るのも相当悩んだ。もし、自分の言葉で二之宮さんが更に嫌な思いをしたらどうしよう、もしそれで口さえ利いてくれなくなってしまったら……
しかし、悩んだ上で、それでも自分の気持ちを言うことにした。もしここで自分の本当の気持ちを飲み込んでしまったら、二之宮さんに「全てに立ち向かえ」等と言う資格もなくなるだろうから。
{character:二之宮花}あなたという人は……本当に勝手ですね。今私がどれほど頭を悩ませているかわからないんですか!?よく恥ずかしげもなくそんな言葉が言えますね!
{character:player}ごめん、今思うと、確かに少し照れるかも。
{character:二之宮花}全く、本当に困った人です!せっかく演劇のことは考えないようにしていたのに、そんなこと言われたら……すっぱり諦められないじゃないですか……
{character:player}えっ、二之宮さん……それって、立候補するってこと?
{character:二之宮花}あなたもそれを望んでいたんじゃないですか?
{character:player}もちろんだよ!
{character:二之宮花}わかりました、もう一度挑戦してみます。私のこと、す……期待してくれている人もいるみたいですし。これで何も行動しないんじゃ、意気地なしにも程がありますよね!
メガネがキラリと輝き、彼女らしいキリッとした表情になった。その顔には、迷いの色など全く見えない。
{character:二之宮花}立候補すると決めたからには、もう一度原作を読み返して、細かい部分まで頭に叩き込まないといけませんね!
{character:player}あれ、さっき持ってきてないって言ってなかったっけ?
{character:二之宮花}……あー、急に立候補したくなくなってきましたー。
{character:player}ごめん、今のなし!ほら、もっとよく本を読み込まないと!
{character:白石奈々}やっほー、後輩クンお待たせ。
{character:player}いや、今来たところだよ。演劇の配役、どうなった?
{character:白石奈々}はいこれ、自分で確かめて~。
週末、朝葉高校近くのレストランに白石さんを呼び出した。目的はもちろん、彼女たちのクラスで行われたホームルームの模様を収めた動画を見るためだ。
スマホの中で、「ヒロインに立候補したい人はいますか」と実行委員が呼びかけると、二之宮さんが思い切りよく手をあげ、立ち上がって発言した。
{character:二之宮花}はい、ヒロイン役に立候補します。私、『ハウス・オブ・ミュージック』の原作小説がすごく好きで、映画も何回も見てます。ヒロインのマリアンはとても魅力的なキャラクターで……
{character:白石奈々}後輩クンも心配性だよね~、花ちゃんがちゃんと立候補したか確かめたいなんてさ。
{character:player}そういうんじゃないよ、二之宮さんなら絶対立候補するって信じてたし。ただ、二之宮さんが立候補する所を見たかったんだ。
現実はそう甘くはない。二之宮さんは僅差でヒロイン役に選ばれなかった。しかし、画面の中の彼女は微笑んでいた。これで苦い思い出も払拭出来たはず。少なくとも、自分の勇気を疑うことはなくなるだろう。
{character:player}ん?ごめん、電話だ。
{character:二之宮花}もうすぐ時間ですよ。みんな揃ってるのに、奈々ちゃんだけまだ来てないんです。ちゃんと連絡してありますよね?
{character:player}ちょうど今一緒にいるんだ、あと少ししたら一緒に行くよ。
{character:二之宮花}わかりました、でしたら先に準備をしておきますね。ではまた後ほど。
{character:白石奈々}花ちゃんから?
{character:player}うん。あのさ、この後大丈夫?一緒に来てほしいところがあるんだけど……
奈々を連れて、園芸部が使っている中庭にやってきた。知った顔が数人、既に座って待っている。
{character:白石奈々}あれ?みんな来てたんだ。
{character:嵐星}お師匠、いったい何用でござるか?
{character:藤田佳奈}{var:player_nickname}さん、楽しいことってなに?そろそろ教えてよ~。
嵐星と佳奈ちゃん、それにエリサさんやキララさん達もいる。集まった人々には、ある共通点があった。全員が「幸運にも」副会長の『問題児リスト』入りしている仲間なのだ。
{character:player}大体そろったね。えー、今日みんなを呼んだのは、とある演劇をお見せしたいからなんだ!
{character:藤本キララ}劇?{var:player_nickname}がやんの?やば、めっちゃ面白そーじゃん!
{character:エリサ}オオカミさんひとりってことは……リサリサ、わかっちゃった!漫談やるんでしょ!
{character:player}漫談と劇は全く別物なんだけど。もちろん一人芝居じゃないよ。それでは、本日のヒロインを紹介します……二之宮花さん、どうぞ!
{character:白石奈々}へっ?後輩クン、まさか『ハウス・オブ・ミュージック』をやるつもり?
{character:player}その通り!白石奈々に一ポイント!
{character:藤田佳奈}なになに、クイズタイムまであるの?それなら私、大得意だよ。ほらほら、次の問題出して!
{character:player}いやいや、ないよ。バラエティー番組じゃあるまいし。
{character:白石奈々}後輩クン、これってもしかして花ちゃんのため?
{character:player}うん、二之宮さんを説得するのに随分苦労したよ。
二之宮さんがヒロイン役に選ばれなかったのは確かに残念だった。しかし、だからと言って演じること自体を諦める必要はない。
二之宮さんが立候補した勇気に報いるためにも、好きな作品を演じられるようにしてあげたい。舞台が小さくても、観客が少なくても問題はない。二之宮さんのヒロイン姿が見たい、それだけだ。
{character:嵐星}お師匠、二之宮先輩はどうして姿を見せないでござるか?
{character:player}変だな、呼んだのに……
{character:二之宮花}……わ、私……いますよ。
{character:player}へっ!?二之宮さん、いつの間に!?
皆との話に夢中になり過ぎたか?二之宮さんが後ろにいたことに気がつかないなんて……
{character:二之宮花}さ、さっき、です……。{var:player_nickname}さん、あの……みんなにやっぱり冗談だったって言ったらだめですか?今日はこのくらいで……
あれ、変だな。二之宮さんの身体がどんどん透けていくような……まさか、緊張のせいでどんどん影が薄くなってるんじゃ!?
{character:白石奈々}後輩クン、何ぼーっとしてるの!第一幕のセリフは後輩クンからでしょ?
{character:player}へ、ああ、そっか……うん、そうだね。
よし、先に動いてしまおう。ここまで来たんだ、輝かしい舞台から二之宮さんを逃がすわけにはいかない!
{character:player}あー、ゴホン……シスター・マージェリーから聞いています。マリアンさん、家庭教師としてこちらで働きたいそうですね?
{character:二之宮花}は、はい……
{character:player}では、屋敷をご案内します。入ってはいけない部屋もあるので、くれぐれもご注意を……
そう言って二之宮さんの手を取った私は、部屋を案内するかのように中庭を歩き回った。
{character:白石奈々}花ちゃん、がんばって!次は花ちゃんがその美声を披露する番だよ!
{character:藤本キララ}ん?この劇、歌もあんの!?
{character:エリサ}リサリサ、ワクワク!
二之宮さんの緊張が伝わったのか、皆彼女を励ましている。その甲斐あって、二之宮さんも段々といつもの調子を取り戻してきたみたいだ。
{character:二之宮花}どんな試練でも構わない、私ならきっとやれる!この世界は私のもの……私は自分を信じてる!
{character:二之宮花}太陽を信じ、雨を信じ……春は約束通りに来てくれる、そう信じてる!
明るい歌声が風に乗り、プランターの花達も風を受けて揺れている。まるで、ずっと世話をしてくれている主人に挨拶でもしているかのようだ。
かつて二之宮さんが花を照らす火花になりたいと願ったように、私も彼女の夢を光らす星になりたいと思った。
{character:player}二之宮さん、記憶力は良い方だって自分でも言ってたよね。何回も読んでるなら、セリフも暗記しているはずだし、ヒロイン役に立候補する上でも有利だと思う。
{character:二之宮花}……何度も言いましたよね、立候補するつもりはありません。
{character:player}佳奈ちゃんから聞いたよ。小学生の時も『ハウス・オブ・ミュージック』をやったって。
{character:二之宮花}知っているのなら、なぜ私が立候補しないかもわかるはずです。人生には、一度経験すればそれで十分なこともあるんですよ。
{character:player}気持ちはわかるよ。でも、最近また『ハウス・オブ・ミュージック』の原作を読んでいるのがどうしても気になって……本当にあの時の悲しい思い出を忘れ去りたいのなら、それに関わる全てを遠ざけるはずだから。
{character:二之宮花}……それは、たまたま気が向いただけです。それ以上の理由はありません。
二之宮さんはややいらだった様子で本をしまい、ここを立ち去ろうとした。
{character:player}待って、二之宮さん!別に立候補しろって言ってる訳じゃないんだ。
{character:player}本当にごめん。二之宮さんの気持ちも考えないで、劇に出ればいいのになんて言って。それに、二之宮さんらしくないっていうのも失言だった。
{character:二之宮花}……謝るのは私の方です。{var:player_nickname}さんがせっかく手伝いに来てくれたのに、途中であなたを置いてここを離れてしまって……
{character:二之宮花}あなたも奈々ちゃんも、優しく背中を押してくれたのに。私はただ……
{character:player}いいんだ。二之宮さんがやりたくないって言うなら、その選択を尊重するよ。それに、演技をしなくても舞台には立てるしね。
{character:二之宮花}どういうことですか?
{character:player}色んな人が演じた『ハウス・オブ・ミュージック』の舞台をネットで見たんだけど、その中にはナレーションが多いバージョンもあったんだよね。もし、二之宮さんのクラスもそういう脚本を採用してるのなら、ナレーターとして参加してもいいと思う。二之宮さんは綺麗な声をしてるからね。
{character:二之宮花}……そんな風に思ってくれていたんですか?ごめんなさい、また役者に立候補しろと言われるんだと思って、逃げようとしてました。
{character:player}本当はヒロイン役に立候補するよう説得するつもりだったけど、二之宮さんの選択を尊重するよ。二之宮さんが嫌だというなら、無理にすることはない。
{character:player}でも、好きな作品の演劇なんてまたとないチャンスだから、全く参加しないのはもったいないよ。二之宮さんには、出来る限りクラス活動を楽しんで欲しい。だからさ、ナレーターに挑戦してみなよ。
{character:二之宮花}……い、今すぐには決められません。
{character:player}えっ?ナレーターも難しいってこと?
もしかして、昔の嫌な思い出のせいでこの作品の舞台自体に嫌気がさしているんじゃ!?
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さんは私の声を褒めてくれましたが、あくまであなたの個人的な意見に過ぎません。それに声がいいだけでは意味がありませんよ。しっかり感情を込められないと。
{character:二之宮花}でも……先にあなたが観客になってくれるなら話は別です。実際に私のナレーションを聞いて、意見を聞かせてください。
{character:player}そういうことなら、お安い御用だよ!
{character:二之宮花}そうと決まれば、時間を無駄にはできませんね。
そう言って、二之宮さんは鞄から『ハウス・オブ・ミュージック』の小説を取り出した。やっぱり、完全に諦めた訳じゃなかったんだな。
{character:二之宮花}始めますね……
中庭の片隅で、二之宮さんの声が風に乗って耳に入ってくる。周囲の花たちもその優しい声に静かに耳を傾けていた。
確かに素晴らしい作品だ。二之宮さんがここまでこの物語を好んでいるのも頷ける。
特に、二之宮さんの声くらい美しい声によるナレーションが付くと、もっと魅力的な物語になるんだよな。
新入部員募集中
契約を結ぶことで開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 6, Scenes 219, Choices 2, Endings 0
強い日差しに晒され、汗がだらだらと流れ続けている。そこかしこから聞こえる蝉の声にイライラさせられるが、この音が消えてしまっては夏休みも幾分味気ないというものだ。
全ての学生が、夏休みの間をクーラーの効いた涼しい家にずっと引きこもっていられる訳ではない。一部の部活動は休暇中も活動をするが、園芸部もそのうちの一つ。夏休み中に植物の世話をしなければ、新学期が始まる頃には悲惨な状況になるからだ。
園芸部の部員は二之宮花しかいない。たった一人でこの暑さの中作業するなんて、あまりにも可哀想だ。そう思い、空いている時は花ちゃんの手伝いをすることにしていた。
{character:player}あれ……花ちゃん、さっきあまり水をたくさんあげちゃいけないって言ってたのってどれだっけ?どれもまだ小さな芽しか出てないから、見分けが……あ、あと、この二つのどっちが椿だっけ?
{character:二之宮花}……はぁ。
{character:player}花ちゃん?
{character:二之宮花}あ、{var:player_nickname}さん、今、呼びましたか?
{character:player}うん、この二つ、どっちが椿なのかなって。
{character:二之宮花}あなたから見て左にあるのが椿です。ごめんなさい、少しぼーっとしていて聞いてませんでした。
{character:player}気にしないで。もしかして具合が悪い?少し休憩しようか?
{character:二之宮花}そうですね。
そう言って椅子を二脚移動させ、花ちゃんと涼しい木陰でしばし休憩することにした。
{character:二之宮花}ふぅ……
水を飲んだ花ちゃんは、少しだけ顔色が良くなったように見える。ペットボトルを揺らしつつ中の水を見つめているが、その焦点は合ってはいない。このところ、花ちゃんはこうしてぼんやりすることがしょっちゅうある。何か悩みでもあるかのように暗い顔でため息をつくこともあった。
{character:player}花ちゃん、何か悩みでもあるの?
{character:二之宮花}……大したことじゃないんです。ただ、新学期が始まった後の部活のことが少し気がかりで。新入部員を集めなきゃいけないんですけど、準備が全然進んでなくて……もうすぐ夏休みも終わるのに……
{character:player}夏休み明けに新入部員を募集するんだ?いいじゃん、部員が増えれば花ちゃんも多少楽になるし、頑張って人手を増やさないと。
{character:二之宮花}本当に頑張らないといけないんです。このまま部員数が足りなくて部活動の運営が難しくなるようなら、園芸部は今後活動が出来なくなると副会長に言われていて。
{character:player}それって、なかなか大変な状況なんじゃ……うーん、でもどうして廃部なんて話になったの?
確かに花ちゃんには助けてくれる人が必要だとは思う。だが、園芸部の活動はずっと問題なく行われていた。すぐに新入部員が集まらなくても、それほど差し迫った問題にはならないはずだ。
{character:二之宮花}副会長には副会長の考えがあるのでしょう。それに、私もその指摘は別に間違いではないと思っていますし……とにかく、この何日かでどうやって部員を勧誘するか考えないと……
「もし廃部になったら、お花達はどうなるの?」とか、色々聞きたいことはあったが、今そんな質問をした所で花ちゃんを困らせるだけだ。ひとまず、勧誘活動に協力しよう。
{character:二之宮花}あれ?{var:player_nickname}さん、スマホが鳴っているみたいですよ。
スマホを見ると、ジョセフからのショートメールが届いていた。
{character:ジョセフ}(ショートメール)Hi, My Partner!今日は飛行機が遅れなかったんだぜ。もう麻雀会館に着いたぞ!
{character:player}あっ、そう言えば今日、麻雀会館で会う約束をしてるんだった……。
今日は、ジョセフの番組収録が終わったら一緒に麻雀をしようと約束していた日だった。本当は、花ちゃんの手伝いが終わったら彼に会いに行こうと思っていたのだが……。
{character:二之宮花}誰かと麻雀の約束をしているんですか?その人がもう待ってるんだったら、すぐに行ってください。
{character:player}でもまだ作業が残ってるよね?
{character:二之宮花}この後、奈々ちゃんが手伝いに来てくれることになっているので大丈夫です。
{character:player}……わかった。それじゃあ、花ちゃんはしっかり木陰で休んで。熱中症に気を付けてね。
勧誘の件が少し心配だ。出来れば花ちゃんに何かしらのアドバイスをしておきたかったが、せっかく彼女がこう言ってくれてるんだし、言う通りにしよう。
近くにある手洗い場で手についた泥を洗い流し、荷物の整理をしていると、椅子に座ったまま顔をしかめている花ちゃんが見えた。
{character:二之宮花}(小声で)本当に面倒ですね……私一人でも良かったのに……
私の考え過ぎだろうか。花ちゃんの言い方、あまり新入部員の勧誘に乗り気ではないように聞こえるんだけど……?
花壇を後にすると、校門から出て行こうとしている人影があった。
{character:player}副会長、休みも仕事?
{character:如月蓮}なぜあなたがここに?
{character:player}園芸部の人手が足りてないってことで、手伝いに。
{character:如月蓮}なるほど、そうですか。帰る時は、きちんと退校時間を来訪者記録に書いておいてください。では。
{character:player}ま、待って!聞きたいことがあって。
{character:如月蓮}従姉に呼びつけられているので、手短にお願いします。
{character:player}ああ、なるほど……。こっちも約束があるから、単刀直入に言うね。園芸部の新入部員勧誘のことだけど、急すぎない?部員が集まらなかったら廃部だなんて……
{character:如月蓮}朝葉高校の校則では、最低人数を満たしていない部活は活動出来ないことになっています。私はただ、規則に従って事を進めているだけです。
{character:如月蓮}二之宮さんが園芸部の活動を再開させた時は、既に勧誘期間を過ぎていましたので、特別に一人での部活を許可していました。しかし、夏休みが明ければ新学期、秋には多くの部活動で代替わりがあるでしょう。園芸部ももし活動を継続させたいなら、新入部員の勧誘活動をすべき頃合いです。
{character:player}でも、部員が入るかどうかは縁じゃないかな。もう少し時間をあげても良いんじゃないの?少なくとも、夏休み明け早々とかではなくてさ……
{character:如月蓮}年度初めと新学期を逃せば、新入部員を引き入れるチャンスはほぼ失われます。あなたは、この期間を逃しても新入部員が集められるとでも思ってるんですか?
{character:如月蓮}このままでは、園芸部は再び廃部になります。そうなれば、丹精込めて育てている植物達への影響は避けられませんよ。活動を再開した以上、二之宮さんには、部員を増やしてより安定した活動の出来る部にする責任があります。あなたも何度か手伝いに来ているのならわかるでしょう。彼女一人で園芸部の活動を継続するのは現実的ではありません。
{character:如月蓮}それに、二之宮さん自身も言っていましたよね、より存在感のある人間になりたい……と。ですが現状では、依然としてクラスに馴染めていないと言わざるを得ません。卓上で努力をしても部活動には力を入れないのでは、彼女の求めるものは得られないと思います。
如月蓮は終始冷徹に己の合理性について説明する。しかし、彼も彼なりに花ちゃんを心配しているのだなとわかった。
部活動での作業分担の問題にしても、交友関係を広げて自分の存在感を高めるという目標にしても、新たな部員の加入は花ちゃんにとっても悪い話ではない。その点については、如月くんの言う通りだ。しかし……
{character:player}もう一つ質問が。花ちゃん本人は、勧誘活動についてどう思っていると思う?新入部員なんて必要ない……みたいなことを言ってなかった?
{character:如月蓮}いえ。夏休み前にこの話をした時は、「休みの間にしっかり考えてみる」と言っていましたよ。
{character:player}そっか……色々質問してごめんね。
{character:如月蓮}お気になさらず。では、他に用がなければこれで。
{character:如月蓮}……退校時間はきちんと記入しておいてくださいね。
{character:player}そんなに退校時間を書かないような顔に見える……?
本当に花ちゃんが如月くんにそう言ったのであれば、帰り際に聞こえた彼女の愚痴っぽい独り言は、まだ準備が出来ていないことへの焦りからきたものだろうか?
もうすぐ新学期が始まってしまうのだから、焦っていても不思議ではない。夏休みももうかなり過ぎてしまっている。もう少し早く相談してくれていれば、もっと時間をかけて考えられたかもしれないのに……
{character:player}いや、今さらそんなこと考えても仕方がない。夜にでも、ネットで部員勧誘について調べてみよう。そうすれば次会った時に何かアドバイス出来るかもしれないし。
別の日、園芸部の手伝いの休憩中に、私はノートを取り出した。
{character:player}花ちゃん、新入部員の勧誘についてなんだけど、何か思いついた?もしまだなら、休憩がてら話でもしようよ。
{character:二之宮花}えっ?そんな、いいですよ。手間がかかることですし、自分で考えますから。あなたにはもう色々とお世話になってしまってますし……
{character:player}人数が多い方がアイデアも浮かびやすいと思うよ。もうすぐ新学期だし、ちゃんと準備しておかないと残りの休みを楽しめないと思うしさ。
{character:player}それに、これからも同じように手伝いに来れる保証はないし。人手が増えれば花ちゃんだって楽になるはずだから、私もそのぶん安心出来るよ。
{character:二之宮花}……わかりました。
{character:二之宮花}確かにそうですね……あなただっていつでも来られる訳ではありませんし。今まで甘えすぎていました……
{character:player}花ちゃん?
花ちゃんは一瞬がっかりしたような表情を浮かべたが、こちらがその意味について深く考える前に部室へ行ってしまい、ノートパソコンを持って戻ってきた。
{character:二之宮花}実は勧誘ポスターを描いてみたんです。見てもらえますか?
{character:player}いいね、まずポスターで新入生の興味を引いてから、部活の様子を見てもらうのはいいアイデア……だ、ね……?
モニターには、なんとも微妙なポスター画像が映し出されていた。「園芸部新入部員募集中」という文字列がでかでかと入っているが、ここに描かれた絵は一体……ぱっと見で何が描いてあるのか判別するのは難しい。
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さん……どうですか?
オブラートに包んだ意見を言おうかと思ったが、ポスターは部活への第一印象を決めるものだ。ここはありのままを言った方がいいだろう。
{character:player}正直に言うと……何が描かれているのかよくわからない、かな。
{character:二之宮花}ワンピースを着ていて、ヒマワリを持っている女の子です。えっと、ここが頭でここがヒマワリなんですけど……
{character:player}ああ、なるほど……
花ちゃんの説明により、エプロンを着て穴あきお玉を持って料理している女の子ではなく、ヒマワリを持っている女の子だということが辛うじてわかった……
新入部員勧誘のために、花ちゃんがここまで頑張って絵を描いたんだ。何とか褒められるポイントを見つけないと……
{character:player}えっと……これは、エプロンを着て穴あきお玉を持った女の子かな?うん……抽象画って感じだね。でも、園芸部とどんな関係があるの?
{character:二之宮花}これは、ワンピースを着てヒマワリを持っている女の子の絵です。
{character:player}えっ、そ、そうなの?
{character:二之宮花}客観的な感想、ありがとうございます。どうやら、何が描いてあるか私以外の人にはわからないみたいですね……
{character:二之宮花}はぁ……急にこんなことやっても、そう上手くはいきませんよね。昔からそうなんです、私。本を通して理解して、理論的には簡単だと思っても、実際に手を動かしてみると全然だめで……
{character:二之宮花}参考書を何冊か読んだだけで、ペンタブレットを使いこなそうだなんて、無理ですよね……
{character:player}フラットな目で見れば、その考え方は美術を学ぶ人に失礼と言えるかもね……ところで、そのペンタブ、高かったんじゃない?
{character:二之宮花}中古販売サイトで買ったんです。今夜手放すつもりですが……
{character:player}合理的だね……。ポスターはひとまず置いておこう。どうしても難しければ、知り合いの漫画家に頼んでみるよ。
先延ばし癖がある人なんだけどね、その人。
{character:player}ポスターもいいけど、部を紹介するパンフレットを作るのはどうかな。PR動画も作れたらなお良し。
{character:二之宮花}それなんですけど、この前奈々ちゃんと会ってたのは、部活動の動画を撮ろうという話をしていたからです。実はもう撮影も終わっているんですけど、見てみますか?
{character:player}もちろん見る!早く見せて!
花ちゃんがデスクトップの動画ファイルをクリックすると、青い空と白い雲の下に佇む朝葉高校の正門が映し出された。
「ここは朝葉高校、美しい朝焼けや暖かい午後の日差しに包まれる場所」
花ちゃんのナレーションが入ると、場面は園芸部の中庭に移り、水やりが終わったばかりの、陽光を浴びてキラキラと輝く植物たちが鮮やかに映し出された……
「まだ何もなかったこの中庭を見た時、部員は私一人だけなんだという不安がありました。しかし今は植物たちが一緒にいてくれます。毎日楽しい変化を見せてくれるんです」
動画の最後に、画面の真ん中にゆっくりとテロップが表示された。「あなたと一緒に新しい活動が出来る日を楽しみにしています。今こそ、朝葉高校園芸部へ!」
{character:二之宮花}このPR動画、どうですか?
{character:player}すごくいいと思うよ、雰囲気もあるし。でも……画面に花ちゃんが映ってないのはどうして?
{character:二之宮花}ちゃんと映ってますよ。ほら、ここに……
花ちゃんの教えてくれた箇所を見てみたが、映っていたのは土をほぐしている彼女の手と、水をあげている時に映った足元のみで、どちらも一瞬だけ。花ちゃんがはっきりと映っているシーンは一つもない。こんなに目を凝らして画面を見たのは、恐怖動画の隅の隅に映っているお化けを探した時以来だ。
{character:player}花ちゃんが植物のお世話をしている所をしっかり見せた方が宣伝になると思うんだけど……どうかな?
{character:二之宮花}奈々ちゃんもそう言っていました。でも、園芸部の宣伝をするのであれば、植物に焦点を当てた方が良いと思うんです。部活動の成果を見せることになりますから。
{character:player}うーん……それは確かにそうだけど。
{character:player}PR動画が完成してるのなら、ポスター作りに再チャレンジするのが良さそうだね。あとは、ちょっとした配布物を用意するくらいかな。
{character:二之宮花}そろそろ下校時間ですし、とりあえず残りの作業をやってしまいましょう。勧誘のことは、後でご飯を食べながらでも話せますから。
{character:player}そうだね。じゃあ、一旦パソコンを落としてと……あれ?この「PR動画2」って何?他の動画も撮ったの?
{character:二之宮花}あっ!そ、それは見ないでください!
花ちゃんの言葉も空しく、「宣伝動画2」のファイルが開かれてしまった。花ちゃんは慌てて私からマウスを奪おうとしたが動画を消すことは出来ず、ぐいっと両手で私の顔を明後日の方へ曲げた。
{character:二之宮花}あ、あっち向いてください!これは、使えない動画なんです!
{character:player}花ちゃん、知らないの?人間ってダメだって言われれば言われるほどタブーに触れたくなる生き物なんだよ。
何とか抗いながら画面に目を向けると、「花ちゃん、恥ずかしがらないで。ほらほら、カメラに向かって何か喋ってよ~」と声がして、白石さんに背中を押されながら白いワンピース姿の花ちゃんが入ってきた。花ちゃんは顔を赤くしてマイクを持ち、ぽつりぽつりと勧誘の言葉を呟いている。行き場を失ったもう片方の手は、スカートのすそを握りしめている。そのもじもじとした姿は、何とも可愛らしい。
{character:player}そう言えば、最初の宣伝動画にも白い布みたいなものがチラチラ映り込んでたけど、その時もこのワンピースを着てたの?
{character:二之宮花}奈々ちゃんが、PR動画なら堅苦しい制服なんか着なくていいんじゃないかって……。それで、最近買ったワンピースを持ってきたんです。でも、私服で動画に映るのもなんだか変な感じがするので、この動画は使いません。
{character:二之宮花}も、もういいですよね!見終わったことですし、消します……!
ははーん、花ちゃんは恥ずかしかったからこの動画を見られたくなかったんだな。しかし残念だなあ、私の見立て通り、花ちゃんは少しおしゃれをすれば見る者の目を引く子だ。この「宣伝動画2」はきっと、勧誘にも効果的だろう。もちろん、花ちゃん自身が嫌だというなら話は別だ。
{character:player}でも、動画のおかげで良いアイデアを思いついたよ。ヒマワリを持った女の子の絵だけど、同じものを写真にすればそのままポスターに出来るんじゃない?
{character:二之宮花}でも……それだと変じゃないですか?
{character:player}全然変じゃないよ。花ちゃんの可愛さとPR動画の生き生きとした植物があれば、絶対色んな人が見てくれるはず。よし!これでポスターのことも解決だね。
{character:二之宮花}少し安直すぎませんか?服を変えただけで人目を引けるのなら、私も長年透明人間のままにはなってないはずだと思うんですけど……。それにしても、勧誘の準備が進展して、私以上に嬉しそうですね。
{character:player}部員が入れば花ちゃんも少しは楽になるし、新しい友達とも知り合えるんだから嬉しいに決まってるよ。でも……
{character:player}もし、花ちゃんが新入部員なんか入れたくないって思ってるなら、無理にやることはないと思う。
{character:二之宮花}えっ?どうしてそんなことを言うんですか?
{character:player}この前手を洗って荷物を取りに戻ったとき、花ちゃんが「私一人でも良かったのに……」って言ってるのを聞いたんだ。それに、今日勧誘について話している時も、あんまり乗り気じゃなかったでしょ。
{character:player}夏休みももうあと少しなんだし、もし本当に新入部員を勧誘したいと思っているのならもっと早く準備を始めたはずでしょ?だから、本当は新入部員なんていらないと思ってるんじゃないかなって……
{character:二之宮花}あれを聞かれていたなんて、全く気付きませんでした……あの日は本当に悩んでて、あなたが近くにいたことにも気が付いてなくて。
{character:二之宮花}はぁ……その通りです。私、今はまだ新入部員なんて必要ないと思っています。
花ちゃんが新入部員を拒むのは、恐らく「新たな人間関係の発生」が主な理由だろう。
彼女はかつて、「中学の頃に所属していた園芸部の部長は誰かとコミュニケーションを取るが大の苦手だった」と教えてくれた。私から見た花ちゃんはそこまでひどくはないと思うけど、新しい人間関係を築くのが簡単な人間はほとんどいない。彼女は部長として自分と誰かのみならず、部内全体の雰囲気にも気を配らなければならない。花ちゃんにとっては負担になるはずだ。
とはいえ、これもただの個人的な憶測にすぎないし、本当の理由は彼女にしかわからないだろう。花ちゃんが話そうとしないのなら、それ以上こちらから踏み込むこともしない。ただ、校則によって、無理やりにそうした問題に向き合わされるような状況にはなって欲しくはないと思う。
{character:player}如月くんから聞いたよ、花ちゃんに勧誘について話した時は、すぐに了承してたって。どうして、自分の本当の気持ちを言わなかったの?
{character:二之宮花}副会長は私と園芸部を気にかけてくれているからこそ、新入部員を勧誘しろって言ったんだってわかりましたから。それに、副会長のあの気迫……あなたも知ってますよね。今園芸部が校則に違反しているのは事実ですし、新入部員は入れたくないなんて言えませんでした。
{character:player}今からでも遅くないよ。如月くんに相談してみたら?
{character:二之宮花}はぁ……もしかして、自分なら園芸部だけ特別扱いするよう副会長を説得出来ると思ってます?私の気持ちを考えてくれるのは嬉しいですけど、実現不可能なことは最初から諦めておいた方がいいですよ。
{character:player}違う違う、新入部員を募集しないとは言ってないよ。
{character:二之宮花}えっ?どういうことですか?
{character:player}こういう時は、先人の知恵に感謝しないとね。ふふん、いい考えがあるんだ……
次の日、花ちゃんと二名の生徒を連れて生徒会室にいる如月くんに会いに行った。
{character:二之宮花}副会長、新入部員を連れてきたよ。これでもう、勧誘しなくていいよね。新学期に向けて設置した、園芸部の新入部員勧誘ブースを撤去しても良いかな?
{character:如月蓮}彼女たちが……新入部員ですか?
如月くんは白石さんとエリサさんを見てから、視線を私に戻した。
{character:如月蓮}このアイデアはあなたが?
{character:player}花ちゃんと一緒に考えた最善策です。ね、花ちゃん。
{character:二之宮花}そ、その通りです。
そう、これはかつて石原くんがスイーツ部を存続させた方法――いわゆる「名前貸し」だ。園芸部部員として、二人の名前だけ貸してもらうのだ。
もちろん、この程度の企みなど如月くんにはお見通しだろう。副会長の表情は、みるみるうちに険しくなっていった。不愉快な記憶を思い出したことは明白だ。
{character:如月蓮}園芸部は今日から「問題児部」とでも名前を変えるんですか?私が忙しいときにあえて問題を起こしている訳ではありませんよね?
{character:白石奈々}ちょっとちょっと、副会長、それはひどいんじゃない?ウチもリサリサも本当に園芸部に入ろうと思ってるんだから。今もよく手伝いに行ってるしね。
{character:エリサ}そうだよ~!リサリサもぽややんも、本当に園芸部に入りたいんだよ!
{character:二之宮花}ま、待ってください!エリサさん、園芸部の植物は食べられません。それに、中にはぽややんには毒となるものもあるんです!
{character:エリサ}大丈夫だよ、花ちゃん。ぽややんは、植物に囲まれたところで遊ぶのが好きなだけだから……多分。
{character:如月蓮}……仮にあなたたちが本当に入部したとして、部活動の最小人数は四人です。
{character:player}名誉部員は数に入れてくれないの?
{character:如月蓮}それが通用すると本気で思ってます?加えて、一年生が入部していないといけないという規則もあるのですが。
{character:player}ああ、それなら大丈夫。もうすぐ来るはずだから。
{character:嵐星}お師匠、申し訳ない。野暮用にて遅れてしまったでござる。
噂をすれば影、これで昨晩連絡した全員が集まってくれた。
{character:player}嵐星はまだ一年生だ。これでもう文句はないよね?
{character:如月蓮}……学校側から各部活に支給される部費には限りがあります。真面目に活動しない部活を容認することは出来ません。二之宮さん、ここにいる生徒達が真面目に部活動に参加する保証は?
{character:二之宮花}副会長、あの、すみませんでした。本当は、園芸部の活動を再開してすぐ勧誘すべきだったのに、ここまで延ばしてしまって。私と園芸部のことを気にかけてくれているからこそ、新入部員の勧誘をしろと言ってくれたんですよね、本当にありがとうございます。
{character:二之宮花}奈々ちゃんもエリサさんも、園芸に関しては初心者です。でも、二人とも私の友達です。私達は「問題児」として、何度も一緒に罰ゲームの奉仕活動をしたことがあります。なので、少なくとも気が合う、合わないという点については心配ないと思うんです。植物に関する知識は、私が責任もってしっかりみんなに教えますから。
{character:如月蓮}今ある交友関係を維持したいなら、それもまた君の自由です。ですが、自分が卒業した後の園芸部をどうすべきか、考えたことはありますか?
{character:二之宮花}副会長のご心配はもっともです。でも、今はまだ心の準備が出来てなくて……中途半端な気持ちのまま後輩と接しても、まともな部長にはなれないと思うんです。
{character:二之宮花}だから、もう少し時間をください。一生懸命準備して、次の学期こそ園芸部の新入部員を勧誘しますから!
{character:如月蓮}……今の言葉を忘れないでください。今学期は、園芸部の活動状況をしっかり見せていただきますよ。
{character:player}ふぅ……これで一件落着だ。
園芸部の新入部員勧誘は、これで一旦保留となり、白石さんたちも予定があるようで、私たちに別れを告げて帰っていった。時間も遅くなっていたので、私と花ちゃんは園芸部のプランター用の土を作ったり、植物に水をあげたりすることにした。
{character:player}名前を貸しているだけとは言え、入部したからには花ちゃんも手加減無用だよ。みんなにもちゃんと仕事をしてもらわないとね。如月くんがいつ視察に来るかもわからないし。
{character:二之宮花}あなたこそ、お礼として奈々ちゃんたち全員に一週間ミルクティーを奢る約束、忘れないでくださいね。
{character:player}ミルクティーを奢るんだし、なおさら働いてもらわないとだね!
二人だけだと、簡単な作業だけでも忙しくて大変だ。
しかし微笑む花ちゃんを見ていると、こういう二人だけの時間がもう少し長く続いてもいいな、と思わずにはいられない……
{character:player}考えすぎかもしれないけど、……花ちゃん、もしかして、新入部員なんか入れたくないと思ってない?
{character:二之宮花}えっ……なんで……どうしてわかったんですか?
{character:player}この前手を洗って荷物を取りに戻ったとき、花ちゃんが「私一人でも良かったのに……」って言ってるのを聞いたんだ。だからそうかなって。その様子だと、本当にそう思ってるみたいだね。
{character:player}花ちゃん、新入部員と上手く付き合っていけるか心配?
学校であれ職場であれ、新しい人間関係を築くのが簡単な人間はほとんどいない。彼女は部長として自分と誰かのみならず、部内全体の雰囲気にも気を配らなければならない。花ちゃんにとっては負担になるはずだ。
{character:二之宮花}はい。ずっと一人で園芸部の作業をしてきて、植物の手入れが大変なことはよくわかっています。だから心配なんです、後輩に口うるさい奴だと思われるんじゃないかって。ちゃんとした部長になれるかも不安で……しっかり後輩達をまとめて、問題なく園芸部の活動をしていけるとはっきり思えなくて。
{character:二之宮花}でも、こういう悩みも新入部員が入部してくれればの話です。もしかしたら、勧誘日に私の存在に気付ける人は誰一人いないかもしれません。そうなったら気まずいですし……
{character:二之宮花}今後あなたが来てくれなくなったら、私、どうすればいいか……
花ちゃんは壁に背を預けながらずりずりと座り込み、両手で膝を抱えた。ちょっと悲しそうな眼差しでこちらを見ている。なぜこんなことを言い出したのだろう。それにこの態度……全く花ちゃんの気持ちが読めない。
{character:player}どうして「来なくなったら」なんて言うの?
{character:二之宮花}あなたがこんなに積極的に手伝ってくれるのは、新入部員を入部させるためですよね?そうすれば私の負担が減るから……これが優しさからくる行動だってこというのもよくわかっているつもりです……
{character:二之宮花}けど、あなたは園芸部の手伝いを面倒だと感じているのではないかとも思ってしまうんです。だから、ここまで熱心に部員を集めようとしてるのかなって……
{character:player}そんな、考えすぎだよ。花ちゃんが呼んでくれればすぐに手伝いに来るからさ。
{character:二之宮花}考えすぎだってわかってますけど!……園芸部に新入部員が入ったら、こうやって二人きりで過ごす機会も減りますよね。
{character:二之宮花}一人で植物の手入れをするのは確かに大変です。でも、こうして休日にあなたと一緒に作業出来るなら、たとえ大変でも嬉しいんです。ここには二人だけの思い出がたくさんあるから……だから、すごく嬉しいんです……
そうだ、ここには花ちゃんとの思い出がたくさんある。忙しく作業したことも、楽しく過ごしたたことも、時に言い争いになったこともあった。あの時言い争いをしたからこそ、もっと距離を縮めることが出来たんだ。
{character:player}花ちゃんと植物のお世話をするのはすごく楽しいよ。それに、花ちゃんが植物のためにどれほど努力してるのか、誰よりも知ってる。だからこそ、今のままじゃもったいないって思うんだ。
{character:二之宮花}もったいない、ですか?
{character:player}より多くのまだ見ぬ後輩達に、「二之宮花」という先輩がいたことを知ってもらいたい。園芸部を再建して、たった一人でこれだけの植物をここまで美しく成長させたんだって。
美しい花は藪に埋もれていてはいけない。花ちゃんのような素晴らしい女の子は、もっと色んな人にその存在を知ってもらう価値を持っているんだ。
{character:player}約束するよ。園芸部に新入部員が入っても、暇を見つけて手伝いに来る。長期休暇中は新入部員に休んでもらって、またこうして二人で作業する日を作ろう。
{character:player}大丈夫だよ、花ちゃん。二人だけの時間はこれからもたくさん過ごせる。
{character:二之宮花}……絶対に約束ですよ。
{character:player}うん!約束する!
この約束で、花ちゃんが前に進む勇気を持ってくれたら嬉しいし、これをきっかけに無事に再出発出来れば良いと思う。
時間は瞬く間に過ぎていった。夏休みもあっという間に終わり、新学期が始まって一週間を過ぎようとしていた。
勧誘がどうなったか聞こうと思い、金曜日の放課後、白石さんと花ちゃんをレストランに呼び出した。
{character:白石奈々}後輩クンのアイデア、すっごく良かったよ!ワンピースを着た花ちゃんの写真を勧誘ポスターに使うなんて、評判も上々!
{character:二之宮花}はぁ……良すぎると言った方が良いかもしれません。一番最初に来た男子は、ポスターの女子にしか関心が無かったですし……
{character:白石奈々}あいつホント腹立つよね~。目の前に本人が座ってるっていうのに、あいつの目は節穴なの!?
{character:二之宮花}{var:player_nickname}さんが頼んだお店が悪いんですよ、きっと。写真を加工しまくったから……
{character:player}そんな、違うよ。お店には写真を拡大コピーしてとしか頼んでないよ。
まあ、ワンピースを着た花ちゃんは本当にすごく綺麗だ。特にこの満面の笑みを浮かべている女子は、いつもの花ちゃんとはまるで別人だ。
今度雀卓を囲んだ時も、こんな穏やかな笑顔を見せてほしいな。
{character:player}それで?結果はどうだったの?部員入ってきた?
{character:二之宮花}園芸部に興味があるという下級生の女の子が三人入ってくれました。これで部活動を行うために必要な最小人数の条件もクリアです。
{character:player}新入部員とは上手くいってる?
{character:白石奈々}そのことだけどね……フフ~ン、花ちゃんって、すごく部長の風格があるんだよ。初日で泣いちゃった後輩ちゃんもいるんだって。
{character:二之宮花}違いますよ!ただ、やり方を間違えてたから、少し口調がきつくなってしまっただけで……でも、ちゃんと謝りましたよ。これからはもっと気を付けます。
{character:player}まあ、花ちゃんも新人部長なんだし、今の立場に慣れるのにも時間かかるよね。頑張って、二之宮部長!
{character:二之宮花}あの、{var:player_nickname}さん、明日の午後、部活に顔を出せますか?
{character:player}いいけど、なんで?新学期初めって、そんなにやることがたくさんあるの?
{character:二之宮花}そうではないんですけど、後輩たちにあなたを紹介したくて。えっと、あなたは園芸部の名誉部員ですから。私以外だと一番頼れる部員ということになるので、私がいないときはあなたにお願いすることもあると思うんです。
{character:player}わぁ……きちんと紹介されるなんて、なんだか緊張しちゃうな。
でも、部長命令なら、園芸部の名誉部員として断る理由なんてないよね。