エイン
体に他の動物の特徴が表れている古き種族の末裔。16才の時、彼は一族の掟と父親の言い付けに従って「狩場」を探す旅に出た。辿り着いた遠い東の国で麻雀に触れた瞬間、この地こそが彼の「狩場」であると野生の本能で確信した。
Profile
Skins
エインの初期衣装
エインと契約を結んだ時に入手できる着せ替え衣装
「雀魂夏祭り・一姫当千」にて購入できる水着テーマの着せ替え衣装
「謎ガチャVer.ハロウィン」にて購入できるハロウィンテーマの着せ替え衣装
「雪玉ファイター!」にて購入できる、新年テーマの着せ替え衣装。
Emotes
Bond Requirements
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プレゼント・普通
おお!サンキューな!でもやっぱ肉のほうがいいな…
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プレゼント・好み
はぁ…満足満足!ごちそうさま!お礼にほら、このネックレス持っていきな。その牙?へへっ、俺の歯だぜ
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絆レベルアップ5
たぶん…いや、やっとか。俺もやっと本当にほしい獲物を見つけた…
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絆レベルアップ1
最近バイトで色々お世話になってることだしよ、今日だけは奢らせてくれ。ほらいくぞ!
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絆レベルアップ2
俺はいつか、オヤジに認めてもらえるような獲物を持って帰ってやるって誓ったんだ。いつか、絶対にな!
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絆レベルアップ3
この東の国に来ても、さとの匂いは一度も忘れたことなんてない。夜に目を閉じれば…鼻がききすぎるのもいいこと尽くしってわけにはいかねーな。
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絆レベルアップ4
最近思うんだ、オヤジに認めてもらえなくてもいいやって。なんつーか、自分だけの狩場を探すのをあきらめたんじゃなくて、むしろ自分の狩場なんだから、オヤジが何を言おうと別によくね?ってさ。
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隐藏语音 - 新年
あけおめ!俺のさとの習わしだと、元日の昼間は必ず芝生で日向ぼっこすんだ。一緒にやらない?
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隐藏语音 - 情人节
ありがとな!でもさ、「ばれんたいん」っていったいなんなんだ?なんでみんなチョコをくれるんだ?バイトの同僚からは「お返し用意してね」とまで言われたし…お前ら東の人って本当に変わってんな。
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メイン1
ふぇん?やけにミミが気になってるみたいだな、ほら触ってみ?
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メイン2
やっべ…バイトのシフトが被っちまった。困ったな…なぁ、代わってもらえたり…する?…ぷっはははっ!いやいや、冗談だけどな!
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メイン3
ぁはーーーくしゅん!!ぬぁー…この国はいいもんばっかだけど、俺ら一族の鼻に優しくない空気だけは…
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メイン4
狩りの決め手か…勘、かな。手を出すタイミングを見極められる直感だけ持ってればって感じだな
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メイン5
調子悪い日はやっぱ来るんじゃなかったぜ。狩りするどころか、明日の飯代まで取られちまった…くそぉ…
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メイン6
安心しな、「狩場」で存分に走りまわるといい。どこまでも俺がついてってやるから。
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メイン7
しっぽも触ってみ?ほら、触り心地悪くねーだろ?
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メイン8
はぁー...んむぅ、わりい。今日はさすがに疲れた...ちょっと肩かしてもらうz...
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ログイン・普通
おはよう!バイト上がったら一緒に「狩場」に行かねーか?
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ログイン・絆LvMAX
急げ急げ!今日は「大物」が掛かる予感しかしねーんだ!ぜっったい逃さねー!
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契約を結ぶ
とうとうきちまったな、堂々とこの服を着れる日が。これが成人ってやつか、意外と悪くねーもんだな。
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SP-友人戦部屋に入場する時
よお、今日はここが「狩場」? へぇ…ふふん、お前らが今日の獲物だな
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SP-友人戦部屋で準備した時
さぁさぁ頑張って逃げな…さもないと逃げきれねーぞ
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出会い
お、君が新たな雇用主か?エインって呼んでくれ。えぇ?人違い?わりぃ…いやでも待ち合わせは確かにここなんだけどな…?
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北抜き
ペー!
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チー
チー
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ダブル立直
W(ダブル)リーチ
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カン
カン
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ポン
ポン
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立直
リーチ
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ロン
ロン!
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ツモ
ツモ、どうだ!
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白
ハク
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北
ペー
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純全帯幺九
ジュンチャン
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純正九蓮宝燈
チューレン九(きゅう)メン待ち
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大三元
ダイサンゲン
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大四喜
大スーシー
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地和
チーホー
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ダブル立直
ダブリー
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東
トン
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ドラ
ドラ
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ドラ10
ドラ10(じゅう)
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ドラ11
ドラ11(じゅういち)
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ドラ12
ドラ12(じゅうに)
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ドラ13以上
ドラたくさん
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ドラ2
ドラ2(に)
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ドラ3
ドラ3(さん)
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ドラ4
ドラ4(よん)
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ドラ5
ドラ5(ご)
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ドラ6
ドラ6(ろく)
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ドラ7
ドラ7(なな)
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ドラ8
ドラ8(はち)
-
ドラ9
ドラ9(きゅう)
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ダブル北
ダブペー
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ダブル東
ダブトン
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ダブル南
ダブナン
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ダブル西
ダブシャー
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断幺九
タンヤオ
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対々和
トイトイ
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二盃口
リャンペーコー
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発
ハツ
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国士無双十三面待ち
コクシ十三メン待ち
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国士無双
コクシムソウ
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海底摸月
ハイテイ
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河底撈魚
ホウテイ
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混老頭
ホンロートー
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混全帯幺九
チャンタ
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混一色
ホンイツ
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九蓮宝燈
チューレンポートー
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嶺上開花
リンシャン
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立直
リーチ
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流し満貫
流しマンガン
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緑一色
リューイーソー
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南
ナン
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平和
ピンフ
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槍槓
チャンカン
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七対子
チートイ
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清老頭
チンロートー
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清一色
チンイツ
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三暗刻
サンアンコー
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三槓子
サンカンツ
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三色同刻
三色(さんしょく)ドーコー
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三色同順
三色(さんしょく)ドウジュン
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四暗刻
スーアンコウ
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四暗刻単騎
スーアンコウ、タンキ
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四槓子
スーカンツ
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天和
テンホー
-
西
シャー
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小三元
ショーサンゲン
-
小四喜
小スーシー
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一盃口
イーペーコー
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一発
イッパツ
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一気通貫
イッツー
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中
チュン
-
ツモ
ツモ
-
字一色
ツーイーソー
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清算一位
狩人っつーのは、狙った獲物は絶対に手放せないもんでな
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清算一位・高い点数で勝利
っしゃ!大当たりだ!
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清算一位・ロンで勝利
一発必中!
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倍満
倍満(バイマン)
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九種九牌
九種九牌…
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数え役満
数え役満(カゾエヤクマン)
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満貫
満貫(マンガン)
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ノーテン
ノーテン…
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三倍満
三倍満(サンバイマン)
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四風連打
四風連打…
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四槓散了
スーカン流れ…
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四家立直
四家立直
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跳満
跳満(ハネマン)
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聴牌
聴牌
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役満
ヤクマン
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ダブル役満
ダブルヤクマン
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トリプル役満
トリプルヤクマン
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四倍役満
四倍(よんばい)ヤクマン
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五倍役満
五倍(ごばい)ヤクマン
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六倍役満
六倍(ろくばい)ヤクマン
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SP - ドラを捨てた時
トラップ・スタンバイ~。
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SP - 倍満/三倍満聴牌
この罠にかかったら、かすり傷じゃすまないぜ
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SP - 同じ牌を連続に捨てた時
げっ、またかよ
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SP - 残り牌が10枚以下の時
最後の最後まで気を抜くんじゃねーぞ
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対局開始
狩りの始まりだ。「狩場」でひとっ走りしてくぞ!
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SP - 役満聴牌
おお!こいつはいい!あとは獲物が掛かるのを待つだけだぜ!
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帯幺九
帯幺九(タイヤオチュウ)
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根
根(ルート)
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将対
将対(ジャントイ)
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金勾釣
金勾釣(キンコウテャオ)
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嶺上放銃
嶺上放銃(リンシャンホウジュウ)
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龍七対
龍七対(ロンチートイ)
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清対
清対(チントイ)
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清金勾釣
清金勾釣(チンキンコウテャオ)
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清龍七対
清龍七対(チンロンチートイ)
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清七対
清七対(チンチートイ)
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清十八羅漢
清十八羅漢(チンジュウハチラカン)
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清幺九
清幺九(チンヤオチュウ)
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十八羅漢
十八羅漢(ジュウハチラカン)
Spot Voices
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Spot Voice 1
惊讶
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Spot Voice 2
肯定
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Spot Voice 3
否定
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Spot Voice 4
打招呼-早晨
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Spot Voice 5
打招呼-白天
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Spot Voice 6
打招呼-夜晚
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Spot Voice 7
告别
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Spot Voice 8
承接
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Spot Voice 9
叹气
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Spot Voice 10
高兴
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Spot Voice 11
生气
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Spot Voice 12
递进
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Spot Voice 13
转折
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Spot Voice 14
疑惑
兄貴
絆LV1で開放
「お、オレサマはみとめねーぞ、このクソギツネ! 落とし穴なんかほりやがって、タダじゃおかねェからな……!!」 よじ登りチャレンジに失敗すること数回、深い穴に落ちたゼクスは、十歳ばかりの自分では身長が足りないという問題を直視せざるを得なくなった。そこで、苦肉の策として、相手に罵声を浴びせることにした。 わめき声の矛先である対決相手のエインは、穴の傍にしゃがみ込んでゼクスを見下ろした。並外れた視力のおかげで、その不服そうな表情がバッチリ見える。彼は思わず密かにため息をついた。 部族長の長男として、エインは常に部族内の年下の子達の面倒を見るよう言いつけられていた。それが、彼の兄貴分としての責務だった。 とはいえ、エイン自身も子供だったので、世話の仕方などさっぱりわからない。母親の見よう見まねで、何か悪いことをした時はまず言ってきかせるようにした。 冷たいものばかり飲むな、走り回るな、誰かが嫌がることはするな……なかなか上手くやれている、とエイン自身は思っていた。だからこそ、弟のように思っていたゼクスに真正面から「ウゼェ」と憎々しげに言われた時は、穏やかなエインでもさすがにピキっときた。 「言っても無駄な相手には、拳でわからせるのよ~」エインは、母親が言っていた育児の鉄則を思い出し、あるアイデアを閃いた。 相手は子供達の中では名の知れた「チビ魔王」だ。喧嘩は負け知らず、口喧嘩でも結局手が出る……この弟分は、力だけではきっと屈服させられないだろう。 そんな訳で、最初の場面に至ったのである。 ゼクスは、研ぎたての剣を抜き、エインめがけて一直線に向かって行った。すると、流れるようにエインがあらかじめ掘っておいた落とし穴にはまった。 エイン特製落とし穴は見事な凹字型で、ゼクスのような子供ではそう易々と登れないほど深く、足がかりになり得る石や雑草は、前もって完璧に取り除いてあった。ダメ押しとして、辛うじて足がかりに出来そうな斜面にもピーナッツオイルを少々塗ってある周到さだ。 エインは麻縄をちらつかせ、「そっちの負けだ、おれのことは兄貴って呼ぶんだな」と言った。 「クソ……!」ゼクスはすぐさま毛を逆立て、「オレサマは負けちゃいねー! ここをのぼったら、テメェのシッポの毛を全部そってやるからな!」 そんな状況で言われても、エインからすれば全く恐くない。彼は素直に頷き、「ここはおれたちの家からだいぶはなれてるからな、いつもだれも来ないんだ。だから、おまえがどんなにさけんでも助けは来ないぞ」と優しく忠告してあげた。 「……! このしょうわるギツネ、もしかしてわざとやりやがったのか!?」 エインは、ゼクスの怒号にキーンとする耳を押さえながら、「そんなの当たり前だろ?」と返した。「でなきゃわざわざこんなとこで待ち合わせしないだろ。ヘンだなとか、あやしいなとか、全く思わなかったのか?」 いけしゃあしゃあとしたエインの口ぶりに、ゼクスは更に怒りのボルテージを上げ、「バカにしようったってそうはいかねェぞ。ここで朝まですごしてうえじにしたとしても、ぜってーアニキなんて呼ばねェ!」と言った。 バサバサ―― エインの尻尾が動き、落とし穴周辺の土ぼこりや枯れ葉を穴の中へ落としてやると、ただでさえ劣勢気味だったゼクスの状況は、みるみるうちに悪化した。 エインが空を見上げると、すでに夕焼けが空の半分ほどを赤く染めている。 「もうじき夜になるな……」 「おどしのつもりか? ムダだ! オレサマは夜なんてこわくねェからな!」 エインはゼクスのわめき声を華麗にスルーし、クンクンと鼻を鳴らした。「これだけ空気がしめってると、夜には雨になりそうだ……」 ゼクスはやや湿った自分の鼻先を触ったきり、珍しく反論しなかった。部族の者の大半は、毛が雨に濡れるのを好まない。ゼクスも例外ではなかった。 沈黙すること一分……二分……五分……十分…… 座っているのにも飽きてきたエインが立ち上がり、凝り固まった肩や首をほぐしていると、ようやくゼクスのか細い声が聞こえてきた。 「あ、あにき……」 「ん? なんて?」 「アニキって呼んだんだよ! さっさとここから出せ!」 「ダメだ」エインは首を横に振った。「昨日の先生のお話をわすれたのか? だれかにものをたのむ時は『おねがいします』って言うんだぞ」 「……アニキ、おねがいします……ここから、出して、ください!」 空に湧き上がった暗雲を見て、ゼクスは即座に決断した。言い終わるが早いか、エインは麻縄を穴の中へ投げて寄越した。 これ以上ないほどしっかりと固定された縄と、それを掴んでよじ登ろうとしているゼクスを見て、これなら落とし穴から無事に出てこられるだろうと判断した。それから、わざわざここに留まってこの武術バカと勝負を続ける気はさらさらないし、とっとと先に帰ってしまおう、と思った。 立ち去りかけてふと思いつき、穴のそばに書き置きを残すことにした。「あっちの木のウロの中にカサがあるぞ。あと、ナワはおまえんちからかりたものだから、持ってかえってきてくれ」 俺ってば、ほんっと優しい兄貴だよな。 間もなく聞こえてきたゼクスの遠吠えは、きっと感激の叫びに違いない。
狐
絆LV2で開放
狐という単語を聞いた時、あなたはどんな言葉を連想するだろうか。 「魅了」「妖艶」、あるいは「狡猾」「陰険」「疑り深い」…… 大体の人は、まずこういった言葉を思い浮かべるだろう。国語辞典でも、「決まった住処を持たない、狭量」といった説明がなされている。 エインは今まで、このような世間一般のイメージを一笑に付してきた。族長の息子として生まれ、やがては部族の長となる者として扱われてきた彼は、誰もが認める明るく朗らかな性格の持ち主で、優しく心配りの出来る好青年だった。だから、狐という属性によって偏見の目で見られたことは一度もなかった。 しかし、部族のもとを離れ、自分の「狩り場」を探し求める旅に出た彼は、外の世界の洗礼を受けることとなった。 「危険だ」「近付かない方がいい」「きっと何か悪いことをしでかすはず」……何も悪いことはしていないのに、ただにこやかに道を尋ねただけで、このような声が常にエインにつきまとった。 狐は腹立たしく思ったが、他人の考え方はそう簡単には変えられないこともわかっていた。だから、最初は不満に思った周囲の人々の警戒の眼差しや後ずさりする姿も、だんだんと冷静に受け止められるようになっていった。 ある日、エインはコンビニで、「すみません、地下鉄の駅にはどうやって行けばいいですか?」と根気強く何度も尋ねていた。余計な憶測を生まないように、両手を胸のあたりに出し、あらゆる行動が相手の目に入るようにした。 この狐は嫌なことをしてこないらしいとわかると、ようやく勇気ある店員が質問に答えようとした。 しかし、とてもハプニングが起きそうにない時ほど、何かが起こるものだ。耳をつんざくような叫び声が、コンビニのまったりとしたひとときを壊した。青年が自分の鞄の中を慌ただしく漁り、「財布が!俺の財布がない……!」と叫んでいだ。 間もなく、コンビニにいた全員の視線がエインに集まった。彼らは化け物でも見るかのような目で彼を見つめており、中にはスマホを取り出して、通報しようとしている客までいた。 この「狐」は今店に入ってきたばかりで、他の客とは誰とも接触していないと、皆がわかっていたのに、である。 いくら好青年と言えど、いわれのない言いがかりをつけられるのはさすがに気分が良くない。エインは眉をしかめて、「俺じゃない」と弁明した。 「んなこと言ったって……」財布を失くした青年は息巻いて振り返った。「あんたは狐なんだから、どんな技を使ったかわかったもんじゃないだろう! 身体検査でもしてやろうか!?」 「そうだそうだ、お前の潔白を証明するにはそれが一番いい」 「盗んでないのなら、後ろめたいことなんてないわよね?」 「疑わない方が不自然だ、この町でも過去に狐による窃盗事件があったんだからな。恨むならその狐を恨むんだな……」 その場にいた人々は、まるでエインが青年の提案を受け入ようとしないこと自体が大変な重罪であるかのように、口々に言い合った。 エインは手をぎゅっと握り込んでから開き、何度か深呼吸を繰り返した。そして、疑いや軽蔑のこもった眼差しを受けながら、こう言った。「いいぜ。けど、この場にいる全員に盗んだ可能性があるなら、全員が同じように身体検査を受けるべきだ。違うか?」 ……………… 空気が一気に凍りついた。人々は、身体検査をしろという要求がどれだけいき過ぎたことだったのか気付いたらしく、次々と反対する立場につき始めた。 事態は膠着状態に陥った。しばらくの間、店内には、財布を失くした青年の荒い息遣いだけが響いていた。 少し経って、一人の観察力に優れた客が、棚の下に財布が落ちているのを見つけた。散らばった紙幣や擦れた痕は、持ち主がうっかり落としただけだということを物語っていた。 エインを取り囲んでいた人々は静かに去っていき、店員は先ほどの緊迫した空気などなかったかのように平静を装った。 しかし今回ばかりは、エインも軽く受け流す気になれなかった。 彼は、コンビニを出ようとする青年を呼び止め、「謝れ」と告げた。 「は?」 「俺に謝れよ。一方的に疑われたことも、身体検査しろと言われたことも、俺からしたら失礼だ」 青年は反論した。「それはあんたが狐だから……」 「見た目で決めつけちゃいけない」エインは一切引き下がらなかった。「狐も人間も、いいやつと悪いやつがいるんだ。小学校で教わらなかったのか?」 ぐうの音も出なくなった青年は顔を真っ赤にしたが、頑なに謝ろうとしない。そうこうしているうちに、それまで黙っていたコンビニの店員が、エインに話しかけた。「あの、地下鉄の駅に行きたいんですよね? それなら……」 「いや」エインは失望し、首を横に振った。「やっぱり高速鉄道の駅までの道を教えてください。次の町に行く時が来たみたいなので」 その時エインは、昨日テレビで「一飜市」という遥か東の謎多き町のCMが流れていたことを思い出した。 決めた、次の目的地はそこにしよう。「何でもある」と謳われている町だ、失望させられなければいいが。
自分の狩り場
絆LV3で開放
エインが狩り場を探す旅に出てふた月ほど経った頃、彼はこの希望溢れる町「一飜市」にやって来た。生活費は少し高くつくが、日雇いバイトにもなかなかいい給料を出してくれる雇い主ばかりなので、裕福とはいえないものの、楽しい生活を送っていた。 しかも、この町はカルチャーショックに満ち溢れている。高層ビルが林立し、盛んに車が行き交う光景は、部族の集落では見たこともなかった。彼は日々町中を駆け回り、どうすればうちの部族もこういう便利な暮らしが出来るようになるか考えた。 もちろん、一飜市のどこかにあるはずの、エインだけの「狩り場」探しも忘れてはいなかった。 この日、荷物運びのバイトを終えた彼は、最も気前のいい雇い主である猫と犬、そして自称神のウサギと四人で、麻雀なるゲームをすることになった。 一飜市では、老若男女問わず、全ての市民がこのゲームに夢中になっていた。市内で最も人気な店といえば、長年麻雀会館が不動の一位を占めているほどだ。このような環境なので、滞在し始めて日が浅いエインも、麻雀のルールはある程度理解していた。 かつて、エインも麻雀に挑戦しようと思い、道場の入口まで行ったことがあったのだが、金欠ゆえに場代に怯んでしまい、外から卓を眺めるだけで終わってしまった。なので、実際に麻雀を打つのはこれが初めてだ。 「肩の力を抜け、わからないことは俺に聞けばいいワン」 「完璧に出来ずともよい。どうせちんちくりんの負けじゃろうしのう」 「バカウサギ、大口ばかり叩いてないで、早く座るにゃ。今日も一姫はトップ狙い一択なのにゃ!」 雇い主たちは三者三様の性格をしていて、わいわいと騒いでいるうちにエインも馴染むことが出来た。ジャラジャラという牌を混ぜる音が加わると、対局室はますます賑やかになった。 窓越しの陽の光がエインを照らし、心地よい風が毛を撫でる。雀士の点数争いと、狩人達の獲物の奪い合いはよく似ている。牌がぶつかる時の軽やかな音は、獲物が罠にかかった時の小気味良い音を彷彿とさせ、あの自由に駆け回っていた狩り場に戻ったみたいだ、とエインはいい気分になった。 獲物と向き合う時は慎重に、辛抱強く。卓上でも同じだ。 「ポン」 目指すべき最終形を見極めると、エインは躊躇わず声を出し、八萬を三枚、雀卓の隅に置いた。続けて二回ポンし、四枚目の八萬を加カンした。 八萬をカンし、九萬での放銃を誘っても、対々狙いがバレている状況では有効に働くとは限らない。しかし……エインは目を伏せた。他の三人はエインが初心者だということで油断しているかもしれない。エインは「狩人」のセオリーに従って、あえて弱点を晒すことに決めた。 狙い通り、エインの大胆な仕掛けに三人は目を奪われた。対面の猫耳の巫女は、少考の結果、彼女が最も嫌う幺九牌であり、一見安全そうにも見える牌……つまり九萬を切り出した。この牌がエインの「獲物」で、2600点を支払う羽目になるとは、彼女自身全く予想していなかった。 他家がロンした満貫や跳満に比べたら、対々のみ2600点など安いものだ。放銃した一姫は気前よく点棒を支払った。ことの深刻さには一切気付かないまま…… 狩りの経験者なら誰でも知っている常識だが、致命傷を食らわせる以外にも、獲物を仕留めるやり方はある。相手をじわじわと削り、無力化させることこそ、最も優れた狩りの方法だ。 1000、2000、1500……エインの打点は高くはなかったが、立て続けに「トラップ」を仕掛け、獲物を仕留めていった。これにより、相手を疲弊させ、防戦に追い込んだ。 狩りの空気は否応無くエインを惹きつけた。彼は知らず知らずのうちに、この小さな雀卓を鋭く睨み、力を蓄えながら絶好の機会を逃すまいと構えるようになっていた。 「ロン、大三元、役満! ちんちくりんよ、わらわに追い付くのはもう無理じゃな~?」 どんなに優秀な狩人でも、想定外の事態に直面するものだ。とどめを刺すまであと3000点という時になって、上家のウサギが一位を奪い取った。 いい狩人はわだかまりを残さず、失敗を糧にする。エインは対局の内容をじっくりと振り返った。狩りの空気が緩み始めた頃になって、ようやく雇い主達のジッと見つめる視線に気づいた。 エインは黙り込んだ。久しぶりの「狩り」に、すっかり有頂天になっていた。いやらしい罠ばかり使う奴だ、と敬遠されても仕方ない……。 と思っていたのだが、今回は優れた狩人の判断の方が間違っていたらしい。 ふわふわの犬の手がエインの固く握り込まれた拳に乗せられた。いつも偉そうにしているこの雇い主が、目を輝かせて「まさか初心者のお前がここまでやるとは思わなかったワン。カンで引っかけるとは、なかなかだワン」と言うなんて。 「えっ……!?」 隣のウサ耳少女もだるそうに頷き、「汝は確かに優秀な雀士じゃ、認めざるを得ん。わらわに勝つにはまだまだじゃがな」と言った。 単純な性格の猫耳の巫女は、「すっごいにゃ」と言いながら飛び跳ねた。「一姫もやり方知りたいにゃ。教えてほしいにゃ!」 予想だにしない反応に、「狩人」は呆然とした。エインはおずおずと口を開き、「みんな……俺のやり方、陰険だとか、狡猾だとか、あくどいとか思わないのか?」と聞いた。 「何言ってんだワン!」大きな犬の顔がエインへずいと近づいた。「個人のスキルがものを言うのが麻雀だ、全力でかかって来ればいいんだワン。ほれ、時間がもったいないぞ、空がまだ明るいうちにもう一局やるワン」 ごく当たり前のことのように返ってきたワン次郎の言葉に、長年抱えていた苦悩が解けていった。能ある狩人は、自らの鋭い爪を隠すことをやめて、思いきり新しい「狩り」に身を投じた。 「いいぜ、じゃあもう一局だ」 積み上がった麻雀牌を見て、エインは笑い出した。 どうやらここが、俺の「自分だけの狩り場」らしい。「狩り」に励み、ゆくゆくは狩り場の「王」となって、オヤジに認めてもらうんだ……!
不運を払う
絆LV4で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 294, Choices 3, Endings 3
爽やかな風が吹き抜ける。まるで雲霞のごとく枝先にほころぶ桜の花が春のやわらぎを感じさせ、地面にピンク色のカーディガンを羽織らせていた。
お菓子の袋を片手に町を歩けば、全てが静謐な美しさに満ちており、なんとも幻想的だ。……そこの隅っこで膝を抱え、ため息をつきまくっている狐さんがいなければ、もっと完璧な光景だっただろう。
エインさん? どうかしたの?
{var:player_nickname}か。ハァ~……ツイてないとこを顔なじみに見られちまった、これで今日の不運伝説がまた一つ増えたぜ。
辺りを見回すと、エインさんの周囲には潰れた紙パックや食べ物が大量に散らばっていて、今しがたここで何か災難が起きたらしいとわかった。
あなたの言う不運伝説って、これのこと?
ハハハ……これだけじゃねえんだ。
今朝は、牛乳配達をしてたらゴミを踏んで滑って、お客さんの顔に牛乳をぶちまけた。その後、店の荷下ろしを手伝ったら、箱が壊れて中の荷物が側溝にドボン。で、さっきはデリバリーに向かってたら、ゼクスより向こう見ずなアラスカン・マラミュートが急に飛び出してきたんだ……途中までは順調だったのに……
あぁ……不運って、本当に期待を裏切らないよね。
昨日占い師の先生が言ってた通り、大人しく家にいるべきだったんだ。たとえ火事が起きようが、天井が落ちようが、ガスボンベが爆発しようが、絶対に家から一歩も出るべきじゃなかった!
それは出かけた方がいいんじゃないかな、家の方が危険な気がするし……
ところで、そんなに当たる「先生」って、誰?
いつも嘘か本当かわかんねーこと言って、鑑定料は言い値ふっかけてきて、入口にはいつも人が溢れてる、あの……
袁楓さん?
いや、カーヴィさんだよ……でもま、確かにあの二人ってどっか似てるトコあるよな。
あの二人、人を騙し、じゃなくて、人の財布の紐を緩めさせる達人だもんね。
カーヴィさん?
速攻で当てるとは、さっすが一飜市の「人気王」。
あはは、付き合い長いしね。
「先生」が誰なのか見当もつかないんだけど、私にも紹介してくれない? 私の友達が、不ヅキのことで誰かに占って欲しいって言っててさ。
君もしょっちゅう占ってもらってると思うけどな……カーヴィさんだし。
ああ、確かにしょっちゅう占ってもらってるな。いつも「女難の相が出ています」しか言われないから、「よく当たる先生」とは結びつかなかったわ。
エインさんと話していると、突然「ギュルルル……」とヘンテコな音が聞こえてきた。
ん?
あ、いや……
「ギュルルル……」今回ははっきりと、エインさんの体から聞こえてきた。音の出所に目を向けると、エインさんはばつが悪そうに鼻を触った。
……俺です。
お腹空いてるの? とりあえずご飯でも行く?
そうしたいとこだけど……さっき有り金全部弁償に使っちまったから、今は飯より仕事のが優先かな。
エインさんの耳がしゅんと垂れ下がっている。私は「彼を助ける時が来た」と悟った。何しろ私は、一飜市イチのお人よし市民なのだから。
私は自分の財布を撫でた。最近は割と余裕あるし、ここは気前よく何か奢ってあげよう。私はエインさんの肩を叩き、食事に誘った。
ここで会ったのも何かの縁だ。今日のお昼は奢るよ。
おぉ……君って本当にいい人だな。あ、でも、そうなると俺はヒモに見えるよな。オヤジに知れたら絶対ゲンコツ食らう……。
親元離れて暮らしてるんだし、常にお父さんの言いつけを守らなくてもいいんじゃない?
まあそうだけど、にしても悪いよ。何か手伝えることはないか?
今は特に無いかな……まあ、ご飯食べながら考えるよ。
でも……
「ギュルルル……」今度は私のお腹から聞こえてきた。魂天神社でご飯にする予定だったんだけど、こんな所でハプニングに出くわすのは想定外だった。
うう……
おっと……じゃ、とりあえず飯に行こうぜ。近くに超美味いラーメン屋があるんだ。
エインさんの案内で、通り一本挟んだ所にあるラーメン屋にやってきた。こぢんまりとした店構えで、テーブルや椅子はどこか懐かしい風合い。店内にはスープの匂いが満ちていて、どこか家庭的な雰囲気のお店だ。
一飜市の、飲食店に対する最上の賛辞って、なんて言うか知ってる?
チョーウマい、とか?
はずれ。「家の味がする」だよ。
へー、じゃあ、最悪な時はなんて言うんだ?
「家で作れるレベルだ」だね。
一飜市の文化は奥が深いなぁ……
などと話しながらも、エインさんは細い通路をすいすいと通っていく。空席を見つけて座ると、メニュースタンドに差さっていたメニューを手渡してきた。
ここには良く来るの?
そこそこかな。迷ったら、看板メニューの豚骨ラーメンにしとけば間違いないぜ。
信じてくれ、「家の味がする」からさ。
じゃあ……看板メニューのラーメン、二つで。
お、今回は友達も一緒か。ナイスだ、ぼっちの兄ちゃん。今日は味玉おまけしてやるよ。
声につられて顔を上げると、似合っているとは言い難いクマちゃん柄エプロンを着けた屈強な男がすぐそばに立っていた。
サングラスと、腕に入った大きな入れ墨がなかったら、このラーメン屋の店主だとすんなり信じられただろうが……。
サンキュー、大将。
あ、そうだ。今日は別のバイトでだいぶトラブっちまったから、大将のおつかいは明日でいいか?
屈強な男は、無言でただ「OK」とハンドサインし、持ち場に戻っていった。
あの人、本当にラーメン屋のご主人なの?
はは、俺も初めて入った時、今の{var:player_nickname}と同じことを思ったぜ。
確かに大将は昔ワルだったけど、今は正真正銘ラーメン屋の大将なんだ。
料理もあの人が作ってるの?
当たり前だろ。この店を甘く見ない方がいいぜ、なんたってここは大将の狩り場だからな。{var:player_nickname}の狩り場が麻雀会館なのと同じさ。
自分の狩り場でしくじる狩人はいない、だろ?
それは言い過ぎだよ、私も自分の狩り場で32000打ったりするしさ。
ハハッ、それは君なりの敵を誘い込む罠なんだろ? 俺達狩人の間じゃ、「能ある狩人は時に獲物の姿をしている」なんて言ったりするぜ。
君はきっと、そういう勇気と策を兼ね備えてる人なんだ。
……まったく、泣かせてくれるな~。
はいよ! ご注文の看板メニュー、豚骨ラーメン二つ! ごゆっくり。
迫力ある大将の声と共に、大きなどんぶりが現れた。乳白色のスープに太さの揃った細麺、上には刻みネギが散らされている。なんとも食欲をそそる香りだ。
特に、どんぶりの縁に沿ってぐるりと敷きつめられた大ぶりのチャーシューは、絶妙な厚みでジューシーだ。これほどの量のチャーシューが入っているお店は一飜市中を探しても他にないだろう。このラーメンのおかげで、一瞬で店主まで愛想良く見えるようになった。
ふー、ふー……ぅあっち!
……ふぅ、忙しい一日の終わりに大将のラーメンを食う、人生で一番幸せな時間だよマジで。
幸せのハードルが低いねぇ、君も。
他にも安くて美味い店を知ってんだ。今度は俺が奢るよ。
エインさんは一飜市に詳しいんだね。
おう、好きな街だからな。
どうして?
懐が深くて公平だからだよ。頑張って働く奴を出身や容姿で差別したりしないし。
それに、ここにはでかい狩り場がたくさんあって、どの狩人も、思い切り駆け回って、それぞれの才能を発揮してる。
俺、部族の人たちにここを見せたいよ。ここの狩り場は決まった考えに縛られないし、狩人も侮れない奴らがわんさかいるからさ。
毎日ここで暮らしてるから特にそんな風には思ってなかったけど、君にそう言われると、「一飜市の善良な市民」の一人として熱くなってきちゃうな~!
熱く……どわーっ! 熱いのはスープをこぼしてるからだ、{var:player_nickname}ー!{var:Shake}
大将、なんか拭くもんくれー!
へ? うわああああ~~~!!!
散々慌てふためいてようやく服にこぼしたスープをほぼ拭き取ると、愛想のいい店主がスープのサービスをしてくれた。
食事する時は胸を熱くする話を聞くもんじゃないな。テンションが上がると、いよいよスープをこぼしやすくなる……。
ハプニングには見舞われたものの、やっぱり美味しいものを食べると気分も明るくなる。
ふ~、食った食った。今日は{var:player_nickname}に助けられたな。
大したことはしてないよ、私達仲良しなんだしさ。苦楽を共にしてこそ、真の友達でしょ?
そうだな、辛いことも楽しいことも分かちあってこそ真の友達だ。
そうだ、俺に手伝ってほしいこと、思いついたか?
うーん……やっぱり思いつかないや。
はは、だと思った。こいつを準備しといてよかったぜ。
エインさんはポケットから一枚のカードを取り出し、私に手渡した。先ほどのラーメン屋で、ずいぶん時間をかけて何か書いているなと思っていたのだが、どうやらその時の紙らしい。
読んでみると、それは「無償雇用券」だった。券面には、「仕事一回分を無償でエインに命じることが出来る。その際、あたえられた仕事はミスなく必ずやりとげる。エイン」と書かれている。
あはは、これ、どうして身売りの契約書みたいな文面なんだ?
おわっ、言われてみれば確かにそっくりだな。
けど、これは一度しか使えないから、使いどきはよく考えるんだぞ。くれぐれも「手袋を作るために狐の毛がほしい」とかそういうのは言うなよ。間違ってもすんなよ!
エリサさんじゃあるまいし、そんなことしないよ。
わかってる、もちろん君はエリサじゃない。君は俺の最高の親友、{var:player_nickname}だ。
私は顔が熱くなった。真っ昼間からこうもストレートに言われると、かなり照れくさい。
この後はどうする? 一緒に魂天神社で麻雀でもする?
ツイてない時に麻雀なんて誘わないでくれよ、国士や九蓮に振り込めってか? 俺は家で最高に安全な時間を過ごすよ、じゃあまたな。
今日は散々だったことを思い出したのだろう、彼の耳は再びしょんぼりと垂れ下がった。これ以上困らせるのもなんだし、エインさんとはここで別れよう。
ロン! 国士無双、役満! {var:player_nickname}、ありがとよ。
ロンにゃ、大三元にゃ~! さっすがご主人、ありがとにゃ。
ぐひひひっ、ロン! {var:player_nickname}、わらわの九蓮宝塔に牌を捧げてくれたこと、感謝するぞ。
冷や汗をかきながら、ポケットの中の「無料雇用券」に触れた。あいつ……まさか不運を私にうつしたのか? こんなのはもうこりごりだ~!
私は手元にあったお菓子の袋を見つめた。よし、この機会にエインに伝えるとしよう。お菓子というものが、人を堕落させ、太らせ、依存させる食べ物ではないということを! 空腹のためにお腹を鳴らしている人にとって、お菓子は崇高な食べ物となり得る!
そう、放銃牌と同じなのだ。牌も私も悪くない、ただ配牌が悪い、それだけ。
よければ、このお菓子でも食べて、空腹を紛らわしてよ。
お~……こんなにたくさんあるとは。精々太らないように気をつけるんだな、{var:player_nickname}。
せっかく食べ物をあげたのに、なんでそんな水を差すようなことを……? これは一姫にあげるつもりだったやつだよ。最近やたらと食べたがるからさ。
ああ、それなら理由を知ってるぜ。
エインさんは袋から取り出したクッキーを口に放り込み、もぐもぐしながら話した。
この前麻雀した時、「琳琅にナメられる訳にはいかないにゃ」とかなんとか言ってたぜ。
琳琅か……二人して、私の財布を薄くさせるつもりだな……!
ははっ、なら{var:player_nickname}は頑張って稼がないとな。今度いいバイトを紹介された時は、君にも声をかけるよ。
結構です……と言いたいとこだけど、最近の甘いものの異常な値上がりを思うと、はぁ~……
甘いもの? なら、安くて美味いトコを知ってるぜ。
ほんと!? 教えて! あ、いや、知りたがってるのは私じゃなくて、友達なんだけど。
俺だって、お菓子のタダ食いだけするつもりはないって。この際だ、今から案内しようか。
お菓子がエインさんを不運のどん底から救い出すのに一役買ったらしい。エインさんはクッキーふた袋とパン一つ、それに一本のソーダを飲むと、店に向かうべく軽やかに歩き出した。
赤信号だ、少し待とうぜ。
うん。
赤信号の残り時間を見ると、あと293秒だった。一飜市には通貨や測量の単位といった色んな独自のものがあって、この信号が変わるまでの時間表示もその一つだ。私はスマホを取り出し、行きの地下鉄で読み途中になっていた小説を読むことにした。隣で親切にあれこれ道路状況を説明してくれてるエインさんは、とりあえず放っておこう。
ここは車通りが激しいぜ、はぐれるのが心配ならしっぽを掴んどけよ。
水たまりもあるな、滑らないように気をつけな。
おっ、ちょっと走ってくれれば、次の青信号にぴったり間に合うぜ!
へへ、セーフだ。ラッキー。
なぜだかわからないけど、ふとムーサがエインさんを「うるさい、男」と評していたことを思い出した……。
エインさん……
ん? どうした? 頼みごとなら遠慮なく言えよ、キッチリ解決してやるから!
いや、やっぱり何でもない。
実際、近くにここまで元気な人がいるのもいいことだよね。こんな風に、自分への関心や親愛の情をひしひしと感じる言葉をかけられることなんて、幼稚園より後だと滅多にないんじゃないかと思う。
エインさんのおかげで、この道のりもそれほど長くは感じな……いや待て、この道はもしかして。
ちょっと待って、この道、すっごく見覚えがあるんだけど……一飜市の遊園地に続く道だよね?
ははっ! 正門に着くまで気付かないんじゃねーかと思ってたぜ。
私たちが向かってるお店って、遊園地の中にあるの?
厳密に言うと、遊園地のすぐそばの店な。街中からはちょっと外れるけど、長い道を歩いてもいいと思えるくらいのメリットがあるんだ。
もう少し頑張れ、左の方の道に行ったら十分くらいで着くからな。
エインさんが指差す方を見ると、遊園地に続く見慣れた十字路があり、その左右にはそれぞれ全く様子が異なる道が広がっていた。
右の道は、青々とした木々が立ち並び、陽の光に照らされてすごく綺麗だ。ある所では植物のツルが絡み、天然のグリーンカーテンを形作っていた。左の道はというと、路面がひどくボコボコしていて、まだ舗装が済んでいない田舎道のようだった。
右の道はどこに続いてるの?
あぁ、そっちでも着けるけど、三十分くらい余計に時間がかかるぜ。
十分と四十分か……
ここまでずっと、エインさんに慌しなく案内してもらっていたけど、ここは私が決めてみようかな?
「世界には二枚として同じ葉はない」と言うように、この景色も、明日にはまた少し違う景色になる。
それに私は気ままな性格で、体力にも自信がある方だ。
エインさん、右の道にしよう。
いいぜ、疲れたら俺に言えよ。最近は、「お姫様抱っこ」ってのが流行ってるんだろ? 君がして欲しいなら、そのご要望承るぜ! アハハ!
ノースリーブシャツから覗いたエインさんの逞しく力強い腕を見て、つい私をお姫様抱っこしたエインさんが、桜満開の町中を跳んで駆け回る情景を想像してしまった。
あまりにも絵面が「綺麗」すぎるな……。私は身震いをして頭を振り、脳内映像を頭から追い出した。
あ、青信号になった。早く行こう。
十字路を右に曲がった。道の両側では、様々な花が競うように、惜しげもなく咲き誇っていた。近くには整備された池もあり、その水面は日差しを浴びて金色のリボンのようにきらきらと光っていた。
……エインさんの歩くペースがだんだん速くなっていかなったら、きっとこの景色をもう少ししっかり楽しめたんだけどなー!
数分後、遂に耐えきれなくなって、彼のしっぽを引き、急ブレーキをかけさせた。
うぇっ!?
エインさん、歩くのが速すぎるよ。
あ、悪い悪い……クセでつい。
配達の時間に遅れちゃいけないと思ってるとか?
いや、そういうんじゃなくて。その、少しの時間でも、のんびりしてるとオヤジが俺を叱る声が頭の中に響くんだ。
オヤ……お父様って、厳しい人なの?
危うく私までつられてうっかり「オヤジ」と呼んでしまう所だった。幸いにも、私が持ち合わせている優雅な美徳はいつでも、「礼儀正しさを第一に」ということを私にアラートしてくれるのだ。
別にそうでもないぜ。だいたいはニコニコしてるな。でも部族長って立場もあって、息子の俺には少し厳しくしてた。そのせいで、昔から何をするにも人より早く、ソツなくやるクセが染みついてんだ。
結果的には、いいこともあったよね。
考えてみりゃそうだな。一飜市でも大体の雇い主には気に入ってもらえるし、俺を鍛えて体力もつけてくれたオヤジには本当に感謝しねえと。
それに俺、ここでのデリバリーの仕事すごく気に入ってんだ。町中を縫って飛ぶように駆けるあの感じ、故郷での狩りで獲物を追ってる時とそっくりなんだ。自分を押さえきれなくなって、もっと速く、もっともっと速くって思って……風のように速く走れた時は特に最高だ!
あのね、人生においては、たまには立ち止まって、ゆったりしたスローライフを満喫するのも素敵な選択肢のひとつなんだよ。
ゆったりした……スローライフ?
そう、スローライフ。最近のバラエティ番組でも、スローライフをテーマにしたものが多いでしょ? 時代の流れにもちゃんとついて行かなきゃね。たとえば今、周りに目を向ければ、違う景色に気付けるかもよ。
言外に込めた意味を理解したかのように、エインさんはひとつ深呼吸をして、歩くスピードを緩めた。彼は辺りの景色をぐるりと見回し、道の両側から降り注ぐ木漏れ日や、空に漂う白い雲を見た。
そうして、改めてこの小道に目を向けたエインさんを見ていたら、時間の流れもゆるやかになったかのように感じられた。エインさんは、腕を伸ばして優しい風を感じたり、狐の耳をぴるぴると動かして、流れる水の清々しい音を聞いたりした。
元から澄んでいたその瞳は、周囲の景色に染められ、まるで、輝きを放つ宝石のようにキラキラと輝いた。
なあ、あれ見ろよ! あそこの雲、二人で取っ組み合いしてるみたいだ。
私は狐に、というより、あなたに似てる気がするよ。
俺、あんなに太ってるか?
毛のもふもふを含めると、あれくらいかも。
言いながら、わざとエインさんのもふもふの大きなしっぽを引っ張ると、彼は慌てて飛びのき、しっぽをかばった。
やめろって、毛が抜けちまうだろ!!!
これだけしっかりケアされてるんだから、ちょっと引っ張ったくらいじゃハゲないよ。
私達は花いっぱいの小道を歩きながら、話したり笑い合ったりした。速さへの強迫観念に囚われなくなるにつれ、エインさんの歩調も次第に緩やかになっていった。
俺、バイトの時よくこの道を通るんだけど、こんなにたくさんの綺麗な景色に気付いたのは今日が初めてだ。
それは、エインさんが綺麗なものを見つけられる目を持ってるってことだよ。
へへっ、俺が見つけた一番綺麗なものは、それこそ……ん、おい、あれって……
視線の方を見ると、ショーウィンドウの広告があった。
「クマちゃんグッズ 新商品 今月30日朝8時発売開始」? エインさん、こういうグッズに興味があるの?
んや、俺の雇い主がな。あ、君も知ってる人だよ。
私達、交友関係がだいぶ被ってるからね~。それだと、千織とか?
確かにあのお嬢様はクマグッズをたくさん持ってるな。でも、雇い主はメイドさんの方だよ。あの人、俺を雇っていろんなクマグッズの情報を集めてるんだ。報酬もすごくいいんだぜ。
私はああ! と手を打った。以前、「千織様がインデックスを落としてしまい、ひどく落ち込んでいらっしゃったのですが、運良くとても親切な方が家まで届けてくださったのです」と九条さんが話していたのを思い出したからだ。
もしかして、「親切な人」ってエインさんだったの?
親切な人?
千織のために「インデックス」……いつも持ってるクマのポーチを探してあげた親切な人。
それかぁ、実をいうと、探し物の張り紙に「謝礼はずみます」って書かれてたから探したってだけなんだ。俺は金を稼ぎたいだけのアルバイターに過ぎないよ。
……お、着いた。
エインさんの弾んだ声と共に、スイーツ店のアンティーク調の看板が現れた。
よくある洋菓子店って感じの店構えだし、立地もいいとは言えない所にあったから、今まで見落としてたな。
店内に入ると、広々とした明るく温かみのある空間に、柔らかな色合いのインテリアが見事に調和していて、よく考えられた内装だなと感心した。壁には、お客さんからのコメントや写真が飾られていて、より温かみを感じる。
そして、私をより温かい気持ちにしてくれたのは、繊細で綺麗なケーキ達……につけられている値段だった。
な? ここのはクオリティが高くて安いって言ったろ?
おや、誰かと思えばエインくんかい。聞き覚えのある声だと思ったんだよ。
お客さんが来たことに気付いて、奥から店主さんが出てきて挨拶してくれた。年配の女性で、親しげな口ぶりからは、エインさんがここの常連だと察せられた。
こちらはあんたのお友達かい? エインくんがお友達を連れてきたのは初めてだねぇ。
そのセリフ、すごくベタな気が……まさかこの後、「エインくんがこんなに楽しそうなのは久しぶりだ」とか言います?
ふふふ、私くらいの年でもドラマくらい見るわよ。楽しいことであれ嫌なことであれ、劇的なことはそう毎日は起こらないでしょう? エインくんは、毎日楽しそうにしてるわよね。
確かに、エインさんがしょんぼりしてる所はあまり見たことがないし、さっきもすぐに元気を取り戻していたな。楽観的で明るい、太陽のような人だよな、エインさんって。
ちょうどいいタイミングね。新作がちょうど焼き上がった所なの。お二人に味見してもらえないかしら?
ありがとうございます、じゃあ遠慮なく。
私達は窓辺の席についた。店内を漂うこの甘い香り……新作への期待が高まるなぁ。どれどれ……。
出されたケーキはしつこくない甘さで、生クリームは口に入れた瞬間にとろける……一飜市の最高評価、「甘すぎない」をあげるに値するな。
あのさ、これ、やるよ。
私が美食にどっぷり浸っていると、エインさんが何やら固い手触りの物を手渡してきた。見てみると、鋭い形のパーツがついたネックレスのような物だった。
これは……?
「師匠」へのお礼さ。さっき、俺に別の生き方を教えてくれてありがとな! ネックレスに通してある牙は、俺自身のやつなんだけど、もし……嫌じゃなければ受け取ってくれないか。
エインさんは珍しく神妙になっていて、もし「いらない」等と言おうものなら即座に取り返されてしまいそうな雰囲気だった。私はというと、手にしたものは決して離さない性格だ。私は素早く牙のネックレスをしまいこみ、しっかりと頷いた。
うん、大切にするね、エイン。
ゆったりとした時間を過ごし、買い物もした私達は店を後にした。
このあとは、またバイトに行くの?
今日はもう何もないぜ。
そうなの? じゃあ晩ご飯はどうするの?
エインは笑ってスマホを振り、私の疑問に答えた。
クマグッズ情報の報酬が入ったから、この後は「狩り」に行かないか?
か……狩り? でも私、この後魂天神社に行くんだけど。
知ってる。
君は俺に、一飜市での新たなライフスタイルを教えてくれた。今度は、俺が君に別の麻雀スタイルを教えてやる番だ。
{var:player_nickname}、覚悟はいいか?
麻雀となると、エインは自信と強者のオーラを漂わせる。さすが将来の部族の後継者と言うべき迫力だ。
もちろん、私だって手加減しないよ。
けど、麻雀に関することなら、私だって簡単に負けたりしない。
その後、魂天神社で、私、エイン、一姫、ワン次郎の四人で卓を囲んだんだけど……このことについてはまた別の機会に話すとしよう。
「時は金なり」とはよく言ったものだ。私は時間と景色を天秤にかけた結果、強い意志で最短ルートを選んだ。
決して、体力が無いからではない。さすがに四十分歩いたくらいでヘトヘトになったりはしない……ただ、あくまで、貴重な時間が無駄になってしまうからだ。
……これもカーヴィさんの占いが当たったってことなんだろうか。少し歩くと、「臨時補修工事中 通行禁止」という看板にぶち当たった。
……参ったなあ。引き返すべきかな?
こんなの、大したトラブルじゃないさ。俺について来な!
ここはエインさんを信じよう。私は迷わず彼について行くことを選び、道の間を縫って歩いた。やや回り道にはなったが、いつの間にか工事中の区間を通り過ぎていた。
すごい! これがデリバリー配達員の実力ってこと!?
はは、まあな。危険を避けるのも、優秀な狩人には必須のスキルなんだ。だって、俺たちには優れた視力に嗅覚、そして聴覚が必要なんだからな。
種族の才能ってことだよね? 羨ましいよ。
まあ……実際にはそんなに羨むようなもんでもないさ。
ん?
君は隣の人の足音や、下の階のお年寄りたちのお喋りや、向こうの通りのクラクションの音まではっきり聞き取れるようになりたいか?
うーん、ならなくていいかも。すごくうるさそうだし。
残念ながら、それが俺の日常なんだよ。はぁ……故郷はすごく静かだった。こんなにうるさい場所があるなんて、考えたことがなかったよ。
対策とか、何もしてないの?
バイトをいくつも掛け持ちして、貯金して、防音用のイヤーマフを買った。それで、ようやく安眠できるようになったんだ。
エインさんにとっては鋭い聴覚はパッシブスキルだから、自由に付け外し出来ないのが余計辛いね。
さすが、君はよくわかってるな。あとさ、一飜市と故郷の気候があまりに違ってるせいで、アレルギー性鼻炎になっちまったんだ。今は花粉に触れる度にくしゃみが抑えられなくなる……花屋のおつかいのバイト代、けっこう良いんだぜ?
あーあ……俺は毎日、泣く泣くそれを諦めるしかないんだ。
何もそこまで……
私がエインさんを慰めようとしたその時、エインさんが突然声をあげた。
危ない!{var:Shake}
エインさんに力強く引っぱられ、あれ? いつ立ち位置が入れ替わったのかな? と思った頃には、狐は泥水をかぶっていた。
うっかりしてた。昨夜は雨が降ったから、ここに水たまりが出来てるかもしれないってことを忘れてたぜ。
大丈夫?
平気、平気!
彼は脇に寄ってコートを脱ぎ、毛についた水滴をぷるぷると振るい落とした。しかし、泥はそう簡単には落ちない。私は面白いやら申し訳ないやらでどう反応したらいいかわからなくなり、近くの公衆トイレまで連れていった。
外で待っていると、ほどなくしてエインさんが出てきた。泥は落ちたようだけど、完全な濡れ狐になっていた。
何事……?
……トイレの蛇口が爆発したんだ。
爆発した?
かるーく蛇口をひねったら……落っこちたんだよ。
え?
あれ? ここに置いといた「故障中」の看板、どこ行ったんだ? ここの蛇口は今使えないって知らせといたのに。おいおい、この水浸しの床、どうすりゃいいんだ……
私とエインさんは黙って顔を見合わせ、そばで年配の男性が大声で話しているのを聞いていた。ある共通の考えが浮かぶ。
ついてないね。
ついてないね。
おじいさんからタオルを借りて、毛が乾く頃には、歩き出してから一時間以上経っていた。生乾きの服を着たエインさんは、別の日にまた来ようよ、と言ってみても、頑なに店まで連れていくと言い張った。その後、道中の彼の口数はあからさまに少なくなっていた。
……お、着いた。
長い沈黙の末、不意に発せられた声と共に、アンティーク調の看板が現れた。
よくある洋菓子店って感じの店構えだし、立地もいいとは言えない所にあったから、今まで見落としてたな。
店内に入ると、広々とした明るく温かみのある空間に、柔らかな色合いのインテリアが見事に調和していて、よく考えられた内装だなと感心した。壁には、お客さんからのコメントや写真が飾られていて、より温かみを感じる。
唯一の欠点は……私たちが来るのが遅すぎたせいで、ほとんどの売り物が品薄になってしまっていたことだ。私達と同じように遅めに来たお客さんも、残り少ないスイーツを虎視眈々と狙っている。エインさんはつむじ風のように客の間を縫って駆けていき、スイーツをトレーに乗せて戻ってきた。
ごめん、あんなトラブルが立て続けに起こるとは思わなかった。もうこれぐらいしか残ってなくて……。
気にしないで、あんなアクシデントが起こるなんて誰も予想出来ないよ。
エインさんの協力のもと素早く支払いを済ませ、店員さんが詰めてくれた箱を持って外に出た。品数は少ないはずなのに、やけに厳重な梱包で、数個のお菓子が五箱に分けて詰められていた。
こうなったら、最後まで親切な人をやり遂げるしかないな、君の家まで……
「プルルルル」言いかけたところで、エインさんのスマホが鳴り出した。
ヤバい、この後もバイトだったの忘れてた!
行っておいで、私は大丈夫だから。
でも……
バイトに遅れてはいけない。私は自分の力を見せつけるべく、全ての箱を持ち上げてみせた。しかし、エインさんは焦りつつスマホで時間を見ていて、まだ踏ん切りがつかないらしい。どうやら、最後の手段を使うしかないようだ。
行かないと、今日の晩ご飯代をどう捻出するか悩むことになるよ。
エインさんは、頭を殴られたかのようにガーンとして、しょんぼりと私に別れを告げて去っていった。危なかった、晩ご飯まで奢らないといけなくなるところだった。これ以上餌付けの対象が増えるのはまずい、非常にまずいのだ。
エインさんが見えなくなったので、私は箱を下ろした。重くはないけど、運びにくいんだよな。などと考えていると、スマホが振動した。エインさんからメッセージが送られてきていた。
(ショートメール)ゼクスに魂天神社まで運ぶよう頼んどいた そこで少し待っててくれ
(ショートメール)ちょっとそそっかしいけど、いざという時頼れる奴だから安心しろ
「ゼクス」という名前を見て、次第に笑顔が消えていった。やって来たゼクスに、「こんなもんも運べねぇなんて、テメェはどんだけ弱っちいんだ。俺様がテメェを鍛えてやる」とかなんとか言われないといいけど。
森で送る特訓生活なんて、嫌だ~~!
抜け毛パニック
絆LV5で開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 276, Choices 3, Endings 2
ロン! 立直、一発、西、混一色、ドラ3、16000!
この状況からまくっちまうなんて、{var:player_nickname}は本当に侮れない相手だぜ。
あはは、運がよかっただけだよ。
点棒を手にした私は一気に四位から一位へと躍進し、この対局のトップとなった。あと二人の同卓者にこれで抜けると合図し、ほくほくと立ち上がり、午後中ずっと雀卓に座りっぱなしで凝った体をほぐした。
くっそー、十巡目で中を残しときゃ、二巡前にあがれてたのに。
まださっきの対局の検討をしてるの? 麻雀も休息とのバランスが大事なんだし、今日はゆっくり休んでまた明日対戦しよう。
はぁ……そうするっきゃねぇな。
エインは素直に外へ新鮮な空気を吸いに行こうと席を立った。先ほどの対局のことをブツブツつぶやいていて、普段はぴんと立っているしっぽも垂れ下がっている……誰がどう見ても悔しがってるな。
エインはいつも、麻雀のこととなるとこだわりがすごいよなあ……とりあえず慰めてあげよう。
などと考えた私はエインの後を追い、もふもふのしっぽを撫でつつ、言葉を選びながら優しくエインを励まそうと試みた。
今日はエインのあがり率も高かったし、十分いい成績だったと思うよ……ん、なんだ……?
しっぽを撫でていた手にいつもと違う感触があり、ふと手を止めた。恐る恐る手を開くと、掌にはタンジェリンオレンジ色の獣の毛が無造作に散らばっていた。
{var:player_nickname}、急に立ち止まってどうした? なんか忘れ物でもしたのか?
元気になって欲しくてやったけど、どうやら逆効果だったみたいだ……はぁ、これはもう、何と言えばいいのやら。
へ?
何のことやらわからない様子のエインに、私は内心で深くため息をつきながら、自分の掌を見せた。そして、エインに自身のしっぽを確かめるよう目で合図した。
しっぽの先の毛……? ……!! き、き、君の手についてるそれって、まさか……!
ご明察、そのしっぽから抜けた狐の毛だよ。
こんな風に指摘するのはちょっとデリカシーに欠けるかもしれないけど、フェアな麻雀仲間同士、やっぱり伝えておくべきだと思ってさ。軽く撫でただけでこんなに抜けるなんて、エインの抜け毛問題って相当深刻なんだね。
言うが早いか、もふもふで大きなしっぽは持ち主の背後にサッと引っ込んだ。エインは両腕を広げて私の視線を遮り、ハゲてしまったしっぽの先が見られないように隠した。
そうじゃねえよ! これは、ご、ごく普通の現象なんだ。狐には毎年換毛期があることは知ってるだろ、部族の勇士だって例外じゃないんだって。
もっともらしく聞こえるけど、やっぱり怪しいなぁ。
ゼクスから何か聞いたのか? えっと、その……
ゼクスは関係ないよ。私が怪しいと思ったのは、この前「幾度春」に行った時、そこの狐としばらく遊んだんだけど、抜け毛を見た記憶が全くなかったからなんだ。
本当に換毛期なら、狐ならみんな毛が抜けてるはずだよね?
それはその……あー……えーと……じ、実はさ、狐は皆それぞれの悩みってやつを抱えてて、つまり……
その様子、私の読みは当たってるみたいだね?
……
金色の瞳が天井、床、雀卓、忙しそうな一姫、お喋りに興じるワン次郎、更に外の景色や騒ぐ子供達……とあちこちを彷徨ったが、私とだけは視線が合わなかった。明らかに動揺している。
「ぽややんもね、毛が生え変わる時期は誰かに見られないようにこっそり隠れるんだよぉ~」ってエリサさん言ってたな。エインならなおさらそうするだろう。まあいいか、何か言いにくい事情があるのかもしれないし、これ以上追及するのはやめておこう。
エイン、あのさ……
{var:player_nickname}、実は……
短い沈黙を挟んで、私とエインは同時に口を開いた。あまりの息の合い様に、思わず顔を見合わせて笑ってしまい、それまでの気まずい空気が霧散した。エインは紳士的に、私に話す順番を譲ってくれた。
先に話してくれ。
じゃあ……あのさ、抜け毛は決して深刻なことじゃないから、何も隠す必要なんてないって言おうとしたんだ。大丈夫、抜け毛問題が解決するまで、私も一緒に対処法を考えるよ。
ってことは……ずっと、俺についててくれるってことか?
うん、だって「私たちは最高の友達だ」って言ってくれたでしょ?
ああ、苦楽を共にしようとしてくれてるってことだな、なるほど。
動物はしっぽで様々な感情を表現するというが、エインはその言葉をしっかりと証明してくれた。背に隠されたしっぽはピンと立ち、小刻みに揺れていて、エインがご機嫌であることを示していた。
それにしても、前回「苦楽を共に」した日のことを思うと、少し嫌な胸騒ぎがする。特にあの……。私はついちらちらと視線をしっぽの先へと向けてしまった。ハゲてピンク色の地肌がむき出しになっており、まだ生え残っているタンジェリンオレンジと強烈なコントラストを成している。
このモフモフがつるっぱげになるなんて、嫌だ!
エイン、今の状態だとハゲた部分がすごく目立っちゃってるよ。もふもふ愛護団体の人が見たら怒り狂うだろうなぁ。うーん、病院に行って、知り合いに会っちゃってもまずいよね。でもそれ以外に、エインの抜け毛問題を解決出来る方法があるかな……
まぁそんなに焦ることもないんだ。しばらくすりゃ、新しい毛がまた生えてくっから。
新しい毛……そうか、わかったぞ!
うっ……万和薬局へようこそ。何かお探しでしょうか?
遅番中に、黒ずくめの服にサングラスの二人組にたった一人で相手する羽目になったら、たいていの人は通報すべきか迷うだろうに……この店員さんは、微笑みながら接客してくれてる……なんてプロ意識だ……。
ぶつくさ言ってると、法律番組のネタにされちゃうよ。これもプライバシーを守るため。だって、育毛剤を買いに来たことを誰かに知られるのは嫌でしょ!?
脅しか? 脅しなんだな? 無邪気で、優しくて、勇敢で、聡明で、情熱的で、可愛かった俺の{var:player_nickname}を返してくれ!
さっさとして。さもないと、脅しだけじゃなくて暴力も使えるんだって知ることになるよ。
私が迫力のある笑みで「鼓舞」してみせると、エインは渋々探しているものを店員さんに伝えた。
お、俺達……育毛剤が欲しいんですけど、おすすめはありますか?
お客様、グッドタイミングです。ちょうど新発売の抜け毛防止美容液がございます。二本買うと一本プレゼント、さらに20%オフでご提供します。
いや、結構です、俺はただ……
ショーウィンドウに宣伝ポスターが貼られてましたけど、この育毛剤には何かいいことがあるんですか?
数分ほどお時間いただいてもよろしいでしょうか? こちらの美容液には高麗人参の根とコノテガシワの葉の成分が含まれてまして、油分をコントロールしたり、フケを取り除く効果がございます。特許も取得していて、CatChatのインフルエンサーも大々的におすすめしてくださっているんですよ。
なるほど、要はネットでバズってる商品ってことですね。
ネットの評判は馬鹿に出来ませんよ。こうした商品は、多くの人を惹きつける魅力があるからこそネットで話題になるんです。ですから、全く心配はいりません。
さらに、本日商品をご購入された方には、トライアルセットもお付け致します。数量限定、先着順ですよ。
販売員のバイトがどうしてやけに給料がいいのか、今わかったよ。うまい話で客の目を引きつけて、その上でおまけの話をすれば、断れる人はなかなかいねえだろうな。
ふふ、面白い方ですね。私はただ、商品をお勧めしているだけですよ。そのご様子だと、もうご購入ということでよろしいでしょうか?
も、もう少し考えさせてください。買いたくなったら呼びますから。
かしこまりました、ではごゆっくりお選びください。
店員さんが去っていったことを確認し、私はエインに小声で問いかけた。
エイン、何か納得いかないことがあった?
いや、ただちょっと怪しいから、もう少しこれのことを知ってからにしようと思ったんだ。で、ある事実を知って、この疑念は確信に変わった。
へ?
指をクイクイと動かして、私に近づくよう合図すると、エインはスマホの画面を見せてきた。
{var:player_nickname}、この商品の説明ページがこれなんだけど、不自然な所があるのに気付かねえ?
見せて。原材料、生産地、認可、特許情報……特に問題なさそうに見えるけど、不自然な所って……?
ここだよ! 育毛剤を研究開発した会社の社長なのに、ハゲてんだ! どう見ても不自然だろ!
エインは画像を指さしながら義憤に満ちた様子でそう言うと、息巻いた様子で両手をぶんぶん振ってみせた。その狐の目は不信感に満ちている。
確かに変だね。社長は自社製品を使ってないのかな?
君もそう思うだろ? この育毛剤は、言われてるほど効果がない。信頼出来る根拠も見つかったことだし、これを買う必要ないな。
広告ってのは多少誇張が入るものだよ。大げさに書かれてるからって、効果が無いとは限らないんじゃないかな。
で、でも、俺にはこんなの必要ねぇよ、本当に。
自分のハゲたしっぽを見てみなよ。こんなにひどいんだから、対策しないと、いつか全部ツルッツルにハゲちゃうよ。
でも……
煮え切らないエインを見て、彼の背中を強く押すことにした。
せっかく麻雀にあてるはずだった貴重な時間を犠牲にして、育毛剤探しに付き合ってあげたのに……エインは、私の好意を無駄にしたりしないよね?
す、するわけねぇだろ。俺が今まで、君を傷つけるようなことをしたことあったか? 育毛剤くらい、すぐに買うって。
誤解を恐れるかのように、エインは背筋を伸ばして胸を叩いた。その眼差しは、まるで今から魂天神社の麻雀大会の決勝に出るかのようにキリリとしていた。
ありがとうございます~! ではお客様、あわせて12000コインになります。お支払いはカードと現金、どちらになさいますか?
音もなく接近していた店員さんが唐突に声を上げ、既にきっちりと梱包されている育毛剤のギフトボックスを満面の笑みでエインに手渡した。
12000!? げ、現金で……どうも。はぁ、{var:player_nickname}がしっぽをモフれるようにと思ったら、だいぶ高くついちまった。
エインがそう言ったからには、私がきっちり監督するよ。説明書をよく読んで、毎日決まった時間に育毛剤を使うこと。今夜、家に帰ったらすぐに始めるんだよ、ちゃんとチェックするから。
エインからの不満げな眼差しは気付かなかったことにして、やっぱやめたと言う隙を与えまいと、彼を引きずって店を出た。エインと別れる時になってようやく、神社でエインが何か私に言いかけていたなと思い出した。
まあでも……そこまで大事なことじゃないよね? 今度会った時にまた聞けばいいや。
毎日状況を窺うつもりだったのだが、つい他の用事に追われてしまい、時間が取れた時には既に一週間が経過していた。
エイン、どうしてるかなぁ。今頃はきっとバイト中だろうし、もう少し待って……
{var:player_nickname}! 奇遇だな、ははっ。
噂をすればなんとやら。明るく爽やかな笑い声と共に、よく見知った狐の影が現れた。
バイト終わりにすぐに君に会えるなんて、今日は本当にツイてるな。一緒に神社で麻雀しないか? 今回は負けねーぞ。
その前に、しっぽ見せて。
んぇ?
今の今まで嬉しそうに頭をゆらゆらとさせていた狐は、いきなり一時停止ボタンでも押されたかのように固まってしまった。何か言おうとしたらしいが、結局不明瞭な声を発するに留まった。
待て待て待て、あんまり近いと、怪しいことしてるって見た人に誤解されるぞ。
この辺だと一番寂しい通りだし、人通りも少ないから大丈夫だよ。ていうか、しっぽをチェックするのに大した時間はかからないよ。エインが大人しく後ろを向いてくれさえすればいいんだから。
恥ずかしがらないで、すぐ終わるから。
エインが現実逃避に走らないように、私はエインを壁ドンし、しっぽを掴んでじっくりと確認した。
ハゲちゃった先っぽ、先週と何も変わってないように見えるけど、本当に毎日育毛剤使ってる?
あぁ、ま、まぁな。説明書の通り、美容液を塗って、その後冷やしたタオルで覆ってるよ。
あれ? 確か説明書には、蒸しタオルで30分覆って、その後美容液を塗るって書いてあったと思うけど。
!!!
エインって、誰かのことには細やかな気配りが出来るのに、自分のこととなるとどうしてそんなに無頓着なんだろう。
エインが育毛剤に対して抵抗があることくらい、とっくにわかっていた。言葉を濁す彼の様子、使用方法を間違えたこと、変化の見られないしっぽ……これらの事実が、私の中にあった疑いの種を急速に芽吹かせた。
エイン、育毛剤を使って抜け毛を解消したいって、本気で思ってる?
エインは顔を真っ赤にして、私の手からしっぽを引き抜いた。照れているのか怒っているのか、じわじわと顔色がタンジェリンオレンジそっくりになっていった。
エインの部族は狩りを生業としていて、強靭な身体は全ての勇士に欠かせない条件の一つだ。幼い頃からそういう考え方のもとで育ってきたのなら、健康状態を考慮しないなんてあり得ないはずだ。
エインの言う通り、狐は皆それぞれの悩みを抱えてるのかもしれないね……小さなことで簡単に人を疑うなんてこと、すべきじゃなかった。
うーん……でもやっぱり、まずエインの抜け毛問題を解決出来る方法を考えて、その後にお詫びとして麻雀をしよう。
私は頭の中でこの後の予定を組み、それからようやくエインに目を向けた。
俺、実は……
ごめん、エイン、君を疑うべきじゃなかった。ただ君の体が心配で、張り詰めすぎちゃったんだ。
実は俺の体は健康なんだ、本当に!
私は一姫の飼い主で、ワン次郎、ゼクス、ハンナ、エマの友人で、サーカス団「Soul」と「幾度春」の常連客で、黒豹モヒートと白狐おもちの遊び仲間。健康な動物なら、こんなに毛が抜けたりしないことくらいわかってるよ。エイン、心配かけないようにって隠し事をするのはやめて。
わかった。じゃあ君も、もう育毛剤のことで悩まないでくれ。とにかく、君が俺のそばにいてくれれば、すぐ治るから。
エインが治療に乗り気で安心したよ。病院に行く時は、私も必ずついて行くね。
……病院?
こんなに長引くってことは、きっとあの育毛剤が合ってないんだよ。ちょうど午後は暇だから、一緒に病院に行こう。そうすれば少しは安心でしょ。
何か言いたげな様子のエインを見て、私は思い切ってこの論争の決着を一方的に宣言した。
というわけでこれは決定事項だから、早速行こう!
病院というのは厳かな場所だ。人は病院のドアをくぐると無意識に声のボリュームを下げ、どんないたずらっ子だろうと医者の前では大人しくなる。
私はエインと一緒に、皮膚科の待合室の椅子に座っていた。静かに名前が呼ばれるのを待っている他の患者に対し、ひそひそと喋り、不安そうに座るこの狐はやや場違いに感じられる。
受付してもらうだけで2000コインかかるなんて、はぁ……頭が痛いぜ。
お金は何なら私が……
金の問題じゃない。こんなことにお金を使う必要は全く無いって思ってるんだよ。
そのことは、ここに来るまでに何度も話し合ったでしょ? 病気を隠して、治療を拒むのは間違ってるよ。
でも、抜け毛は健康とは関係ないかもしれねえだろ。仕事のストレスとか、ラス続きの麻雀、それに夜更かしなんかも、抜け毛の原因かもしれない。なら、医者が最良の解決策を提案してくれるとは限んないだろ?
それなら、そのハゲだって今頃少しは改善されてるはず。だって、抜け毛に気付いてからもう一週間も経ってるんだよ? 私の知ってるエインなら、しっぽがハゲてるってわかった時点で、生活習慣を改善したはずだよ。
それに関しては、{var:player_nickname}に責任がある。
私? 私と何の関係が?
「俺の抜け毛が治るまでずっと一緒にいる」って約束したのに、あれから全然俺と会ってくれなかったじゃんか。ずーっと君に何かあったんじゃって心配してたんだぜ。だから……この抜け毛は、明らかに君への心労が原因だ!
……どこからツッコめばいいのやら。表情や態度はかなり真に迫ってるけど、左右に揺れてるしっぽが全てを物語ってるよ。診察を避けるための口実だな!
完全に口実って訳でもないんだけどな……。
無慈悲に見破ったことで、エインは恥ずかしそうに頭をかいていたが、しばらくすると少し落ち着きを取り戻した。呼び出し番号を告げる女性の声の自動アナウンスが廊下に響き渡る。
うー……
患者達が続々と診察室に入っていくと、エインは見るからに焦り出した。恐らく無意識だろう、人差し指で椅子のひじ掛けをトントンと叩き、足はいつの間にか出口の方を向いていた。
その行動の全てが、エインがここから逃げたいと考えていると示していた。
ここ最近のエインの振る舞いを思い返してみる。エインの性格を思えば、不自然な行動があまりにも多かった。薬局でのこと、病院での様子……繰り返し思い返すうちに、私はある推論に至った。
エイン、もしかして……薬を飲むのが怖いの?
人は本能で薬を恐怖する。薬の影響を、それこそ病的に心配する人もいるくらいだ。この根深くインプットされた感情によって、彼らは目の前の状況から逃げようとするのだ。たとえ、エインのようなたくましい青年であっても。
エインの驚いた表情を見て、私の考えは疑いから確信へと変わった。
薬が怖い? 俺が?
そこまで頑固な性格でもない君が、育毛剤のような薬に頼ることも、お医者さんの診察も拒んでるんだ。その理由を説明できるのは、病院恐怖症……これしかない。
……
図星だったのだろう、エインはうなだれてしまい、それ以上何も言わなかった。いつも活発で明るい狐さんが、椅子に座って小さくなっているのを見ていると、何だかいたたまれない気持ちになった。それでも、やっぱりエインには診察を受けてもらおう。そう決意した私には、彼の肩をポンポンと叩いて慰めることしか出来なかった。……おっと!?
うわぁ、急に顔を上げないでよ、びっくりしたな!
{var:player_nickname}、聞いてくれ。ずっと君に言いたいことがあったんだ……
ピンポーン……受付の自動音声が響き渡り、エインの話を遮った。病院で受付をしてから1時間37分、ようやく私達の番がやって来た。
113番の方、3番の診察室にお入りください。
エインの番だよ。まずはお医者さんに診てもらって、後でじっくり話を聞かせてね。
診察してくれる皮膚科医は50歳くらいの男性医師で、表情には乏しいがどことなく威厳がある。テーブルに置かれた「医長」の肩書き入りのネームプレートを見て、より権威ある医師だとわかった。とても頼りになりそうだ。
それ以上に、黒々とした髪を生やしていることが説得力のある証拠だ。
抜け毛に気付いたのはいつでしたか?
一週間くらい前で……しっぽの毛が……ちょっと、抜けちゃって。
毛が抜けたところに、かゆみや痛みなどの違和感が出たことは? ここ半年で、ビタミン剤やカルシウムのサプリ等を飲みましたか?
いえ、思い当たることはありません。一日三食、栄養バランスのいい食事を規則正しくとってます。
最近、不眠や目まい、耳鳴りといった症状はありましたか? 日常生活での背中や腰の痛み、手足の冷え、起床時の脱力感は?
ないです、いたって健康です。
では……失礼ですが、ご家族の年長者の方で、あなたと同じように頻繁に毛が抜ける方はいらっしゃいますか?
……神よ。オヤジやおふくろにこの話を聞かれませんように。
問診が続き、時間が過ぎていくにつれて、お医者さんの顔つきは徐々に険しくなっていった。カルテに走ったお医者さんの筆跡は解読には大変な困難を要したが、記録からは大体の状況が推測できた。
どうやらエインの病状は本当に深刻みたいだな……
現状ですと、抜け毛の要因となり得る要素は認められませんので、これから患部を見ます。中の検査室のベッドに横になって、しっぽを見せてください。
そ、それはしなくていいんじゃないですか。
元から気が進まない様子だったエインが、今度は迷うことなく拒絶すると、やはりと言うべきか、医師は顔を曇らせた。診察室の中、譲らない両者を見て、私は半ば投げやりに助け舟を出した。
エイン、ちょっと恥ずかしいだろうけど、お医者さんはどこが悪いかいろんな面から把握してこそ、最適な治療法を見つけられるんだよ。だから検査は必要なんだ。
狐のしっぽは、他人に好き勝手触られていいもんじゃない。
えぇ……? いつも「しっぽ触ってみ?」とか「いい手触りだろ?」とか言ってるのはどこの誰!?
君は他の人とは違えだろ!
……ゴホン。
次第に口論の主題が脱線しつつあるのを察してか、それまで沈黙を貫いていた医師が不意に咳ばらいをして、会話を遮った。彼は立ち上がり、医療用の手袋をゆっくりとはめながら、反論を許さない口調で私に命令した。
ご家族の方も入っていただいて、彼を押さえててください。その間にしっかり検査しますから。
……わ、わかりました。
エインはとても優秀な狩人だけど、彼一人で私達二人に勝つのは不可能だ。すぐに私とお医者さんの協力のもと、エインは診察室内のベッドに無理やり寝かされ、意思にかかわらず検査を受けることになった。
顔が完全に枕に埋まってるけど、息できてる?
狩人が獲物みたいに押し倒されるなんてな。部族の皆に知れたらぜってー笑われる……。
診察室はお医者さんの狩り場だよ。「優秀な狩人は失敗しない」って、教えてくれたのはエインじゃないか。他の人の縄張りで負けることは、何も恥ずかしいことじゃないよ。
けど、俺はしっぽまで触られたんだぞ。今夜は三回はシャワーを浴びないと! 三回だ!
形の良い指が三本、もがきながらも私の前に掲げられた。回数を強調するかのように手をぶんぶんと左右に振り、それにつられて体も揺れた。
間髪入れず、お医者さんの無機質な声が響いた。
手を放さないで、押さえつけててください。
はい……!
お医者さん、実はこの人は病院恐怖症なんです。病院のベッドは、彼の不安を煽る可能性があります。
まぁ、わかりますよ。同じように不安を感じる患者さんは大勢います。しかしながら、検査しないことには、私も適切な治療法を提案できません。
他のやり方ではダメですか? 今のところ、毛が抜けてるのはしっぽだけです。椅子に座った状態で検査を受けさせることは出来ませんか?
わかりました、そうするしかないでしょうね。
待てよ、俺の意見はどうなるんだ?
えっ、まさかエイン、私の言うことが聞けないの?
も、もちろん聞くさ。あの、とりあえず……後で怒らないって、今のうちに約束してくれ。
先生、エインは一体どういう状況なんですか? 原因はわかったんですか?
医師がエインのしっぽを放したのを見て、私は顔を赤らめている狐をよそに、慌てて状況を尋ねた。
えぇ、はっきりわかりました。あなたが先ほど指摘した抜け毛の最もひどい部分ですが、恐らくカミソリで毛を剃られたのでしょう。
……えっ!?
ここを見てください。毛が抜けている部分と生えている部分の境目が非常に整っていますが、自然に抜けた場合こうはなりません。よく見ると、近くの長い毛のあたりに赤い塗料が確認出来ます。
この「患部」は洗っても落ちない赤い塗料がついた後、患者さん自身が剃り落としたのではないですか?
いやでも、あの日会った時は、まだしっぽには何の問題もありませんでした。私が触ったせいで、毛が抜けてしまったはずです。
それは私には判断しかねます。ご本人に伺ってみるといいかもしれませんね。
触診を終えると、座っているエインに二人の視線が一斉に注がれた。エインは両手で顔を覆い、私と目が合わないようにしていた。
エイン、どういうこと!?
これ以上は言い逃れ出来ないみてーだな……うぅ、最初から言おうと思ってたんだが、毎回いろんな邪魔が入っちまって言えなかったんだ。
この前バイトしてて、近くにあったペンキの缶をうっかりしっぽで倒しちまって……洗ってもなかなか落ちなかったんだ。ペンキがついた範囲はそこまで広くなかったから、勢い余って毛を剃ったんだよ。
じゃああの日、私が触った時抜けた毛は……?
ええと……俺も毛を剃った後ようやく気づいたんだが、しっぽの先がハゲてるのは、ちょっと、見栄えがよくなくてさ。だから、隣のおばあさんに糊を借りて、毛をくっつけ直したんだ。よく見なければ気づかれなかったと思うけど、君がいきなり触ってきたから……
ふーん、その言い方だとやっぱり私のせいなんだ。
違う違う、もちろん俺のせいだ。剃った毛をまた貼りつけるなんて、マジでハズいことした。どこから説明すりゃいいのか、本気でわからなかったんだ。
なんとか勇気を出して白状しようと思ったけど、君は抜け毛が完全に治るまでずっと俺のそばにいるって言ってくれただろ。俺は……その、そうすれば君ともっと一緒にいられるって思って、勝手な気持ちで……
それがあなたの「抜け毛」の真相なんだね。
ごめん、長い間心配かけて。
エインの声は次第に小さくなり、しまいには完全に消えた。勇猛な狐にしか見えないのに、白い子ウサギのような無垢な眼差しで、少しの怯えと期待を込めて私を見ていた。
私は怒らない……怒らない……怒らない……
{var:player_nickname}、何ブツブツ言ってんだ?
怒らないための呪文だよ。夜のニュースで「血塗られた診察室」なんて報道が出ないように、心に平穏を取り戻さないとね。
……
自分が悪いとわかっているのか、エインは素早く足を引っ込め、罰を待っているかのような顔で椅子に座り直した。
エインが嘘をついているとはっきりわかっているはずなのに、私は彼の視線を無下に出来なかった。深呼吸すると、次第に気持ちが落ち着いてきて、最後には、横目で絶えず私の顔色を窺うエインのビクビクした様子につられてぷっと笑ってしまった。
でも、それはいい知らせでもあったね。エインは健康で、抜け毛の問題も無いってわかったんだし。
あの、すみません。抜け毛の診察はまだ終わっていません。
あれ? 先生はもう真相がわかったんじゃ?
正確に言うと、それはあなたが真相だと思っているだけです。触診したところ、確かによく抜け毛を起こしているようだとわかりました。例えばこんな風に……
エインに背を向けるよう指示すると、医師はしばらくしっぽに触り続けた。手の動きに合わせて長さのまちまちな狐の毛が宙に舞い、周囲のテーブルや椅子がうっすらとタンジェリンオレンジに色づいた。
にわかには信じがたい光景に、エインも自分のしっぽにそっと触れた。彼がその動作を繰り返すたび、新しい毛がつくので、本当に抜け毛が出ているのだとはっきりわかった。
そんなっ、俺、マジで抜け毛になってたのか!?
ふふ、でも心配いりませんよ。ごく軽い症状ですから、時間を守って薬を飲めばすぐに良くなります。
ありえねぇ、ありえねぇよ、俺が抜け毛なんて……これは夢だ、そうだ、きっと夢を見てるんだ。
あまりにも大きなショックを受けたエインは呆然とし、まるで痛みで夢から覚めようとするかのように、自分の腕をつねろうとしている。私は慌てて彼を制止した。
エイン、現実に向き合おう。確かに抜けてるよ、毛。
でもこんなの、非科学的すぎないか。俺の体はどう見ても健康だろ?
元気がないと抜け毛が起こる場合もあるんですよ。ここ最近、どうやってご家族に真相を白状するかずっと思い悩んでいたんですよね。その大きなプレッシャーのせいで、抜け毛に至ったのかもしれません。では、ご家族の方、この薬を毎日午後に飲ませるようにしてくださいね。
わかりました。今回は き・っ・ち・り 監督しますから。
嫌だ~~~……
一姫、エインを見なかった?
ご主人、今日はなかなか早いのにゃ。一姫とワン次郎とバカウサギは、エインからお菓子を貰って、エインが今東の物置部屋に隠れてて、ご主人がいなくなったら出てきて麻雀するってことをご主人に話さないって約束したのにゃ。
一姫、ありがとう。ワン次郎たちと遊んでおいで、私は行くね。
笑いながら、持っていたお菓子を一姫に手渡し、以心伝心の視線を交わした。薬を入れたすり鉢をしっかりと持ち、ゆっくりとエインが隠れている方へと歩いていった。
エインの抜け毛は誤解から事実となり、彼はひとしきり落ち込んだ後、立ち直って現実と向き合わなければならなかった。天罰なのだろうか、エインの薬は非常に苦いもので、煎じる度に苦いにおいが神社中に漂った。
はぁ、良薬口に苦しって言うのに、エインはどうしてこの考え方が分からないんだろ? せっかく毎日、すり鉢の中の薬を一滴も残さず飲み干すよう監督しに来てあげてるのに。それもこれも、全部エインのためなんだけどな~。
……って、ははっ、これじゃあ私でも説得出来ないな、あははは。エインには結構な日数騙されてたことだし、苦い薬を飲むのを監督するのは、嘘をつかれた代償ってことにしておこう。
なんてことを考えながら、私は物置部屋の前に立ち、かんぬきを軽く引いて、考えうる限り最も優しい声音で呼びかけた。
ほ~ら、エイン、お薬の時間だよ~!
エイン、もしかして、抜け毛なんて起きてないの?
な、なんでいきなりそんなこと言うんだ?
ふふ、その表情……どうやら図星のようだね?
うう……、やっぱ外で話そうぜ。
初秋の風は夏の頃のそれより少しだけ爽やかで、私とエインのいる一角は、見通しは良くないものの、風通しは良かった。涼しいそよ風が少し黄色くなった落ち葉を数枚、私たち二人の間に運んできて、これから行われる「尋問」の舞台を整えた。
チャンスをあげるから、何を隠してるのか言ってごらん。正直に言えば寛容な措置が、拒めば厳しい沙汰が待ってるよ。
ゴホン、実は……{var:player_nickname}が言い当てた通り、俺は抜け毛になんかなってないんだ。
当てたんじゃなくて、合理的に推測したんだよ。そこまで育毛剤みたいな治療を嫌がること自体、理屈に合わないからね。細かいところまで思い返してみたら、あなたのしっぽのハゲてる部分とそうでない部分の境目がくっきりしてて、抜け毛っていうより人為的なものみたいだった。
ちょっと見ただけなのにそんなにはっきり覚えてるなんて、君の観察力は部族の偵察員といい勝負だな。
私は、お世辞の二言三言くらいじゃ、どこかの狐が私を騙したっていう事実を忘れたりしないよ。
うぐ……事の発端は、数日前に本屋の改装バイトに行ったことなんだ。本を運んでる時に、近くにあったペンキの缶をうっかりしっぽで倒しちまってさ。
赤いペンキが洗っても落ちなくて、勢い余ってしっぽの先の毛を剃っちまったんだよ。
だとしたら、私だって会ってすぐにしっぽの異変に気付いたはずだけど。
あー、それは……しっぽがハゲてるのが、少しかっこわるかったからなんだ。後で隣のおばあさんに糊を借りて、剃った毛を表面に貼りつけて隠してみたんだよ。けど糊の質のせいか、君が軽く触ったら……
エインがそんなすぐバレそうなその場しのぎの手段を取るなんて、想像出来ないな。
はは、そう考えると黒歴史になっちまうな。このことを知ってるのが{var:player_nickname}だけでよかったよ。
私の不穏な表情に気付いたのか、エインは笑顔を引っ込めて、ビクビクしながら謝ってきた。
俺だって真相を伝えようと思ったんだけど、話そうとするとすぐ邪魔が入っちまったんだよ。それに、「俺の抜け毛が治るまでずっと俺のそばにいる」って言ってくれただろ、だから……
……
怒らないでくれ。今日は神社で心ゆくまで麻雀に付き合って、前回無駄にした時間を埋め合わせるよ。あと、これから君には好きなだけ俺のしっぽを触らせてやる。これでどうだ?
もふもふのしっぽが、持ち主に操られて左右にゆらゆらと揺れている。まるで私がその条件を受け入れることを見通しているかのようだった。くそう、心の中で天秤にかけた結果、案の定エインの提案を断れない自分がいることに気付いてしまったぞ……。
私がエインの麻雀に付き合う、の間違いでしょ? 全部の時間を会館で費やしても構わないのはエインの方じゃないか。そのしっぽだって、元から私は好きに触っていいことになってたし、全然お詫びになってないんだけどなあ!
私は不満を解消しようと、バッと手を伸ばし、目の前の狐のしっぽを根元から先っぽまでモフモフした。
……ん? この、よく知ってるようでまったく知らない手触りは……?
前回と同様、恐る恐る手を開くと、掌の上にはタンジェリンオレンジ色の獣の毛が無造作に広がっていた。
エイン、抜け毛は本当だったみたい……。
はぁ!? ありえねー!
ほっとしていた様子の狐は、瞬時に顔が青ざめた。彼が自分のしっぽにそっと触れると、動きに合わせて毛が宙を舞い、周囲がタンジェリンオレンジ色に染まった。
うわっ、ただ抜け毛の症状があるってだけじゃなくて、けっこう深刻みたいだね。
ありえねぇ、ありえねぇよ……{var:player_nickname}、どうしよう!?
うーん……これは私にもわからないな。狐は皆それぞれの悩みを抱えてるって、エインも言ったよね。
助けを求めるエインを無視して、私はくるりとUターンして麻雀会館へと向かった。背後の狐は、まだ抜け毛のショックに打ちひしがれている。いずれ立ち直った時は、きっと自分で病院に行くだろう。
でも、今回はついて行ってあげない。だって、嘘つきは罰を受けるべきだからね。
特別な狩り
契約を結ぶことで開放
Possible Endings
Scenario Script
Spots 1, Scenes 282, Choices 3, Endings 3
このナイフも、レーザー感知機が付いてるの?
おう、こいつはゴム製で、先端にはレーザー発射器が付いてる。感知器にレーザーが当たると音を出す仕組みになってんだ。
広々としたサバゲークラブのホールには、大勢の人がいる。展示台には様々な武器が飾られていて、それを物珍しく見ている自分と、近くを通り過ぎていく古参プレイヤーとの差は明らかだ。エインが隣で色々と教えてくれて本当に助かった。
この装備、すごくリアルだね。本物の武器展示場なんじゃないかって勘違いしちゃいそう。
はははっ、そりゃあそうさ。リアルな体験を出来るよう、本物を模して作られてんだからな。
レーザー銃に迷彩服、自然環境をそのまま再現したバトルフィールド……休日の惰眠を犠牲にして、エインと郊外のサバゲークラブまで来たのはなかなかに良い選択だったよ。
へっ? まさか、本当にサバゲーがしたくて来たのか!?
そう……だけど?
俺と遊びたいからだとばかり……(ぼそぼそ)
何か言った? よく聞こえなかったんだけど。
い、いや、何でもない。こいつは、ペイントボールガンだ。この銃の「弾」が命中したら、ただじゃ済まねえぞ。当たるとかなり痛いし、あざが残るくらいの威力があるからな。だから、このクラブでは、参加者が一人でもこの武器を選んだら、全員が指定のヘルメットとゴーグル、それから防護服を着用しなきゃいけないことになってる。
エインって、このクラブの装備のこと何でも知ってるんだね。よく来るの?
よくってほどじゃねえけど、月に一回か二回は来てるかな。
故郷じゃ、よく一族総出で狩りをしててさ。森に入った狩人達の、狩ってきた獲物の数や大きさで勝者が決まるんだ。
今は一緒に狩りは出来ないけど、腕を鈍らせるわけにはいかねえだろ。だから、一飜市に来てから、狩りの練習が出来そうな場所を探してたんだ。
でもさ、こういうサバイバルゲームって、エインの言う「狩り」とはちょっと違うんじゃない?
まあな。けどサバゲーは、俊敏さや戦略的な判断力のトレーニングにはなる。だから、狩りをしている時の感覚を忘れずにいられるんだ。
なるほど。
せっかくここに来たんだ。行くぞ、君を「狩り」に連れてってやる。
よぐわがねんだばって、そいだば対戦相手みづがんねってことだが? どすべ……
ったく、だから言ったろ。こんな初心者向けの場に、俺達と同レベルの相手がいるっつー希望は捨てろって。んなもんいるわけねェっての……
あれ? {var:player_nickname}? おめも来てだんず?
声がした左後ろの方へ振り返ると、桃色の瞳を持つ少女と目が合った。その横には少しイラついているように見える少年もいる。
西羽流の弟子と……エイン? んでテメェらが一緒にいんだよ。
そりゃ、俺たちが仲良しだからに決まってるだろ。なっ、{var:player_nickname}!
えっ、あ、うん、そう……かな?
ゼクスの友好的とは言い難い目力に圧し負けて、同意しようとしたのはずが疑問形になってしまった。
おい! 俺とテメェだって、「仲良し」だろ、なァ?
へ? えっと……うん、そう、かも?
そうなのか……? それじゃあ、俺とゼクス、どっちの方が{var:player_nickname}と仲良しなんだ?
はい?
……
なぜだろう……とんでもない戦いに巻き込まれてしまったような気がする。助けを求めようと、ゼクスの隣にいる少女……ハンナに目を向けたが、彼女は両手の人差し指を突き合わせ、頑なに目を逸らし続けた。
お客様、お話中のところ失礼いたします。少々よろしいでしょうか? 次の宝探しゲームが間もなく始まるのですが、四名様でしたら、ちょうどゲームに参加出来ますよ。
あ、いえ、私達別に一緒じゃ……
いいな、それ。
ハッ、望むところだぜ。
え~~!?
それではルールをご説明しますね。
ちょ……ま……
やる気満々の二人は、すでにスタッフの近くで真剣にルール説明に耳を傾けている。いつの間にか、ハンナまでその輪に加わっていた。私の拒否の声など、誰も気にかけちゃいないようだ……
そうか……彼らからしてみれば、私なんてただの数合わせ要員、サポート用装備もなければ、防御力も低い、パーティにいると嫌われがちなヒーラーみたいなもんだよね……
どうした、{var:player_nickname}? ちゃんとルールを聞いとかねえと、あとでボコボコにされるぞ。
エインはぐっと力を込め、大真面目にルール説明を聞いている自分達の輪の中に私を引き込んだ。
はぁ……少なくとも、ADC担当のエインとならやっていけそうだ。不本意だけど、参加しよう。
本日、当クラブに初めて来た方はいますか?
わは、初めでだ。
同じく。
……俺も。
あはは、初心者の方が結構いらっしゃるみたいですね。それなら、装備について重点的にご説明しますね。こちらは、ゲームの間プレイヤーの皆様に装着していただくレーザー感知器です。お一人につき、六つ装着していただきます。誰かからの攻撃が命中すると、そのプレイヤーの負傷を知らせる警報音が鳴ります。
初心者の方にもゲームを楽しんでいただくため、命中後五秒間は命中判定をされないよう設定させていただきます。つまり、撃たれてから五秒間は無敵状態になるということです。
ただし、頭部のレーザー感知器が、武器から放たれるレーザーを感知した場合、そのプレイヤーは問答無用で脱落となりますので、隠れている時は頭を守るようにしてください。
私は思わず自分の頭に触れた。どんなゲームでも、頭は急所なんだなあ。
宝探しゲームでは、複数のチームが同時に同じターゲットを探すことになります。一番最初にターゲットを探し出し、自分の陣地に持ち帰ったチーム、もしくは敵チームをすべて殲滅したチームが勝者となります。お客様は四人ですので、二人一組で二チームに分かれることをお勧めします。
{var:player_nickname}、おめはわさかだれ!
ハンナがそう言った瞬間、三対の視線が私に一斉に向けられた。
おい、俺様は一族で一番腕の立つ狩人だ。よく考えろ!
その「一番」が自称か他称かについては、突っ込まないでおいてやるよ。それより{var:player_nickname}、苦楽を共にしてきた相棒を選んだ方が良いと思うぜ!
苦楽を共に、なんて! その話題二度と口にするなよ!! あのひと月をどんな思いで乗り越えたと思ってるんだー!! と心の中で叫びつつ、私は隣のハンナに目を向けた。
わ……わば選んでけるんだが……?
切実に助けを求めるあまり、かなり熱い視線を送ってしまったせいか、ハンナは照れながら優雅に尻尾を振り、地面に打ち付けた。「ボゴッ!」という大きな衝撃音と共に埃が舞い上がり……チラッと目にした床は割れていた。
あはは……この中で一番戦力の低い私に選択権があるなんて、思ってもみなかったよ。
元々ここにはエインとの約束で来たんだし、それにエインはこのゲームに詳しそうだ。
よし決めた、エインと組むよ!
金色に輝く目は綺麗な三日月形を描き、大きなしっぽは左右に振られている。エイン、すごく喜んでいるな。
よっしゃ!
ふんっ、先に言っとくが、ぜってぇ手加減なんかしねぇからな。後でピーピー泣くんじゃねぇぞ。
{var:player_nickname}、気ぃつけへ。エレガントなれでーは、戦いの場で手っこ抜がねはんで!
ゲーム開始前の意気込み……すごく怖い。
そう怖がんなって、絶対俺達が勝つからさ。
そんな会話の後、私達はスタッフの人に教えてもらいながら装備を身に付け、一人一つ、レーザー銃とダミーのナイフが配られた。攻撃の当たり判定はコンピューターが自動で行う仕組みになっているようだ。バトルフィールドに入る前に、二組に分かれた私たちはそれぞれの陣地へ案内された。
アナウンスで号令が出ると、すぐさま陣地からフィールドに出て、宝探しが始まった。
サバゲー用のフィールドだということはわかってるつもりだけど、それにしてもリアルだね。木も川も、茂みの感じも完全に自然界そのものだよ。
エインの故郷もこんな感じなの?
興味があるなら、いつでも連れてってやるよ。オヤジも、いつか絶対に時間を捻出して君を出迎えるって言ってたぜ。
へ? ってことは……お家の人に私のことを話したの?
あ、いやそれは……家族に連絡する時って、身近にいる奴の話をするもんだろ? {var:player_nickname}と俺の仲だし、みんなに君のことを軽く教えたんだ。
でも、そんなに気にしなくていいからな。オヤジだって別に大層な地位がある訳じゃねえしよ。それで……俺の実家、行ってみたいか?
もちろんだよ!
よっしゃ! その一言でやる気マックスになったぜ! 今ならゼクス十人はやれそうだ。
あはは、それはちょっと言い過ぎでしょ。ゼクスだって無駄に筋肉つけてるわけじゃないんだからさ。そうだな……言っても五人くらいじゃないかな。
エインと目が合った瞬間、二人して笑い出してしまった。これなら、ずっと行きたいと思っていたあの場所で「狩り」をする計画を立てても良さそうだ。でもその前に、今日をなんとか乗り越えないと。
「ヴーッヴーッヴーッ」
そんなことを考えていると、右腕のレーザー感知器が激しく震え出した。点滅する赤色の光は、今まさに「攻撃」を受けたことを意味する。
ひとまず隠れられる所に!
私と手練れの狩人との差は歴然だった。敵の奇襲を受け、エインは即座に大人二人が手を広げても足りないくらいの太さを持つ木の後ろに隠れたが、私はどこに逃げればいいかもわからずその場に立ち尽くしてしまった。
{var:player_nickname}、俺の後ろに来い!
わ、わかった。
背後から、「パンパンパンッ」という銃声が絶えず響く。エインがいる所まで走ったわずかな間に、左腕にも被弾してしまった。為す術なく、私は頭をかばうために付近の茂みにしゃがみ込んだ。
{var:player_nickname}、銃声を聞いた感じ、敵は一人みたいだ。俺が引きつけるから、その隙により安全な場所に隠れろ。
そんな、危ないよ。
俺はまだ無傷だから、君より余裕がある。それに、撃たれてから五秒間は無敵になれるだろ。その間にまた隠れるからさ。
この状況では、エインの提案が最善だろうし、悩んでいる暇もない。そう思い、私は頷いた。
エインが敵の前に躍り出ると、予想通り相手の火力がそっちに割かれた。エインの左肩のランプが光ったあたりで、私は無事に先ほどまでエインがいた木の後ろに隠れることが出来た。
ここまで執拗にエインを狙うなんて、多分ゼクスだろうな。
背負っていたレーザー銃を構えて、スコープを覗きながら周囲の状況を確認してみると、木の葉の隙間から微かに茶色の毛が見えた。しかし、ゼクスのレーザー感知器はしっかりと隠れていて、ここからでは何も出来ない。
それにしても、宝探しゲームでは、公平を期すためにターゲットのお宝をそれぞれの陣地からちょうど真ん中のあたりに隠すのが普通らしいけど、ゼクスはどうして、こっちの陣地の近くにいるんだろう?
エイン、ゼクス達は、こっちのチームを全滅させてから、宝を探すつもりなんじゃない?
ハンナの姿がまだ見えないってことは、ゼクスが俺達の足止めをしてる間に、ハンナが宝を探してるっつー可能性もあるな。
けどまあ、一人で俺達二人を相手しようなんざ、舐められたもんだぜ。
たった一人で敵陣に切り込んできた、相手を甘く見ている……これらの要素を合わせて考えれば……
エイン、チャンスだ!
{var:player_nickname}、チャンスだ!
……同じことを考えてたみたいだね。
ゼクスが単独行動してるうちに、あいつを片付けようぜ。
でも……
ん?
きつい言い方になるかもだけど、一対一で戦うってなったら、エインはゼクスに勝てないよね……?
……
沈黙は肯定ともとれる。私は少し萎縮してしまい、なんとか取り繕う言葉を探そうとした。しかし、エインは予想とは裏腹に笑い出した。
誰が一対一で戦うって言った? 君がいるだろう?
私? ゼクスには麻雀でしか勝ったことないけど、それで彼より強いってことになるのかなぁ……
ごめんね、エイン……
え? どうして急に謝るんだ。
エインくらい優秀で強い狩人だったら、ゼクスにも舐められなかったと思う。それに、まだ正面から撃ちあってもないのに、もう三発も被弾しちゃったし……
どっちが勝つかなんて、まだわからないだろ。
でも、私は……
{var:player_nickname}、狩りってのは単純な強さが全てじゃない。自分の力量をしっかり知って、己に見合う戦略を立てられるかどうか……それこそが勝利への鍵さ。
ん?
今の状況で言えば、確かにゼクスとハンナの方が俺達よりずっと強いかもしれない。けど、あいつらは自分の強さにあぐらをかいて、初めての狩り場で二手に分かれることを選んだ。あまり利口なやり方だとは思えないな。もしかしたら、それが俺達……敵の反撃のチャンスになっちまうかもしれないだろ。
でも、こんな状況で私がエインの役に立てるとは思えないけど……
{var:player_nickname}、そんなに自分を卑下するなって。ちょうど、君にしか出来ないことがあるぜ。
確かに、ゼクスは近接の白兵戦には相当長けてる。だけど、銃を使うような遠距離の戦いは得意じゃない。無駄撃ちの多さがその証拠だ。
弾を撃ち切ったら、きっと得意な接近戦に持ち込もうとするはずだ。けど、それはむしろ俺達にとってはチャンスだ。
俺があいつとやり合う。君はここで、遠くからあいつを狙撃してくれ。
なんかすごいプレッシャーなんだけど……弾が外れないことを祈るよ。
エインとの作戦会議が終わる頃、遠くで響いていた銃声も段々と落ち着いていった。エインは人差し指を立てて静かにするよう合図し、狐の耳を動かして周囲の音を聞き取っている。
エインがダミーナイフを手にしたのを見て、私はレーザー銃を構える手に力を込めた。そして、心の中でカウントダウンを始めた。
5……4……
{var:player_nickname}、そんなに気負うことないぜ。
3……
君のこと、信じてる。
2……
だから、俺のことも信じてくれ。
1……
俺達は絶対勝つ!
エインは弓から放たれた矢のように飛び出し、縄張りを侵された野獣の如く、自ら襲撃者に向かって攻撃を仕掛けた。
もちろん、ゼクスも黙ってやられるはずもなく、すぐ応戦した。優秀な狩人同士の戦いは、勇猛さと野性に溢れている。土埃が舞い、木の葉が舞い落ちる中、スコープから見えるのはおぼろげな二つの影のみ。どちらがエインかは、毛の色で判断するしかない。
でも……タンジェリンオレンジとブラウンじゃ、色が近すぎるでしょ!!!
ふぅ……落ち着け私。万が一エインに当たったら大変だ。
腕のポイントカウンターは、絶えることなく震えながら赤い光を放っている。ゼクスと交戦しているエインは、未だ優位には立っていないようだ。呼吸を整え、半ば無理やりに自分を落ち着かせ、再びレーザー銃を構えた。引き金に指をかけ、いつでも撃てる状態だ。
あれ? エインが、こっちを見てる?
スコープ越しに、エインが、こちらを見ながら微かに唇を動かすのが見えた。
もしかして、撃てって言ってるのかな? でもゼクスがどこにいるかまだ……どうすれば……!
「パンッ!」頭で考えるより、体が先に動いてしまった。エインが言っていることを理解した瞬間、指が引き金を引いていた。二人は砂埃に包まれていて、自分の攻撃が命中したか全くわからない。
当たった? くっ、すごい反動だ……エインに当たったりしてないよね……?
青チーム一番の選手、脱落です。
! 成功した……?
チーム分けでは、こっちは赤だった。となると、脱落したのはゼクスで間違いないだろう。
やったな{var:player_nickname}! 一発でヘッドショット決めるなんて、こいつは大きな一勝だ。
いやいや、エインがちゃんと指示してくれたからだよ。
君が俺を信じてくれたからってのが大きいけどな。俺が撃てって言ったとき、ゼクスはまだスコープの中心には来てなかっただろ?
そうだね。
おい、テメェら仲間同士でお世辞言い合って楽しいか? 俺様はまだここにいるんだ、忘れてねぇだろうな! 全部聞こえてんぞ!!
負け犬の遠吠えは見苦しいぜ。
チッ、どっちが最後に勝つかはまだわかんねェだろ。俺の役割はあくまで時間稼ぎだからな。今頃、ハンナの奴がとっくに宝を手に入れて陣地に戻ってる頃だろうさ。
そうなりゃ今度は、テメェが俺様を兄貴と呼ぶ番だからな!
エイン、確かにゼクスにだいぶ足止めされちゃったよ。ゲーム終了まであと二十分だ。
ハンナの素早さを考えると、今まで宝が発見されたって知らせがないってことは、あっちも何か問題が起きてるんじゃねーかな。
え? でも、森の中で狩人を阻めるものなんてあるかなぁ?
行ってみりゃわかんだろ。
そのまま、お宝が隠れているエリアにたどり着くと、宝自体は確かにハンナが手に入れたらしいとわかった。しかし、地面に残された足跡は乱れていて、ハンナがどこに向かったのかはエインにもわからないらしい。どうすることも出来ず、私たちは自分の陣地に戻ってアナウンスを待つことにした。
時間となりました。ゲーム終了、今回は引き分けとなります。
ハンナがお宝を見つけたのに、どうして引き分けなんだろう?
エインと一緒に待機エリアに戻ると、全身ツタだらけのハンナがいた。どうやら、ハンナは直感を頼りに宝を手に入れたはいいが、道に迷ってしまったらしい。
{var:player_nickname}、よく聞け……森で方向感覚を失うってのは、狩人にとっちゃ一番やっちゃいけねぇことだ。
エインの声はとても小さかったが、それでもハンナのモフモフとした耳がぴくりと震えたかと思うと、ぺたんと寝てしまうのが見えた。
ハンナとゼクスは「帰って鍛練する」と言ってその場を去り、私とエインは気分よく帰路についた。道中、行き交う車の排ガスを吸ったエインは何度もくしゃみをし、先ほどまでいた美しい大自然の余韻に浸っていた私も、すぐさま現実に引き戻されてしまった。
でも、残念だな。
ゲームに勝てなかったから?
いや、そうじゃなくて。あそこはすごく自然豊かで綺麗だったし、ああいう緊張感も結構気に入ったから。
なんだ、そんなことか。ゲームの前にした話、まだ覚えてるか?
エインの故郷の話?
ああ、君さえ良ければいつでも行けるぞ。
ひなたぼっこも、もちろん狩りだって出来る。本物の大自然ってやつを見せてやるよ。
振り返ってエインを見ると、まるで答えを待つかのようにエインもこちらを見つめていた。
それじゃあ、いつ行くか、計画を立てよう。
約束な!
うん!
ゲームに勝つには、チームメイトの選択を誤ってはいけない。誰が一番戦闘力が高いか、それが最優先事項だ。
よし決めた、ゼクスと組むよ!
ハッ、テメェみたいな賢い奴は好きだぜ。
{var:player_nickname}、本当~に、いいんだな?
テメェ、俺様の相棒を脅す気か!?
俺はただ、{var:player_nickname}に正しい選択をして欲しいだけだ。
おい、諦めがつくようにもう一度テメェの答えをクソギツネに教えてやれ。
{var:player_nickname}?
狐と狼に同時に見つめられて、冷静でいられる人なんていないだろう。私はありもしない額の冷や汗を拭いつつも、自分の選択を貫いた。
こ、今回はゼクスと組むよ!
聞こえただろ、クソギツネ!
はぁ……{var:player_nickname}、その選択は大きな間違いだって言わざるを得ないな。それじゃ、俺もゲームでは手を抜かないから、悪く思うなよ。
……
今から志望変更したいと言っても無理だろう。一人でいる時にエインと鉢合わせしないといいけど……。
そんな会話の後、私達はスタッフの人に教えてもらいながら装備を身に付け、一人一つ、レーザー銃とダミーのナイフが配られた。攻撃の当たり判定はコンピューターが自動で行う仕組みになっているようだ。バトルフィールドに入る前に、二組に分かれた私たちはそれぞれの陣地へ案内された。
アナウンスで号令が出ると、すぐさま陣地からフィールドに出て、宝探しが始まった。
ゼクスと相談して、一人が相手の注意を引き付け、もう一人が宝を探すという戦法でいくことにした。でも、初めて来る森の中を一人で動き回るなんて、正直不安でいっぱいだ。
一緒に行動出来る仲間がいたらよかったんだけどな。それに……ん? この違和感……誰かにつけられてるの?
何とも言えない感覚がする。無視し難い熱い視線が背中に注がれているような気がしてならない。
エインか、ハンナかな。まさか、もうゼクスを倒したとか? いや、ポイントカウンターが振動していないんだから、まだあの二人とゼクスは遭遇していないはず。じゃあ、今こっちを見てるのは誰? 防犯カメラってこともないだろうし……
なんとか相手の正体を探ってみよう。
その時、道端に咲いている花が目についた。しゃがんでよく見てみると、本物の花だ。どこかの鼻炎ぎみの狐さんのことを思うと、少し悪い気がするけど……そっちがその気なら、恨みっこなしだ!
後ろから誰かが飛び掛かってきた瞬間、素早く身を翻し、摘み取ったばかりの花を相手の顔めがけて押し付けた。
ハックシュン!
やっぱり、エインだった!
エインがどうやってゼクスの防衛線を突破したのかなど、考えている余裕はない。野外で経験豊富な狩人とタイマンなんて、結果は目に見えている。なんとか時間を稼いで仲間の助けを待とう。そう考えた私は、エインの攻撃から逃れるため、迷わず反対側の森に隠れた。
……うわぁ~~~! サバゲのフィールドって、トラップまで仕掛けてあるの!?
へくしゅっ! 無いに決まってるだろ! それは、俺が君のために用意したものさ。
この短い時間に、こんなに大きな穴を掘ったの?
ふっ、穴掘りは得意なんでな。君がケガしないように、クシュン! わざわざ底に枯草まで敷いたんだぜ。はぁ……こんなに君の事を特別扱いしてるのに、どうして誰かさんは俺を選ばなかったのかな~。
……
君一人の力じゃ、ここから出るのは無理だろうな。でも、俺は心優しいだけじゃなくて、人助けも大好きなんだ。「これからは絶対エインを選ぶ」って三回大声で叫んだら、引っ張り上げてやるよ。どうだ?
どんな事でも、引き際というものがある。それに、長い物には巻かれろって言うしね。
これからは絶対にエインを選ぶ、これからは絶対にエインを選ぶ、これからは絶対にエインを選ぶ!
……
え、……もしかして、要求を出したことを後悔してる?
いや、ずいぶん割り切るのがはえーんだなと思ってさ。どうやら、俺はまだまだ君という人間を知らねえみたいだ。
私も、エインがそこまでチーム分けを気にしてたなんて驚いたよ。
ははっ、それじゃ、これでチャラな。よし、今引き上げてやるよ。
「ヴーッヴーッヴーッ」携帯していたポイントカウンターが激しく震え出し、エインが私に「撃ち殺された」ことを告げる。エインが優しく手を伸ばしてきたその時、私はこっそりレーザー銃を構えて彼の頭にある感知器を狙い撃ちしたのだ。
……
嘘も方便っていうし、これも勝つためだから。
{var:player_nickname}~~!!!
怒れる狐の叫び声が森中をこだまする中、私は涼しい顔で静かに銃をしまった。
辱めを受けるなら、殺された方がましだ。ゲーム開始から僅か二十分で、自分の選択を取り消せだなんて、私の人を見る目を疑われるようなものだ。そんな要求、不屈の志を持つ私が呑むわけないだろ!
チームメイトを裏切ることは出来ない!
そんじゃ、悪く思うなよ。
穴の外から、少しずつこちらに近付く足音が聞こえる。私は静かにレーザー銃を構え、エインが姿を現すであろう方向に銃口を向けた。
「ヴーッヴーッヴーッ」携帯していたポイントカウンターが激しく震え出し、二人とも「戦死」したことを告げた。
んなっ! {var:player_nickname}、不意打ちなんて芸当が出来たのか!?
朱に交われば赤くなるってね。心当たりあるでしょ。
つまり、俺のせいってことか?
ポジティブに考えれば、同じチームにはなれなかったけど、少なくとも死に場所は一緒だったんだからいいじゃん。
……大した慰め文句だな。
ポイントカウンターの集計結果により、{var:player_nickname}さんとゼクスさんのチームの勝利となります。おめでとうございます。
ゲームでは、それぞれのチームに「運悪く被弾」した者が出たが、ゼクスの戦闘力とハンナの超人的な迷子力により、最後には勝利を手にすることが出来た。
おい、もっと喜べ。こっちが勝ったんだからよ。
開始直後に穴に落ちちゃったから、ゲームに参加した実感もあまりないし……次は違う人と組んで、一緒に行動した方がいいかもな。
チッ、俺様の作戦が不満だったってことか?
まずい……ゼクスは耳がいいってこと、すっかり忘れてた……
ゼクス、違うってば……そ、その、勝てたことは本当に嬉しいよ。
なるほど、{var:player_nickname}は、誰と組むかより、勝てるかどうかの方が大事なんだな。
エイン!? い、いつの間に……違うってば……ほら、あの、エインとも一緒のチームになりたかったよ、本当だって。
!? んだば、{var:player_nickname}がチームとば組みてぐねがったの、わだげだが!? わ、泣いでまる……
ちょっと、なんでハンナまで……
おい、話を逸らすな。俺様に不満でもあんのか?
わは、たんだ一緒のチームでやりてがっだのに……
はぁ……{var:player_nickname}って、現金で冷たい奴だよな。
ぽろっと出た一言で、三人から集中攻撃を受けてしまい、私は順番に機嫌を取らざるを得なくなった。あまりの忙しなさに、心の中でこう思った。
あんまり友人が多いと、煩悩の種にもなり得るんだね……。
エインを選んでもゼクスを選んでも、選ばなかった方が何か暴走するに違いない。自分の身の安全を考えて、この二つは避けよう。
うーん、決めた。ハンナと組むよ。
そう言うと、三人とも驚きの表情を見せた。ハンナは両手で口を覆い、嬉しそうにしているが、横にいるエインとゼクスはあまり嬉しそうに見えない。
{var:player_nickname}、もう少しよく考えた方がいいんじゃないか?
エインは笑顔を保ってはいるが、美しい金の瞳は細められている。まさに、獲物を見定めた捕食者の目だ。
比較的落ち着きを保っているエインに比べ、ゼクスは目に見えてイライラしていた。
このクソギツネと組めってか? ダメだ、やってらんねェぜ!
奇遇だな、俺もそう思ってたとこだ。
今にも乱闘が始まりそうな空気に、私はハンナを引っ張って待機エリアへと向かった。
そんなやり取りの後、私達はスタッフの人に教えてもらいながら装備を身に付け、一人一つ、レーザー銃とダミーのナイフが配られた。攻撃の当たり判定はコンピューターが自動で行う仕組みになっているようだ。バトルフィールドに入る前に、二組に分かれた私たちはそれぞれの陣地へ案内された。
アナウンスで号令が出ると、すぐさま陣地からフィールドに出て、宝探しが始まった。
……もう十分もあさいじゃあばって、エインもゼクスもいねぇの……なんが変でねが?
こっちよりも動けるスピードは速いはずだから、もう宝物を見つけちゃったとか……?
心配ね! 速さだば、だもわの右さ出ねはんで!
私が負けちゃうんだって!
わが{var:player_nickname}とば背負ってけら! わの力ど速さあれば、おめば背負ったままでもあの二人より速ぐ動げるはんで。
赤チームの脱落が確定しました。今回のゲームは青チームの勝利となります。
……ハンナ、青チームってこっちだよね?
まだ宝も見っけでねんだばって……
でも、こっちが勝ったみたい……様子を見に行こう。
ハンナと待機エリアに戻ると、ムスっとしているゼクスとエインがいた。スタッフの人に話を聞き、こちらがあっさり勝利出来たのは、ゼクスとエインがお互い「不注意」で相手の頭を撃ち抜いてしまったからだとわかった。
おっかねな……この銃、味方にも効ぐんずな……
うちは平和的なチームでよかったよ。やっぱり、ハンナが味方だと安心だね。
したばって、始まる前に終わってまって、がっかりしたじゃ……
ぴくぴくと動いて聞き耳を立てている四つの耳に気付いた私は、大きな声でみんなに声をかけた。
コホン。確かに少し物足りないし、もう一回やろうよ。今度は違うチームでさ。
本当か?
俺はいいぜ。
思った通りだ、あはは……元気いっぱいの狩人さんたちを満足させられるまで、体力が持つといいけど。
待てよ……今回の獲物は私だけ? ……いや、まさかね。